最新ニュース、書籍やマンガなど身近な話題から昭和・平成・令和の生き方・働き方を考える

日立、有期契約の女性が無期転換申請したら解雇通告の衝撃!!

 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは、さんちゃんです。

 

衝撃的なニュースが入ってきました。

 

有期雇用契約(いわゆる契約社員、パートタイマーなど)の女性が、会社に無期雇用転換を申請したところ解雇通告を受けたため、女性側は解雇の撤回を求めているというものです(「日立、無期転換求めた女性社員に解雇通告 申請後は異例」朝日新聞デジタル2019年3月27日配信)。

 

現在はインターネットを通じて情報が一瞬で拡散される時代ですから、会社側として明確な理由が提示されない場合、大きなイメージダウンになってしまう可能性があります。

 

本日のブログでは、改正労働契約法における有期雇用契約から無期雇用契約への転換の流れにについて、そして日立製作所における今回の事例について考えていきます。

 

改正労働契約法における無期転換の流れ

ご存じのとおり、現在はいわゆる正社員である「期間の定めのない雇用形態=無期雇用」と、パートタイマー、アルバイト、契約社員など「期間の定めのある雇用形態=有期雇用」の大きく2種類の雇用形態があります。

 

一般的に有期雇用契約では、低賃金で正社員の補助的な仕事をすることが多く、昇給や昇進なども望めない働き方となっています。

また有期雇用契約の文字どおり、契約期間がくると職を失うことになります。

複数回契約更新を続けることもありますが、その場合でも無期雇用のような昇給・昇進、福利厚生が望めないため、いつまでたっても低賃金、補助業務に従事することになりかねません。

 

そのため、労働契約法の法律改正が行われ、有期雇用契約で一定年数経過した場合に労働者が申し出ることで無期雇用契約への転換ができることになりました。

無期雇用となることで契約が更新されないのではないかという不安から解消されるため、労働者はこれまで以上にやりがいをもって働くことができ、会社側は職場や業務に慣れているモチベーションの高い従業員を雇用することにつながりwin-winの関係が目指されるという制度設計です。

 

ちなみに一定年数というのは5年間です。
一般に「5年ルール」と呼ばれています。

5年間同一の職場で継続して働いている有期雇用契約の労働者は職場に馴染んでいると考えることができるからです。

 

2013年4月に改正労働契約法が施工されましたので、そこから5年経過した2018年4月から続々と無期転換の申し込みによる無期雇用契約の従業員が増えました。

 

なお、契約期間が有期から無期に変わることができるという制度ですので、賃金その他の条件を無期雇用の代表選手である正社員に併せる必要はありません。あくまでも契約期間が実質的に定年までとなるイメージです。

そのため企業の多くは一般的なパートタイマーと正社員との中間的な雇用形態・処遇として「限定正社員」(勤務地、勤務時間などを限定する)などの雇用契約で対応してきました。

 

一方で、有期雇用契約の従業員を無期雇用にしたくないと考える企業のなかには、契約期間が5年にならないようにその前に「雇止め」をするなどグレーゾーンな対応をする企業もありました。

そこにはいつでも首を切ることができる使い勝手のいい有期雇用契約を継続したいという本音が見え隠れしており、残念ながら雇止めに対しては従業員側と企業側でトラブルになるケースも少なくありません。

 

日立製作所の事例は無期雇用申請後に解雇通告という異例中の異例!

このように無期転換については、企業側の本音として有期雇用のまま継続して雇用を続けたいと少なからず考えている実態があります。

 

そのため、5年ルールによる無期雇用への申し込みの権利が発生する前に雇止めをおこなうなどの対策が取られてきたのですが、今回の日立製作所のケースは、すでに5年以上の勤務経験がある労働者が無期転換を申請したのちに解雇通告をしたことで異例中の異例となりニュースとなったわけです。

 

日立製作所が、5年を超えて有期雇用で働き、無期雇用への転換を求めた40代の女性社員に対し、今月末での解雇を通告したことがわかった。「無期転換」は有期雇用で5年を超えて働く労働者に法律で認められた権利で、女性社員は昨年6月に「無期転換」を申請し、今年4月から無期雇用になる予定だった。日立は事業の縮小を解雇の理由に挙げているが、女性側は「無期転換逃れだ」として解雇の撤回を求めている。

…中略…

この女性社員は、日立製作所で派遣社員として約10年間勤務した後、12年10月に半年間の有期契約で日立に入社。13年4月以降は、半年または1年間の契約を更新して、有期雇用で働いてきた。横浜研究所(横浜市)で研究員の報告書をチェックしたり、事業部に内容を伝えたりする業務をしてきたという。

女性社員によると、日立に無期転換を申し込んだのは18年6月。同年11月には、日立が準備した申請書に勤務地の変更や残業を受け入れると記入して提出したが、翌12月に「19年4月以降は仕事がなくなる」と説明された。日立は今年2月、契約社員就業規則の「業務上の都合」に基づいて3月31日付での解雇を通知した。無期転換を申し込んだ別の横浜研究所の社員にも、同日付で解雇を通知したという。日立は朝日新聞の取材に対し、「個別の従業員に関するコメントは差し控えたい」としている。

出所)「日立、無期転換求めた女性社員に解雇通告 申請後は異例」朝日新聞デジタル2019年3月27日配信

 

何度読み返しても衝撃的な内容です。

 

ポイントは、

●2012年10月から半年契約の契約社員で日立に入社(それまで派遣社員として約10年間、日立で勤務実績あり)
●その後、現在まで契約は更新されていた
●無期転換を2018年6月(2017年10月の段階で入社5年を超えている)に申し込んだ
●申請書を2018年11月に提出した翌12月、2019年4月以降の仕事はなくなると説明を受けた
●2019年2月に3月31日付での解雇通告を受けた
●別の無期転換を申請していた人も3月31日付で解雇通告を受けた

となります。

 

5年になるかならないかの微妙な時期での申請ではなく、明確に5年間勤務を継続したのちに申請したところ解雇通告を受けたわけです。「業務上の都合」という理由もどれだけ合理的なものかよくわかりません。

 

さらに日立製作所側は「個別の従業員に関するコメントは差し控えたい」と回答していますので、このままだと大幅なイメージダウンはまぬがれません。

 

これだけ働き方改革が叫ばれているときに、あまりにも露骨な対応すぎて唖然としてしまいます。

 

今後、両者が和解されるのか、裁判などドロ沼になってしまうのか、他社でも起こり得ることですので今後の展開から目を離せません。

 

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 21世紀の生き方・働き方 , 2019 All Rights Reserved.