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事業継承の未来。ビジネスのゴールをどう設定するか

2018/12/20
 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

企業の寿命をご存知でしょうか。

ベンチャー企業が創業されても、残念ながらその多くは5年以内に廃業しています。一方で、578年設立の金剛組(四天王寺の建立・修復工事がその出発点と言われる建設会社)など1,000年を超えて存続する企業もあります。その平均を取るとだいたい企業の寿命は30年程度だと言われています。

今から30年前の1988年を振り返ると、当時ソ連のゴルバチョフ書記長がペレストロイカを開始した年になります。先日ブッシュ元大統領(ジョージ・ブッシュ・シニア)がお亡くなりになった際もコメントを発表されていました。御年87歳、まだまだお元気です。

また、社会問題まで引き起こした「ドラゴンクエストⅢ」の発売、東京ドームのオープン、ソウルオリンピックの開催と、ちょうどバブルの真っただ中で日本中が盛り上がった年でした。懐かしいですね。

 

現役引退、事業継承のインパクト

ちょうどその当時、働き盛りだった30~40歳代の人たちが60~70歳代に差し掛かっています。団塊の世代ともいわれ、戦前から戦後の復興を生きた世代とともに、明日の日本をつくるため汗水流して一生懸命働いてきた世代です。私のまわりにもすごくお元気な人ばかりですが、今、多くの人たちが仕事生活からの引退を考えて第一線から退いています。

企業では、若手への技能伝承の担い手として、役職を離れて技術アドバイザーやメンターとして継続して働いている人もいらっしゃるでしょう。一方で元部下が現在は上司など、お互いにギクシャクすることもあるかもしれません。そこをいくと、ご自身で会社や店舗を経営されている人は定年もありませんし、自分の働きたい年齢まで働くことができますので気持ちに余裕があるといえます。

 

ところが、今、その経営者たちに決断が迫られています。

日本の99.7%は中小企業で経営者の平均年齢は60歳代です。経営者のなかには、さきほどみたようにバブル景気の前後に30~40歳代のときに脱サラや独立をして創業したという人がたくさんいます。また、親が経営していた会社を事業継承しての2代目、3代目社長という人も少なくありません。

この経営者たちの大きな悩みのひとつが事業を継いでくれる跡継ぎがいないということです。特に小企業や商店主にとっては自分が一生懸命築き上げてきた事業ですからこのまま跡継ぎがいないと廃業しなければなりません。

「事業承継」は今や日本経済最大の問題だ。経済産業省の推計によると、今後10年のうちに中小企業の経営者の約245万人が70歳を超え、そのうち127万人は後継者が決まっていないという。その結果、2025年までに約650万人の雇用と、GDP(国内総生産)約22兆円が失われるおそれがあると警告している。

「「赤の他人」による廃業会社の承継は増えるか」

出所)東洋経済オンライン2018年11月28日配信

 

廃業するか、赤の他人に事業継承するか

そのため、廃業を選択する人も少なくありません。

老舗ラーメン店「つけそば大勝軒 鍋屋横丁(通称=鍋横大勝軒)」の横山昇さんが12月5日に37年の歴史に幕を下ろすことを決断しました。ラーメン好きとしては寂しいものがありますが、今や商店街のお店も続々とシャッターが閉められ、張り紙に店主の高齢化が理由との文字を目にする機会も増えました。

一方で、まったくの赤の他人に事業継承をするケースも増えているようです。

先の東洋経済の記事でも、いつかは自分のお店を持ちたいと考える人と、会社を廃業するなら譲ってもいいと考える人との気持ちがうまく結びついて事業継承したケースや、そのマッチングを手掛ける企業のケースが紹介されています。

また、全国約80店舗を展開するカレー専門店チェーンのゴーゴーカレーグループは、全国のカレー専門店で廃業を考えている店主を対象に、味や看板をそのままに継承する「ブランド承継型」M&Aに力を入れ始めている(「後継者不足で廃業する飲食店に「待った」ゴーゴーカレーが事業承継に意欲」IT mediaビジネスオンライン2018年11月20日配信)。

 

自律型キャリアの形成に一役買うことになるか

これらのケースからは、個人同士が知り合いで事業継承がなされるケースもあるが、今後増加するのは、事業継承やM&Aを仲介する企業や団体、あるいは政府の支援により事業継承を対象としたマッチングが図られていくものと想定される。そこでは事業継承の書類作成代行、トラブル対策や保険の要素を加味したような包括的サービスが展開されていくと思われる。ここ数年、たとえば地方創生などの補助金で廃れた商店街へのテコ入れがなされてきたが、より重要な視点は廃れる前にこそ新しい資源を投入してビジネスが循環していく事業継承の仕組みを構築することが大切になってくるだろう。そこに、多様な人材が参入することで21世紀型の活気ある社会が形成されるのではないでしょうか。

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