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キングダムに学ぶリーダーを支える部下の心得! 最新53巻より【ネタバレ注意】 

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

漫画に学ぶシリーズ、発売されたばかりの『キングダム』第53巻よりリーダーを支える部下の心得について考えていきます。

 

 

以下、ネタバレ注意です。

 

 

第53巻では、大きくふたつのストーリーからなっています。
前半が遼陽(りょうよう)における「山の民vs犬戎族の戦い」のゆくえ、
後半が朱海平原における「秦右翼軍で信と王賁がそれぞれ飛信隊、玉鳳隊(ぎょくほうたい)を鼓舞」するシーンです。
どちらも『キングダム』の魅力が余すところなく伝わってくるシーンです。

 

ここでは前半部分「山の民vs犬戎族の戦い」を取り上げます。
信や楊端和のような先頭に立って部下を奮い立たせるリーダーではなく、そのリーダーを支える部下たちにスポットをあてています。

後半部分の信と王賁のリーダーシップについては、先日のブログでよく似た考察をしていますのでそちらをあわせて参考にしてください。

キングダムに学ぶ部下を鼓舞する方法! 信のやり方は経営学の王道である!? 採用活動に役立てよう

 

リーダーを支える部下の心得~メラ族新族長キタリ、フィゴ王ダント、猿手族族長エンポじィ~

第53巻では、山の民と犬戎との決戦が大詰めを迎えています。

 

前巻で「犬戎族の王ロゾ」の軍隊と趙国・舜水樹(しゅんすいじゅ)の軍隊に追い込まれ絶体絶命となっていた楊端和軍ですが、そこには楊端和の思い描いた戦いのシナリオがありました。

 

楊端和みずからが「おとり」となってロゾや舜水樹をおびき出し、別動隊がもぬけの殻となった城を占拠するというものです。その戦いのさなか、メラ族新族長のキタリ、フィゴ王ダント、猿手族族長エンポじィのリーダーを支える部下としての心得が魅力的に描かれています。

なお、リーダーがリーダーシップを発揮するように、部下(メンバー、フォロワー)の言動や行動のことを経営学ではフォロワーシップと呼ぶことがあります。
理想的な部下の行動とは、とは、フォロワーシップとは何か、ということとほとんど同じような意味です。

 

メラ族・新族長キタリのフォロワーシップ

メラ族は秦国壁軍の中心として犬戎軍・次兄ブネンの軍隊と戦います。

 

そこでの戦いで、メラ族族長のカタリは犬戎族ブネンの卑劣な戦い方の前に命を落としていまします(第52巻)。
キタリをはじめとしたメラ族は意気消沈しますが、軍の将である壁は、キタリを抱えて退却します。

退却後、壁は、次の族長としてキタリに決心を促します。
キタリは壁の言葉で兄・カタリとの会話を思い出し、新族長としての決意を固めます。

 

そして、壁軍・メラ族合同軍は楊端和のピンチがつづいている戦場へと向かいます。
そこでキタリが目にしたのは、フィゴ族と犬戎族との闘い、ケガをして敵に囲まれている楊端和、楊端和を狙い同じように決戦の場にきたカタリの敵・犬戎族ブネンの姿をとらえます。

 

そこで部隊の将である壁に対して見事なフォロワーシップを発揮します。

 

キタリ「ヘキショウグン はからずも今日っ… 今が この遼陽の戦いの決着の刻だ!」
壁「遼陽の… 決着… ではまず端和殿を救いに」
キタリ「チガウ!
壁「!?」
キタリ「私がカタリの仇ブネンを討ち楊端和を助ける 壁将軍お前は… 犬戎王ロゾの首を取りに行け!!
壁「え”っ」
キタリ「楊端和は最初からこの形を狙っていたんだ 確かにあいつらが一大勢力になる前はよくこの手を使っていた 仲間を信じて自分の身を切る作戦を… この機に全てがかかってる… 壁将軍 お前は戦いもパッとしない上に兵糧を焼かれた最低の男だ だがここで敵の大将ロゾの首を取れば全部帳消しにしてやる 楊端和に… 我々に壁将軍が男であることを見せてみろ!!

 

こうして、壁は犬戎王ロゾの首を、キタリはブネンの首を取りに行きます。

 

キタリは、山の民である楊端和軍の傘下にいますし、今回の戦いでは壁の軍に配属されています。
形式的には楊端和の部下、壁の部下ということになります。

楊端和軍が、そもそも山民族の連合国軍のようなイメージ、戦いのなかでの壁軍・メラ族合同軍はひとつのプロジェクトのようなイメージです。プロジェクト・リーダーが壁と考えるとわかりやすいと思います。

そこでのキタリは、楊端和にも壁にも言葉遣いはいわゆるタメ口で会話をしますので生意気な存在にみえます。
しかし、戦場に到着してすぐに楊端和の戦術を把握し、メラ族と壁軍の特性を瞬時に判断してリーダー壁に役割分担の進言をします。

結果的にキタリの作戦は大成功を収めることになります。

 

フィゴ王ダントのフォロワーシップ

フィゴ王ダントは登場時より、極めて口の悪い人物です(いわゆる下ネタをよく発言しています)。
また、キタリと同様、楊端和に敬語を使っているシーンはありません。

それでも、楊端和の実力について認めており尊敬と畏怖をもって接しています。

犬戎族三兄のトアクの首を取ったのち、楊端和の危機を聞きつけてまっさきに援軍として戦場に現れます。

 

