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コンビニ業界の「保険のおばちゃん」システムが崩壊! セブンに続きローソンでもオーナーが反旗!

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

4月に世耕弘成経済産業大臣が異例の大手コンビニ代表者を集めた意見交換会が開催され、大手コンビニチェーンが行動計画を発表してひと段落したかに見えましたコンビニ業界でまた大きな動きがありました。

 

今度は埼玉県春日部市内のローソンのフランチャイズ(FC)加盟店オーナーが時短営業やフランチャイズ料金などをめぐりローソン本部と団体交渉を申し込みました。

 

ローソン本部側は団体交渉を認めず個別交渉をおこなうとしていますが、いよいよコンビニの成長戦略の核心に迫る「保険のおばちゃん」システムに限界がきています。

 

ローソン・オーナーの切実な訴え

 埼玉県春日部市内でローソンのフランチャイズチェーン(FC)加盟店を経営する50代の男性が14日、24時間営業の見直しなどを求めて、個人加盟労働組合を通じ本部に団体交渉を申し入れた。ローソンのFC加盟店主が本部に団交を申し入れるのは、2011年以来。本部側は団交には応じず、個別に対応する意向だ。
男性側は、時短営業の容認▽チャージ(経営指導料)の見直し▽アルバイト人件費の支援▽契約内容の口外を禁じる契約条項の削除――の4点について、協議に応じるよう要請。本部側は、今年3月に中央労働委員会がFC加盟店主を労働組合法上の労働者と認めない判断をしたことを理由に、これを拒否した。
東京都内で記者会見した男性は、低収入を補うため自身は月400時間、妻は夜間に月250時間勤務しているなどと説明。「これだけ働いても成り立たないのがコンビニの現状だ」と訴えた。
ローソンは「これまでの状況を確認し、今後オーナーと真摯(しんし)に協議して対応していく」としている。

出所)「ローソンFC加盟店主、24時間営業見直しなど求め団交申し入れ 本部は個別対応の意向」毎日新聞2019年6月14日配信

 

コンビニのフランチャイズ加盟店オーナーに労働者性があるかどうかは議論がわかれていますので、今回では深く紹介しません。以前ブログで詳細に紹介していますのでこちらを参考にしてください。

コンビニオーナーは経営者か労働者か!? 24時間営業は権利か義務か!? オーナーの労働者性について考える!

 

記事によるとオーナー側の要求は、
①時短営業の容認、
②チャージ(経営指導料)の見直し、
③アルバイト人件費の支援、
④契約内容の口外を禁じる契約条項の削除、
の4点のようです。

 

①や②はセブンイレブンなどでも議論されているようにコンビニの成長戦略であるフランチャイズそのものにかかわるポイントです。

③は毎年のように上昇する最低賃金などに関連した人件費の高騰が直接のポイントですが、そこには依然と比べて業務内容や業務量が増えているにもかかわらず時給の伸びがそこまでではないとして学生アルバイトがコンビニを敬遠しており、結果的に日本語に不慣れな外国人を雇用せざるを得ないが従業員間でのコミュニケーションで課題を抱えるなどオーナーとして心理的な負担が増しているという間接的なポイントも考えられます。
また、都心部や大学等が近隣にあれば外国人の応募も一定数いますが地方だとそもそも応募してくるアルバイトがいないという悩みも抱えることになります。

 

④については詳細がわからないのでコメントを差し控えます。

 

いずれにしても、オーナーの主張は「低収入を補うため自身は月400時間、妻は夜間に月250時間勤務」しても「これだけ働いても成り立たないのがコンビニの現状だ」ということに尽きるかと思われます。

 

一斉を風靡した「保険のおばちゃん」システム

昭和の時代の話になりますが、生命保険の外交員の働き方に注目が集まった時代がありました。

 

女性の割合が多く、歩合給で高額報酬が可能であったこともあり、そのパワフルでタフネスな保険加入の営業から保険外交員は「保険のおばちゃん」と尊敬のまなざしで見られたり畏れられたりしていました。

