新しい働き方とスターの移り変わり! 『楽してお金儲け?! 新時代を生きる若者達』を考える!
こんにちは、さんちゃんです。
本日は、「新しい働き方とスターの移り変わり!」について考えていきます。
きっかけは、チャンネル登録者数11万以上を誇るYouTuberのTOMOKIN(トモキン)さんに関する記事を読んだからです。
記事全文はこちらを参照してください。
「「馬鹿にする気満々…」テレビ出演断ったYouTuber 「本当にそうだ、と見せたかった」TOMOKINさん取材に語る」J-CASTニュース(2019年3月7日配信)
要約すると、
●TOMOKINさんはTV出演をはじめて断った。
●断った理由①.打ち合わせに担当者が事前連絡もなく遅刻してくる。こちらから連絡しても不通であったこと。
●断った理由②.番組タイトル(仮)が『楽してお金儲け?! 新時代を生きる若者達』といったYouTuberをバカにしていると思われる内容であった。
という内容です。
YouTuberがTV出演を断った理由
記事を読む限り、これまで何度かTV出演をしており、今回もオファーをもらって出演する予定だったようです。
オファー内容は当初の「新しい働き方のひとつとしてエンタメ動画を海外に向けて配信するTOMOKINさんへの取材」といったものから次のように変更になったため出演辞退となったようです。
事の発端は、2019年3月5日昼ごろ投稿したツイート。TOMOKINさんはテレビの出演を断ったことを明かしたうえで、「憧れの番組だし、依頼貰った時凄い嬉しかったけどテーマ聞いて失望した」とつづり、
「『楽してお金儲け?!新時代を生きる若者達』
仮の題目って言われたけど、YouTuber馬鹿にする気満々じゃん。
あと、楽って何?
テレビはまだ優越感に浸っているのだろうか」
と疑問を投げかけたのだ。…中略…
当初は出演を引き受けたTOMOKINさん。ところが企画の内容が変わり、「動画を1本上げれば後は外で遊んでてもお金ゲット!って面白いですよね」と言われたときには猛反発したという。最終的に題目が「楽してお金儲け?新時代を生きる若者達」と伝えられ、出演を辞退する事にした。
TOMOKINさんの気持ちはわからなくもないです。
自分が大切にしていることについて軽く扱われたと受け止めたわけです。
また、一連のやりとりをツイッターで発表(番組名などは伏せています)することについても、うやむやにされたくないという気持ちからとのことです。
「今回ツイッターに書かせていただいたのは、あくまで『ユーチューバー楽』って認識の人がまだまだいる。そういうのも含めて『違う』と発信したかったし、テレビの人って個人間で『ユーチューバー楽じゃないんです』と説得しても、動いてくれることは一切ない。だからこそツイッターで発信して、本当にそうなんだということを見せたかった」(TOMOKINさん)
ここでポイントと考えられるのは次の2点です。
1.YouTuberは「楽」なのか?
2.TVとYouTubeの関係は?
1.YouTuberは「楽」なのか?
記事を読んですぐにわかるように、TOMOKINさんはYouTuberであることに誇りをもっていらっしゃいます。
ですから、「YouTuber=楽」という表現が我慢できなかったというのがひとつのポイントです。
TOMOKINさん曰はく、「(ユーチューバーが)全く楽というのはなくて、企画や編集、撮影、何からなにまで自分でやらないといけないし、ビューアーを稼がないといけない」といっています。
ある意味では、大企業・分業型の働き方と、中小企業・成果主義型の働き方の違いと似ているかもしれません。
TV局は、大企業で業務内容も多岐にわたります。
部外者である私が知っているだけでも、ひとつの番組において、構成作家、音楽プロデューサー、出演者(俳優、タレント、アナウンサー、など)、大道具小道具、照明、音響、撮影、などの担当がいらっしゃいます。
一方でYoutTuberは、これらの担当をYouTuber自身か、比較的少人数でおこなうことが一般的です。
しかも視聴回数によって収入がダイレクトに増減するといったシビアな環境でもあります。
こういう違いがあるため「YouTuber=楽」という表現が気に入らなかったのだと思います。
2.TVとYouTubeの関係は?