ダント「端和の危機と聞いて戦場を越えてきたが… まさかこれは犬戎王の軍か!? 完璧ではないか 者共犬戎王の首を取れ…後略…」

りーだーである楊端和の危機を救うこと、そこで敵の総大将・犬戎王ロゾの軍を見るにつけ「完璧」なシナリオと喜びます。ロゾを討ち取ることで間違いなく武功第一となるからです。

 

ダント「……しかしよくもまァ 敵も味方も皆が皆 全員ここまできれいに楊端和の術中にはまったものだ クハハハ」
犬戎王の兵士たち「バカが 何を言っている」「策にはまったのは山の王の方だ」「はめられたせいで今 楊端和は追いつめられていうるのだろうが」
ダント「ああ 確かに追いつめられている お前達の城から遠く離れたこの地でな」
[犬戎王ロゾと対峙して]
ダント「貴様は死王の策に二重の意味ではめられておるわ 楊端和は城だけではなく本陣から動くことがなかった貴様の首も狙っておったのだ 貴様こそ自ら死線に出てきた大バカよ 死王に代わり大族フィゴの王ダントが貴様を討ちこの遼陽の最後の夜を終わらせるぞ!!

 

キタリ同様、フィゴ王ダントも楊端和の戦いの全体像を把握しています。
楊端和が自らをおとりとして絶体絶命の死地に飛び込んだのは、城とともに総大将ロゾをおびき出して倒すことにあったのです。

そして犬戎王ロゾとの戦いのなかで、なぜ楊端和に付き従うのか、その魅力を話しています。

 

ロゾ「フッ 王の一撃は岩より重かろう!」
ダント「クハハ何が王か 何が祖か」
※注「祖」について:ロゾは、もともと平地の民と戦っていた山民族の先祖は犬戎族であり、したがって現在も山民族の支配者は自分たち犬戎だと発言していた

ダント「一体何百年前の話をしているのだ貴様は 貴様ら犬戎と我ら山の民は大きく違う 貴様らはこの平地の中の孤島 遼陽に留まり続けたが我らは西の大山界で覇を争い戦い続けてきた 留まるお前達と違い我らはそれぞれの夢に立ち向かう者 共に戦っている秦軍も立ち向かう者だ だから我々は加勢してここにいる 勇者共の王ならば立ち向かう道を示さぬかロゾ 山界の王楊端和のように 何が岩より重いか 立ち向かう者共の刃の方が一千倍重いわァ」

 

自分たちの領地である遼陽城で代々王として君臨してきた一族のロゾと、それぞれの夢に立ち向かう楊端和との格の違いを表現した言葉です。

実際にロゾの一族は息子たちを含めて恐怖政治をおこない力で支配してきました。
ロゾが倒されたのち、犬戎族が山の民・楊端和に付き従うことになるのは必然だといえます。

 

猿手族族長エンポじィのフォロワーシップ

楊端和が別動隊の隊長として絶大の信頼を寄せているのが猿手族族長のエンポじィです。

猿手族の名前のとおり犬戎の城の城壁を素手で上り城を制圧します。
すっとぼけたじいさんですが、城を登るスピードなど今でも一流であるシーンが描かれています。

 

エンポじィもまた楊端和の戦術の全体像を知るひとりです。

【52巻より。遼陽城の城壁を前にして】
エンポじィ「……マンタンワ(楊端和のこと)め あ奴が昔からよく使う手だが必ず皆がひっかかる あ奴は自分が何より最上の”エサ”になることを自覚しておる

【53巻より。遼陽城の城壁の上で】
猿手族たち「くっくそ」「壁を登ってすぐのこの乱戦はさすがにくるな」「腕が上がらねェ」「ああ それに思ってたより残っていた敵が多いぞ」
エンポじィ「弱音を吐くな 外はもっと苦労しておる」
…中略…
エンポじィ心の声「…… 日の出までに必ず城は取る… じゃからお前達も必ず入場しに来るのだぞマンタンワよ―――

 

エンポじィは楊端和よりだいぶ年上ということもありますが、キタリたちと同様敬語は使いません。
それでも楊端和に絶対の信頼を寄せていることがわかります。
なぜなら、城に来るのが楊端和軍ではなく犬戎軍であれば、自分たちが城を包囲されてしまうからです。

 

さて、遼陽の戦いにおいて登場した楊端和軍の3名の登場人物について、それぞれのフォロワーシップをみてきました。

リーダーシップを考える場合において、リーダーの言動や行動に焦点をあてることがほとんどですが、フォロワー(部下、メンバー、参加者など)の言動や行動を考えることで、よりよいリーダーシップのあり方、チームマネジメントのあり方を考えることができます。

 

キングダムでは、化け物のような超人的人物とともに、その人物を取り巻くいわゆる普通の人たちのエピソードが充実していますので、21世紀の生き方・働き方のヒントをたくさんみつけることができます。

たとえば、秦国将軍の壁、飛信隊副長の淵さんなどは連載初期から中心的な役割を果たしている「普通の人」です。

今後このブログでも紹介していきたいと考えています、こうご期待ください。

 

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