 

そこには、安定的な経済成長が見込める時代背景と一億総中流といわれたように20代、30代、40代、50代・・・とライフサイクルにあわせたロールモデルとなる事例が豊富にあり、いい意味で10年後20年後の生活を思い描くことができた時代です。

マイホームや自動車を購入したり、結婚や出産、子どもの学費、夫婦の収入などを勘案して「保険のおばちゃん」がすすめる生命保険に加入する人がたくさんいた時代です。

 

とはいえ、元祖「保険のおばちゃん」システムで成長してきた生命保険会社も現在ではそこまで景気がいいわけではありません。

 

理由は、右肩上がりの経済成長が見込めず、収入が不安定になり未婚化晩婚化の流れのなか10年度20年後の生活が見通しづらくなり保険に加入するにしても厳選して加入するなど環境や意識に大きな変化があったこと、インターネットやAIなどの影響でかつての保険外交員の営業や窓口業務が苦戦していること、などが考えられます。

 

このような環境の変化の中で、大手生命保険会社と歩合給で契約していた保険のおばちゃんたちは一部を除いて収入が減少することになり保険外交員の仕事から離れていきました。

 

要するに「保険のおばちゃん」システムは、女性がいきいき働くことができる高額報酬の魅力的な仕事としてたくさんの働き手が集まるわけですが、同時に想定していた報酬が得られない、ノルマ競争が厳しいなどたくさんの人が辞めていき一部のエースが生き残るという「多産多死型」の働き方ということができます。

 

コンビニ業界の「保険のおばちゃん」システムも限界に・・・

社内外の競争に生き残ったスター保険外交員が高額報酬を手に入れている一方で、大多数の保険外交員は一定期間で退職しているという構図は、コンビニのフランチャイズチェーンの構図と類似しています。

 

保険外交員(コンビニFC加盟店オーナー)は、他社とはもちろん自社の外交員(オーナー)とも競争する環境にあり、本部は必ず収益が上がるが外交員(オーナー)個人は高収益の場合もあればそうでないこともあるシステムという共通点があります。

 

コンビニのFC加盟店オーナーは、その才覚次第で大きな報酬を稼げることが魅力ですが、現実にはオーナーがコントロールできる領域は極めて少ないです。

販売する商品やサービスはコンビニ本部が主導で決まりますので新商品が発売されるたびに新しいことを覚える必要があります(一方で販売中止になった商品やサービスに関連する知識や作業はほぼ無価値となります)。

 

保険のおばちゃんと同様、他社チェーンのコンビニだけでなく同じコンビニチェーンの他店舗も競合他社となります。
同じチェーンの店舗同士で売上の奪い合いやアルバイトの奪い合いがおこなわれるとなれば一般的なオーナーであれば神経をすり減らすこと間違いなしです。

 

しかも長期的な街中の変化に対して、予想できないにも関わらず想定しておかないといけないという「無理ゲー」(極めて難易度が高く攻略が不可能に近いゲームのこと)状態がコンビニオーナーにはあります。

すぐ近くに新しいコンビニができる可能性を10年20年スパンで予想することは不可能に近いです。

 

このような状況のなかでも、街中を歩くといたるところに新しいコンビニが出店するという看板を目にします。
脱サラして開業、酒屋やタバコ屋から鞍替え、なかには以前もコンビニがあった立地に新しいコンビニがたつということもあります。

そして出店と同じように閉店していくコンビニが数多くみられるのも現実です。

 

適度な競争環境と顧客の将来に向けての増加という環境下において「保険のおばちゃん」システムは有効に機能しましたが、今や飽和状態で過当競争にあるコンビニ業界において、各FC加盟店のオーナーにしてみると「敵も味方も敵」というような八方ふさがりにあるのではないでしょうか。

 

今後、出店と閉店のバランスが崩れ閉店するコンビニが増大するとコンビニの成長戦略が根本から崩れ落ちることになります。

 

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