学生時代に力を入れたこと「アイドル」という就職活動! アイドルから女子アナへの転身を女性のキャリアとテレビ局の働き方から考える!
こんにちは、さんちゃんです。
ここ数年、気になっていたことをまとめた記事がありましたので紹介します。
それは、アイドルからアナウンサーへと転身する人が増えているという記事です。
「乃木坂、SKE、モー娘…アイドルの女子アナ転身が加速 テレビ局内定辞退者の増加も影響?」AERA dot.(2019年3月13日配信)
ある意味では、学生時代に力を入れたこと=「アイドル」という就職活動になっています。
本日は記事を紹介しながら、女性の新しい働き方、キャリア形成となり得るのか、さらにはテレビ局という人気業界の働き方についてのこれからを考えていきます。
アイドルから女子アナへ!~女性の新しいキャリア形成となり得るか!?~
アイドルが女子アナになる理由
アイドル出身のアナウンサーは、乃木坂46では市來玲奈(日本テレビ)、元モーニング娘。の紺野あさ美(元テレ東)、元SKE48の柴田阿弥(フリー)などがいる。
アイドルがアナウンサーに転身する理由について、芸能評論家の三杉武氏はこう分析する。
「アイドルとしてこの先やっていくのが難しいと感じ、安定志向になっている人が増えています。アイドルから歌手や女優を目指す人が多かったですが、一つの選択肢として女子アナを選ぶ流れが出始めています。高学歴のアイドルも増えてきており、この先、最初から女子アナになりたくて、アイドルをやり始める人も出てくるでしょう」
出所)「乃木坂、SKE、モー娘…アイドルの女子アナ転身が加速 テレビ局内定辞退者の増加も影響?」AERA dot.(2019年3月13日配信)
三杉武氏の分析のポイントとしては、
●アイドルを継続することは難しい
●アイドルから歌手や女優を目指す人とともに女子アナを目指す人が出始めてきた
●今後は、女子アナになりたくてアイドルを始める人も出てくる
といった3点が指摘できます。
さらに、三杉氏は、テレビ局側の要因として「「テレビ局も、人を育てるのが苦しい状況なので、即戦力のアナウンサーを求めるのが大前提。大学を卒業して普通に就職する人より、キャリアや知名度があるほうが話題性もあるし、局側にとっては使いやすい。」(出所:同上)といいます。
このように、アイドルの側とテレビ局の側とお互いの要望が合致していることがわかります。
アイドルになるための参入障壁が低い!
さらに、もうひとつ、
●アイドルになるチャンスが増えている
ということが付け加えられそうです。
アイドルという言葉には、80年代の松田聖子、中森明菜など「選ばれた存在」としてのスター性が求められる時代もありましたが、現在では「より身近な存在」としてのアイドルが人気です。
「会いに行けるアイドル」をコンセプトにAKB48が大人気を博したこともあり、AKB48の登場以降、これまで以上にソロやペアよりも大人数のアイドルグループに人気が集中している時代になりました。
ソロやペアのアイドルを目指すにはオーディションなどでもかなりのハードルだと思いますが、30~40名の募集枠があればチャンスをつかむ可能性も高いといえます。
さらにはご当地アイドルや地下アイドルなど多様なジャンルのアイドルが出ていますし、活動内容をYouTubeなどを活用して自分自身で発信することのハードルも低くなっています。
このような状況ですので、人生を賭けてアイドルになるという強い意志を持ってアイドルになる人もいますが、学生時代のクラブ活動、アルバイト、趣味などと同列の活動としてアイドルをはじめるという人もでてきています。
同時に、15歳、18歳、20歳などを区切りとしてアイドルを卒業していく人も少なくありません。
理由として、本当かどうかはさておき「学業に専念したい」という言葉がよく使われます。
このあたりもクラブ活動からの引退とよく似ています。
要するに一昔前と比べて、アイドルになるための参入障壁もそこから抜け出すための退出障壁も低くなっているということができます。
学生時代に力を入れたこと「アイドル」という就職活動!
このように書いてしまうと、一昔前よりもアイドルの本気度が低いと思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
多くの人が10代の頃には自分の可能性を信じて、さまざまな習い事やクラブ活動をしていたわけです。
ピアノ、ギター、ダンス、水泳、サッカー、野球、バスケットボール、・・・、
あげればキリがありませんが、これらの習い事を経験して実際にプロになる人はごくごく一部です。
そして、これらの活動を通して得られた知識、技能、立ち居振る舞いや人間関係を就職活動でアピールすることは極めて一般的なことです。
アイドルというとすごく特殊なイメージがありますが、一生懸命頑張っている、夢を追いかけている、という観点でいうと「野球チームに所属してプロ野球選手を目指す」という若者とそれほど大きな違いがあるわけではありません。
なお、就職活動においては何も特別な経験をしたことそれ自体が有利に働くわけではありません。
そのためアイドルをしてきたということ自体ではなくて、そこで何を得たのか、何を学んだのか、今後どのように生かすのか、といった内容や過程が重要になることもクラブ活動やアルバイトでの経験談と同じだといえます。
このようにアイドルを取り巻く環境、テレビ局の意図を考えると、おそらく今後数年間は、アイドル出身のアナウンサーが誕生するのではないかと考えられます。
テレビ局の働き方とこれから
一方、テレビ局の就職人気は近年、落ちているという。時代が変わったとはいえ、今でも、テレビ局での労働環境は厳しい。朝早くから夜遅くまで働き、給料は安定しているものの、かつての高給には程遠い。近頃は、プライベートを大切にしたいという理由からフリーに転身する女子アナも増えている。
「テレビ局に内定をもらっても、内定を辞退する人も増えてきているそうです」(大手広告代理店関係者)出所)同上
メディアの王様としてテレビが栄華を誇っていたのは残念ながら一昔前までのこととなってしまいました。
もちろん、今でもテレビの影響は絶大ですが、さまざまな番組の視聴率をみても一昔前のようなビッグヒット連発というわけではありません。記事にもあるように労働環境の厳しさもあって就職人気は落ちているようです。
結果として、業績が伸びない、育成に時間が避けない、人材が育たない、育てた人材が辞めてしまう、そうすると良い人材が入社してこない、ますます業績が伸びず育成できない、という負の循環に陥っているように感じます。
何もしなくてもたくさんの人から選ばれる業界で、テレビ局側で人材を自由に採用できるのであれば現状の働き方で殿様商売を継続すればいいと思われますが、どうも時代の流れはそうではないようです。
短期的にはアイドル経験者はアナウンサーの貴重な供給源と考えられますが、アイドル経験のある人を即戦力だという理由で採用できたことに喜んでいるだけでは、数年後には自局に人材育成のノウハウがなくなり、人を育てられない会社になってしまう危険もあります。
これまでテレビ局は、女性のアナウンサーを「女子アナ」と呼び、30歳定年説などと噂されるように一定の年数で「使い捨て」のような働き方をしてきました。
このままテレビ局が裸の王様化してしまうと、これからは女子アナの側が一定年数在籍することのみを目的にテレビ局を使い捨てにする時代がくるかもしれません。