餃子居酒屋が「0円餃子」で躍進! メイン料理を無料にする戦略とは!?
こんにちは、さんちゃんです。
興味深い記事をみつけました。
餃子居酒屋が「餃子を無料」で提供することで売上を2倍にしているというのです。
餃子を無料で提供する餃子居酒屋の摩訶不思議なビジネスモデルを経営学の視点で分析します。
餃子が無料の餃子居酒屋、そのビジネスモデルは?
「うちはドリンク1杯につき、餃子1皿(5個入り)が無料になります。ドリンクはソフトドリンクでもOKで、会計のときにドリンクの杯数に応じて餃子の料金を引かせていただいています」と、店長の齋藤博史さん。餃子は通常1皿で税込み270円。5杯ドリンクを頼めば、これが5皿分無料になるということだ。ビールなら1杯税込み496円。ワンコインで餃子とビールを楽しめることになる。しかし、これで店の利益は大丈夫なのだろうか。
出所)「「餃子0円」で利益2倍 高円寺の居酒屋はどうやって儲けている?」日刊ゲンダイDIGITAL(2019年6月8日配信)
重要なポイントは、ドリンク1杯につき餃子1皿無料となる点です。
餃子単品でも注文できますが、1皿270円であればビールを1杯498円で注文してもれなく餃子が付いてくるサービスは魅力的にうつります。
またソフトドリンクでも1杯につき餃子1皿が無料でついてくるため、顧客の7割は20代女性となっているようです。
記事では、店長の齋藤さんのインタビューで、餃子居酒屋の売上低迷期において「レディースデー」や「1皿100円」など割引サービスを試行錯誤しても売り上げにつながらなかったこと、そこで餃子0円で提供したところ客数が増えたため、最初は期間限定サービスで始めた餃子0円が現在もつづく恒常的なサービスなり店のウリとして定着したとのことです。
記事内では、餃子の種類を1種類に限定することで調理の効率化を図りコスト削減につながっていることなどが紹介されていますが本質的な儲けの仕組みについては記述されていません。
この餃子居酒屋のビジネスモデルとしての特徴は、
1.メイン料理である「餃子」を無料提供サービスの対象としたこと
2.ドリンクという最も利益率の高い商品とセット販売していること
3.セット販売とは言わないこと
にあります。
メイン料理を無料提供する斬新さと面白さ!
メイン料理を無料提供するところに発想の面白さがあります。
一般的な考えだと、メイン料理を注文してくれたらサブ料理やドリンクが無料となるサービスが思いつきます。
また餃子のような料理だと2皿注文すると割引や1皿おまけなどの複数注文に対するお得なサービスなども比較的簡単に思いつく戦略といえます。
このお店が面白いところは、メイン料理を無料提供することで顧客にインパクトを与えているところにあります。
通常、餃子居酒屋であれば餃子は「こだわりの餃子」であり、それ相応の対価を求めるのがお店として当然の考えですか、そこをあえて無料提供にすることで話題をつくり別の儲けの仕組みを構築したところに戦略が垣間見えます。
ドリンク注文で餃子1皿無料が儲かる!?
飲食店だとドリンクは最も利益率の高い商品のひとつです。
ドリンクは調理の必要がありません。
そして大量に仕入れることで1杯あたりの単価を極端に低下させることができます。
有名な話ですが、消費税3%が導入されるときに飲料メーカーの業界で100円の缶ジュースを「110円」にするか「消費税3円分減らすか」が議論されました。
結論はご存じのとおり110円に値上げを実施したわけですが、決定打となったのは「消費税3円分減らすと、種類によっては中身が半分以下になる」という事実です。
つまり、ドリンクそれ自体の価格は数円程度ということになります。
ですからドリンクが大量に注文されると飲食店は儲かることになります。
ここに「餃子1皿注文するとドリンク1杯無料」ではなく「ドリンク1杯注文すると餃子1皿無料」のビジネスとしての本質があります。
「餃子セット」といわないところが勝負の決め手!?
ドリンクを1杯注文すると餃子1皿が無料でついてくるサービスというのは、言い方をかえると餃子とドリンクの「餃子セット」といえます。
餃子とビールで498円ですから高くはありませんが、似たような価格で餃子とビールを提供している居酒屋を探すことは難しいとは思いません。
もしかすると居酒屋激戦区などでしのぎを削っている大手居酒屋チェーンなどではもっと安く餃子とビールを楽しむことができるかもしれません。
この餃子居酒屋の戦略で最も興味深いポイントは「餃子セット」と表現していないところです。
餃子セットと表現してしまうと、まったく新鮮味のない餃子居酒屋でありがちなありふれたサービスに成り下がってしまいます。
あくまでも無料、それも餃子を注文でドリンク無料ではなく、ドリンクを注文することでメイン料理である餃子を無料提供としたことが成功の秘訣といえます。
ネーミング・表現の秀逸さ、発想の斬新さが成否を分ける好事例!
たとえば牛丼チェーンやハンバーガーチェーンでは牛丼やハンバーガーがメイン料理です。
それぞれ大手チェーンがしのぎを削っていますが、そこにはメニューや価格の組み合わせによるセット販売が販売戦略の中心となっています。
餃子居酒屋の「0円餃子戦略」を牛丼チェーン等に置き換えると、牛丼チェーン(ハンバーガーチェーン)でドリンクを1杯購入すれば牛丼(ハンバーガー)をひとつ無料で提供しますと表現しているのとまったく同じになります。
メイン料理を無料提供する戦略というのは、お店としてある種のこだわりやプライドを捨てた発想の転換ともいえますし斬新なビジネスアイデアともいえます。
これからこのビジネスアイデアを模倣する居酒屋やファミリーレストランなどが登場するかもしれません。
ネーミングや表現の工夫次第ではたくさんのお客さんを呼び込める好事例といえます。