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漫画「キングダム」に学ぶ経済学! 貨幣制度と資本主義の本質に迫る

2018/12/20
 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

昨日は、「漫画「キングダム」に学ぶ法律学!権利と義務の考え方」と題して、法律とは何かについて考えました。まだ読まれてない方はこちらをご一読ください。

 

本日は、漫画に学ぶシリーズ第2弾として、ひきつづき「キングダム」から経済学について取り上げたいと思います。

 

ポイントは「貨幣制度」。このお金というものの本質を知っているか知らないかで、根本的にビジネスができるかできないかが決まるといっても過言ではありません。今からでも遅くありませんので、ぜひ、お金というものについて考えていきましょう。

 

引用は、「キングダム」39巻(以下、ネタバレ注意)。

 

秦国国王・嬴政(えいせい)の「加冠の儀」(いわゆる元服の儀式。これを経ることで正式の国王として国内外に認められる大切な式典)のさなか、反乱軍が王都に迫っているとの一報が入る。反乱軍を後ろから操っているのが相国(しょうこく。丞相よりも上の位で秦国では国王に次ぐNo.2の位)の呂不韋(りょふい)。

呂不韋は、嬴政に成り代わり自らが秦国の国王となる野望をもっており、そのクライマックスとなる王都攻防戦のさなか、嬴政と、天下について語ろうと言い出した。

 

”天下”の起源とは、貨幣制度である

呂不韋「この呂不韋が”天下”を語る上で”国”や”民”や”王” それらの前に大切なことを明らかに

せねばなりません ”天下”の起源です

…中略… ”天下”というものはいつに始まったのか――

何によって生み出されたのかご存じであられるかな?

答えはこれです(※貨幣を持ちながら)」

嬴 政「”貨幣制度”か」

呂不韋「ほう……さすがです………… これこそ人の歴史における最大の”発明”にして”発見”

すべてはここから始まったのです」

 

呂不韋は続けます。貨幣制度が天下を作った、金が人の欲を増幅させたからであると。貨幣制度の誕生は、物々交換の世界を一変させたと。運搬しやすく腐らない貨幣は物流に距離を与えることになり、物々交換の狭い範囲から中華全体に散在していた社会を繋げながら広げていった。

同時に、裕福の尺度として、誰がどれだけ金を持っているかを比較する物差しとなり、当然に他者よりたくさん金を得たいという我欲につながったと。そして人は天下という言葉を口にしだしたと言います。

 

資本主義の本質1~貨幣と価値~

少年漫画ですから単純なやりとりでわかりやすく語られているのですが、これこそ「資本主義」の本質といえます。

 

貨幣には、呂不韋が語るように、価値の尺度といった機能があります。

魚と肉とを直接に物々交換する場合だとその大きさや重さなどがばらばらですが、いずれも貨幣価値で表現することでその貨幣価値分の魚と肉を等価交換することができます。同時に、その交換や支払いについて、貨幣でおこなうことにすれば、必ずしも魚や肉を持ち歩く必要もなくなります。魚が欲しければ、貨幣をもって魚を購入しに行けばいいわけです。

そして、貨幣には、価値の貯蔵という機能があります。魚や肉だとそのままにしておくと腐ってしまいます。交換するにしても鮮度が大切になってきます。しかし、いったん貨幣と交換しておくと貯蔵することができます。

 

つまり、物と物のあいだに、別の物である「貨幣」を媒介させることで安定した経済が成立することになります。その場合の貨幣は物であると同時に「信用」でもあります

呂不韋が天下と言っているのは、現代で言うところの「国」となります。たとえば「日本円」は「日本国」の信用を物体として表現したものということになります。

日本の国力が増してその力が強くなると日本円が高くなりますし、逆もまた同じです。これが為替相場となるわけです。もちろん、現代の市場経済はもう少し複雑なメカニズムによってその動向は変化しますが、単純化すればこの説明で十分だと思います。

 

資本主義の本質2~貨幣制度の本質をビジネスに活かす

為替については、直接「キングダム」から読み取ることが難しいので、ここでは深入りしないことにします(重要な視点ですので、いずれ別稿を用意したいと思います)。

それよりも、貨幣制度の本質を知ったうえで、どうビジネスに活かすか、活かすことができるか、という話につなげたいと思います。そういう意味では経済学から経営学についてのお話になります。

 

すでに書きましたが、貨幣制度の本質は、物と物との中間媒体としての機能を有しているということに尽きます。

ここで「物」とは、文字通りあらゆるものが含まれます。魚や肉だけではなく、情報やお金そのものであっても物の対象となり得ます。

たとえば金融機関は、お金(貨幣)を借りたい人とお金を貸したい人とをお金を介して、つまり中間媒体として両者を結びつけているわけです。そしてその手数料で儲かるという仕組みです。

ほかにも、中間媒体の代表格といえば、そのものずばりメディア(中間媒体の英語。ミディアムの名詞形)があります。TV、新聞、雑誌などは、情報が欲しいという人と情報を与えたいという人とを結び付けることで、やはりこちらもその手数料で儲けています。そこには市場というものが存在しているということができます。

 

人を対象とした場合でも、求職者と求人企業とを結びつけた就職活動・採用活動の労働市場や、結婚サービスの市場などが存在します。個人でもインターネット通販などを活用した副業ビジネスで、物を売りたい人から安く買い入れて、買いたい人に販売することでその差額を収益としている人もたくさんいると思います。これも一つの市場です。

 

こういった事例は、すべて貨幣制度の本質を活かしたビジネスといえます。

多様な人々の欲求について探索し、その欲求を満たすべく商品やサービスを提供しているわけですが、この欲求をもつ人々のあいだをうまく結びつけて引き継いであげることがもっとも収益を生むビジネスとなって市場を形成していることがわかります。

このようにビジネスをとらえると、当然ながら労働者よりも、そして実は経営者よりも、株主である投資家が、もっとも貨幣制度の本質を理解したビジネスを展開している存在ということができます。

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