同時に、このことがTOMOKINさんのTVに対する憧れや嫉妬に似た複雑な感情を呼び起こしているようにうつります。
「テレビはまだ優越感に浸っているのだろうか」という発言からもそのことが読み取れます。
「TV」と「YouTube」は、どちらが上か下かというメディアではないのですが、どうしても優劣をつけたがる感情がみえます。
少し前はより大きな概念で「TV」と「インターネット」の比較がよく議論されていました。
また、かなり古い話ですが、TVが黎明期の頃は「映画」と「TV」が同じような文脈で比較されていました。
新しい働き方とスターの移り変わり!
戦後まもなくから高度経済成長までは、TVは高値の花でした。
一家に一台「テレビ」が普及するまでは、映画館で映画をみることが娯楽の中心でしたので、そこで出演している俳優、いわゆる「銀幕のスター」が憧れの対象となっていました。
その後、テレビタレントが隆盛を極め、いまではYouTuberがなりたい職業ランキングに顔を出す時代になっています。
それぞれのメディアである映画、TV、Youtubeにはそれぞれの良さがあり、そこで活躍しているスターはそれぞれのメディアにあった魅力があります。
映画のスターといえば、高倉健さん、菅原文太さんに代表される骨太の俳優、女性であれば吉永小百合さんに代表されるような美人女優を思い浮かぶことができます。
スターはトイレに行かないというような都市伝説も生まれましたが、意味するところは「画面に映る姿=スターの姿」というもので私生活はベールに包まれているといった感覚です。
その後、TVは「お茶の間」と呼ばれるように、一家に一台のメディアとして定着します。
バラエティ番組や歌番組など多様なスターが誕生しましたが、放送当初は「生放送でドラマ」という番組もあったようです。
映画とTVの違いは、生放送による臨場感です。
そこにスターの素顔が垣間見える「身近さ」がまた惹かれるものがあるという相乗効果を生みました。
スター誕生などオーディション番組が定期的に放送され、素人が一夜のうちにスターになる演出も定着しました。
雲の上の存在(映画俳優)から、手を伸ばせば自分(テレビタレント)も、という感覚は映画にはないTVと視聴者との一体感を醸成したといえます。
そして約50年にわたり、TVはメディアの主役として君臨してきましたが、近年では、一家に一台から一人に一台、そしてスマホでインターネット視聴という一人にゼロ台と時代が進んでいます。
さらに重要なことは、TV番組の高度に作り込まれた番組演出などにより「やらせ疑惑」がでたり、リアルタイムの「新鮮さ」や「臨場感」が薄れることになりました。
そこにYouTubeというスマホひとつで「一人に一台、受発信が可能」というメディアを活用した「臨場感」や「新鮮さ」を求めた若者たちが「YouTuber」という働き方を形づくったといえます。
つまり、TVが映画に対して発揮していた「臨場感」という比較優位性が、今度はYouTubeに移りつつあるという状況がみてとれます。
かつて、映画は一流俳優のものでTVにでるのは二流のやつだと発言した銀幕スターがいましたが、多くの俳優はその後TVを主戦場に活躍することになりました。
だからといって映画がなくなったかというとそんなことはなく、毎年大ヒット映画が創り続けられています。
そして、いまではテレビタレントがYouTubeにチャンネルを持つ時代です。
口の悪い人のなかには、さきの銀幕スターと同じようにテレビが一流、YouTubeは二流という発言される方もいらっしゃると思います。だからこそ、TOMOKINさんのようにやや感情的な反論をされるのかもしれません。
今後は多様なメディアのひとつとしてTV、YouTubeそれぞれにおいて、演じる側、視聴する側がそれぞれに対して求めている内容や方法で発展していくのだと考えられます。
もし、今回の問題についてTOMOKINさんのYouTubeチャンネルでTV番組の担当者との対決動画&和解動画を投稿すれば視聴回数も上がるのではないでしょうか。