平成の30年間で変化したこと(1)労働組合の影響力・組織率の低下
こんにちは、さんちゃんです。
平成と令和をつなぐ大型10連休がはじまりました。
そこで、平成の30年間で変化したことについてブログでつづっていきたいと思います。
第1回目は「労働組合の影響力・組織率の低下」についてです。
平成の30年間で労働組合の組織率等は徐々に低下し続けたため、あまりメディアには取り上げられることはありません。
しかし、労働者を取り巻く環境、働き方を考える際に最も大きく変化したことのひとつだといえます。
第90回メーデー中央大会の開催
連合は27日、第90回メーデー中央大会を東京都渋谷区の代々木公園で開き、約3万7千人が参加した(主催者発表)。神津里季生会長は「長時間労働を是正し、過労死・過労自殺を根絶することが先決だ。働く仲間が生き生きと働くことのできる世の中にしないといけない」と訴えた。
出所)「連合がメーデー中央大会 「過労死・自殺根絶を」」共同通信2019年4月27日配信
「連合」とは、日本労働組合総連合会の略称で日本の労働組合のナショナルセンターとして最も有名な団体です。
神津里季生(こうづ りきお)会長の発言にもあるように、長時間労働の是正、過労死・過労自殺の根絶といった働き方の見直しを優先課題としています。
そういう意味で全国の労働者の代表となり得る組織といえます。
しかし残念ながら、労働組合の組織率は平成の30年間でどんどん低下していき、その影響力も低下の一途をたどってきました。
労働組合の組織率の低下
労働組合の組織率(雇用者に占める労働組合員の割合。推定)は、1949年(昭和24年)が最も高く55.8%と労働者の2人に1人以上が組合員という時代がありました(厚生労働省「労働組合基礎調査」より、以下同じ)。
その後、急激な経済成長とともに1960年頃まで大きく低下しましたが、それでも1980年頃まで30%から35%のあいだで組織率はほぼ横ばいといった状況でした。
ところが昭和の終わりから組織率は右肩下がりの緩やかな減少が始まり、平成の30年間はほぼ一貫して低下の一途をたどりました。
平成元年には25.9%と4人に1人しか組合員ではなくなり、その後一度も26%台に回復することはありませんでした。
直近の数字を見ても2018年の組織率は17.0%で7年連続で過去最低を更新中となります(「労組組織率17% 過去最低を更新 厚生労働省」朝日新聞2018年12月19日配信)。
一億総中流や標準世帯という言葉が語られていた時代は、高校や大学を卒業後、就職、結婚、子育てといったライフステージにあわせて賃貸マンションから郊外の戸建て住宅の購入、自動車の購入、生命保険の加入、など多くの人がごく自然に同じように思い描く人生設計が広がっていました。
しかし平成の30年間のあいだに、雇用形態が多様化して非正規労働者が増えるにつれて働く人の意識や考え方も多様化してしまったため、労働者のあいだでもいわゆる正社員と非正規とのあいだで利害関係が複雑になってきました。
残念ながらそういった労働者の意識の多様化に対して労働組合の対応には限界があったため組織率は年々低下しており、当然ながら影響力も低下し続けています。
経営者と労働者のパワーバランスでどうしても労働者の力が弱くなってしまうため、労働者が労働組合として団結することで経営者に物申すことができるのが労働組合の強みですが、現在では、現場の労働者から労働組合に寄せる期待はさほど大きなものではなくなっているといえます。
平成に入り非正規労働者へも組合員の門戸を広げていますが、そこまで大きな動きにはなっていません。
令和の時代の労働組合のあり方とは
今後も非正規労働者が増えることは予想されていますし、外国人労働者の受入も進んでいます。
さらには昨今話題となっているコンビニ加盟店のオーナーなどといった自営業主と労働者とを併せ持つような働き方である人たち、そこにはフリーランスとして働く人たちの一部も含まれています。
そういう働き方をしている人たちに対して労働組合としてどのように取り込んでいくのか、令和の時代の労働組合のあり方が問われているといえるのではないでしょうか。