漫画「キングダム」に学ぶ決断する力! 自分が歩く道の決め方
こんにちは、さんちゃんです。
漫画に学ぶシリーズ第4弾、今回のテーマは「決断する力」
漫画「キングダム」記念すべき第1巻、本作の主人公「政」(後の秦の始皇帝・嬴政)と「信」(後の将軍・李信)のやりとりから、決断する力について考察します。
「キングダム」とは、秦の始皇帝となる嬴政(えいせい)の若かりし頃のエピソードを描いた原泰久さんの大ヒット漫画です(2018年12月現在、52巻発行、以下続刊)。
親友・漂(ひょう)との別れ
戦争孤児の二人、信と漂。下僕として集落の長のもとで暮らしていた。
天下の大将軍になるべく剣術の稽古に明け暮れていたそのとき、秦国の大臣・昌文君の目に留まる。そして王級への士官の道が開ける。ただし、信には声はかからず漂のみが士官することになる。
なぜ、漂だけに声がかかったのか。
漂は、ある人物と瓜二つであったことから士官することになる。
その人物は、秦国国王・嬴政その人である。
秦国では、13歳で王位についた嬴政に実権はなく、右丞相・呂氏(りょし・呂不韋)、左丞相・竭氏(けつし)が激しく権力争いを繰り広げていた。
そして、呂氏が魏国に遠征に行っている隙に王弟・成蟜(せいきょう)と竭氏が手を組み、兄である国王・嬴政を亡き者として、成蟜が王に竭氏が唯一の丞相となり政治を一手に握る算段をたてる。
王弟・成蟜の反乱である。
秦国国王・嬴政を守るのは昌文君をはじめとしたごく一部の人間たちである。
万全を期すために、国王の影武者を立てることにした。その影武者役が漂である。
漂は王弟軍の刺客に深手を負い、信のもとに戻り、地図を託したのちに息絶える。
託された地図での新たな出会い
地図に記された場所に行くと、そこに1軒のほったて小屋が。
中に入ると、漂の姿が・・・。
そこにいたのは漂と瓜二つの「政」、嬴政である。信と政の出会いである。
そこで信は、漂が政の替え玉として王宮に仕えたこと、そして王の身代わりとして殺されたことを知る。
信にとって政は漂の仇である。そのとき、直接漂を殺した刺客・朱凶が信たちに追いつく。信は朱凶を倒したのち、追手としてあらわれた軍隊に戦いを挑もうとする。しかし、抜け道を知る河了貂(かりょうてん)が現れ、ともに抜け道を抜けることになる。
漂の想い、政の想い、信の想い~決断の時~
抜け道のなかで、河了貂の質問に促されるように政はこの間の出来事を語りだす。
嬴政「昌文君は自らの私兵では竭氏の反乱を鎮められないと算段し脱出計画を練った 脱出時バラバラになった場合の合流地がいくつかつくられた 国卑村はその一つだ しかしその帰り路で俺と瓜二つの少年と出会ってしまった」
信「!!」
嬴政「漂の出現で国髭卑村は脱出時の緊急合流地ではなく漂と入れ替わった俺の隠れ家となった 脱出劇に自信があった昌文君にしてみれば国卑村も漂という影もすべて”万が一”のためだった ……しかしその”万が一”のおかげで俺はまだ生きている」
信「ちょ…ちょっと待てよ… ま…万が一の…ためだと? 万が一のおかげだと? ふざけんじゃね!!!」
※信が政に殴りかかる
信「お前ら漂の命を何だと思ってやがる!! 漂の命をっ…」
河了貂「やっ やめろよ 信っ」
信「よくも漂をっ よくも漂をっ」
河了貂「やめろ信っ それ以上やったらっ… 王様死んじゃうよ!!」
信「漂の敵(かたき)だ」
※殴られっぱなしだった嬴政が信の首をつかむ
嬴政「お前 いい加減にしろ 戦争をやってるんだ それもかなり分が悪いな! 利用できるものはだましても利用するさ 下賤のガキならなおさらだ」
信「なっ 何だと 貴様?」
嬴政「……だけどあいつは分かっていた 漂はそのことを十分理解っていた 理解っていてあえて―――」
そして、漂が王宮に来た際のエピソードを語る。
そこには一寸の曇りもなく純粋に大役を引き受ける漂の姿があった。
漂「身代わり?」
昌文君「心配することはない 王弟勢力には気付かれぬように脱出の手立ては万全を期している 反乱の刃が王の身に届くということは絶対にない! ただ――念には念を入れておきたいというわけだ」
嬴政「ごまかすな昌文君 自信はあっても絶対の確信はないから影を必要としている はっきりそう言え 漂とか言ったなよく聞け この計画に安全の保証というものはない もしかしたら敵の刃はお前に届くやも知れぬ その時お前は俺と間違われて殺される」
漂「田舎村の下僕が一日にして王宮に仕えるなどよほど大変なことが待っていると覚悟してまいりましたがまさかこれほどの大任をお受けできるとは夢にも思いませんでした!」
嬴政「!!」
昌文君「漂!ではそなたっ…」
嬴政「死ぬかもしれないのだぞ」
漂「史に名を残す天下の大将軍 友と二人 身の程をわきまえぬ大望があります もとより全てを懸ける覚悟です」
漂の気持ちを伝えたあと、政は信に決断を迫る。
嬴政「漂は危険を承知で引き受けた 死をも厭わぬ覚悟で引き受けたんだ お前ら下層民が普通に生活していても絶対に手に入らない大きなものを手に入れるためにな!!」
※信を投げ飛ばす。そして悔しさを押し殺すように唇を噛み
嬴政「……だけどあいつは 失敗した それだけだ」
信「……」
※信、慟哭…
嬴政「信――― 漂の弔いはその涙で最後にしておけ これから先はお前の路(みち)だ」
信「?」
嬴政「お前には今 二つの岐路がある 里に帰って下僕を続けるか 薄弱の王を授(たす)け共に凶刃の野を行くか お前らのバカげた夢にどちらが近いかは言うに及ばんがな」
信は心に誓う。
俺の路―――考えるまでもない
信と政の出会いは、国家の行く末を俯瞰している「嬴政」と、目の前で起こる出来事に全力で立ち向かう「信」との、それぞれの立ち位置の違いがよく表れているエピソードです。
両者の対比のなかで、漂という大局観をもつ下僕というアンバランスな人物が物語の冒頭で登場してすぐに退場するところは、嬴政にとっても信にとっても心に大きな穴をぽっかりあけることになります。
そして、進むか退くかという二者択一の路を迫る嬴政、即座に答えを出す信。
信と嬴政の共通点。
それは、常に前を向いて考え行動するというところにあります。
大志をなすには、このブレない心「決断する力」が重要となってくるように思います。