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リンガーハット、労使合意で全店舗休業日を設定! セブンイレブンの時短実験はどうなる?

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

本日は、幸楽苑ホールディングスやスシローグローバルホールディングスなどにつづいて長崎ちゃんぽんを全国展開する株式会社リンガーハットも全店舗で一斉休業日を設定する取り組みについて紹介します。

あわせて明日21日からに迫ったセブンイレブンの時間短縮営業の店舗実験について紹介します。

 

いよいよ4月から本格始動する働き方改革の一環として各社さまざまな取り組みがなされています。

社会全体としてどのような働き方改革になっていくのか、2019年度を予想します。

 

リンガーハットも一斉休業日を設定へ!

リンガーハット(長崎市)は19日、全国のちゃんぽん店「リンガーハット」と「とんかつ浜かつ」に一斉店休日を設ける方針で労使合意した。働き方改革の一環で、元日などを検討する。実施すれば約35年ぶりの一斉休業となる。

労働組合側の要望を受け、同日の労使交渉で「前向きに検討する」との内容で妥結した。同社は全国でちゃんぽん店約670店、とんかつ店約100店を展開しているが、うち半数近くをショッピングセンター(SC)内に出店しているため、SC運営側との協議が必要になる。同社幹部は「理解が得られれば年1~2日休みたい」としている。

出所)「リンガーハットも一斉店休日 35年ぶり 労使合意、元旦など検討」西日本新聞2019年3月20日配信

 

リンガーハットの一斉休業のポイントは、

●労働組合側から一斉休業の要望を出した
●使用者(経営)側は「前向きに検討する」と回答した
●年に1~2日の一斉休業を検討している
●ちゃんぽん店約670店、とんかつ店約100店の半数はショッピングセンター(SC)で営業しているため、SCと調整する

となります。

 

すでにブログで何度も書いていますが、「働き方改革の実質化」に向けた動きがとどまるところを知りません。
大きな社会的なムーブメントとなっており、全国でチェーン展開している有名外食企業を中心に従業員の休日確保、労働時間の短縮などの改革案を実行しています。

 

この流れはもうしばらく続くことが予想されますので、2019年度に入ってからも続々と一斉休業を実施する企業がでてくるものと思われます。

 

セブンイレブンの時短営業実験とオーナーの労働者性について

直営10店舗、16時間・18時間・20時間の3営業時間体制での時短実験を開始!

そしていよいよ明日21日からセブンイレブンが営業時間を短縮した店舗で売上や商品搬入などのオペレーションがどのように変化するのかについての実験が開始されます。

 

セブン―イレブン・ジャパンは21日から、直営の10店で営業時間を短くする実験を始める。実験の対象にはフランチャイズ(FC)店も加える方針だが、まず直営店で売り上げや商品搬入への影響を調べる。

実験店の一つはセブン―イレブン本木店(東京都足立区)。実験中は午前5時から午前1時までの20時間営業となる。当初発表していた午前7時~午後11時の16時間営業の店や、午前6時~翌午前0時の18時間営業の店を合わせ、三つの営業時間を設定するという。

出所)「セブンイレブンが時短実験 まず直営10店で21日から」朝日新聞DIGITAL(2019年3月20日配信)

 

セブンイレブンにおける営業時間短縮の店舗実験のポイントは、

●直営10店舗で実施する
●16時間営業、18時間営業、20時間営業の3タイプの営業時間を設定する
●今後はフランチャイズ店舗も実験に加える

となります。

 

先日の東大阪市におけるオーナーとのトラブルが全国的に知れ渡ったことから、急遽の店舗実験に踏み切るかたちにみえますが、それでも10店舗、3営業時間体制で実験をおこない、今後フランチャイズ店舗も含めた大規模実験へとつなげていく姿勢は評価されていいものと思います。

 

ちなみに、くだんの東大阪市のオーナーに対して要求していたとされる「契約解除」や「約1,700万円の違約金支払い」については要求しないことになりました(「「違約金とらない」セブンイレブン本部が「時短営業」の加盟店に連絡」ABCテレビ(2019年3月14日配信))。

 

 

セブンイレブンオーナーは「労働者」ではない!?

リンガーハットやこれまで一斉休日を実施してきた企業と、営業時間の短縮で本部とオーナーがもめているセブンイレブンのケースでは何が異なるのでしょうか。

 

一斉休日等を実施できた企業とセブンイレブンとの大きな違いに、セブンイレブンのオーナーがセブンイレブンとの労働契約にもとづく従業員ではなく、セブンイレブンとのフランチャイズ契約にもとづく「個人事業主」だということがあります。

 

労働組合と使用者の間の労働争議を調整する中央労働委員会は3月15日、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートとそれぞれ加盟店契約(フランチャイズ契約)を結んでいるオーナーらが「会社側が団体交渉に応じなかったことは不当労働行為だ」として救済を申し立てていた事件について、オーナーらの申し立てを棄却する命令を出した。

命令の中で中労委は「加盟者(オーナー)は、独立した小売事業者であって、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」「加盟者は、会社から労働供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、加盟者の事業者性は顕著である」などとし、「加盟者は労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない」と判断した。

出所)「セブン店主ら、「労働者」ではない判断に落胆」東洋経済オンライン2019年3月16日配信

 

コンビニオーナーらは、「コンビニ加盟店ユニオン」を結成して中央労働委員会に労働組合であることを認めてもらうように働きかけてきました。
労働組合と認められると「団体交渉」を使用者(経営)側とできる権利が発生するため、そこに慎重な判断が求められます。

 

今回の結果は、中央労働委員会として、コンビニオーナーは労働者性ではなく事業者性が顕著であるとしてオーナー側の働きかけを棄却しました。

 

とはいえ、今回のセブンイレブンの事例以前にもオーナーとコンビニ本部とでトラブルとなった際に、2014年に岡山県、2015年に東京都の労働委員会がオーナー側の主張を認め団体交渉をおこなうようコンビニ本部側に命令していたこともあり、今後、コンビニオーナーの労働者性についてはさらに議論が巻き起こることになりそうです。

 

たとえば、

●営業時間について、オーナーが独自に設定できない
●販売する商品について、オーナーが独自に設定できない
●商品の販売価格について、オーナーが独自に設定できない

などといった特徴があるコンビニオーナーが100%個人事業主で労働者としての側面を持ち合わせていないのかといわれると疑問があります。

 

都道府県の労働委員会ではオーナーの労働者性を認めていますし、今回の中央労働委員会も「加盟者(オーナー)の事業者性は顕著である」といっていますので、事業者としての側面がすべてではないと受け取ることもできます。

 

もちろん、個々別々のコンビニオーナーの要望をすべて聞いていたら営業時間がまちまちになったり、定休日が出来たりと24時間365日営業のコンビニブランドは崩壊します。

最悪の場合、加盟店全店舗が廃業するということになるかもしれません。

 

このあたりは、コンビニ本部、オーナー(個々のオーナーの意向、オーナー全体としての意向)、それぞれの立場で意見が異なりますので、簡単に解決する問題ではありません。

 

それでも東大阪市のコンビニオーナーの行動から「当たり前となったコンビニ」と「コンビニにおける働き方」が大きく変化していくことは間違いありません。

 

時短実験の結果、セブンイレブン本部がどのような対応策を提示するのか働き方改革の今後を占う意味でも大いに注目されます。

 

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