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コンビニオーナーは経営者か労働者か!? 24時間営業は権利か義務か!? オーナーの労働者性について考える!

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

弁護士ドットコムの記事に、あまりにも生々しい記事が掲載されていました。

 

「セブンオーナー「過労死寸前」で時短営業…「契約解除」「1700万支払い」迫られる」弁護士ドットコム2019年2月19日配信

 

本日は、コンビニオーナーの労働者性について考えていきます。

 

セブンイレブンの24時間営業契約は変更可能か?

記事によると、セブンイレブン南上小阪店(東大阪市)では、2018年に毎日店舗で働いていたオーナー松本実敏さんの妻が亡くなる前後から人手不足が慢性化しており、オーナー自身が1日16時間程度店舗で働かないと成り立たない状況になりました。

そこで松本さんが営業時間の短縮を本部に掛け合ったところ、受け入れられず24時間営業を絶対視されたようです。

とはいえ、1日16時間、不眠で50時間勤務をすることもあり限界を迎えたため、実際に2019年2月1日からは午前6時から深夜1時までの19時間営業に踏み切ったようです。

 

本部からは24時間営業に戻さなければ契約解除や約1,700万円の違約金支払いを通告され、現在も対立しているようです。

 

オーナー側としては、
●最低賃金の上昇などアルバイト人員の確保が難しい
●毎日働いていた妻が病気になり人手不足に拍車がかかった
●妻が死去してからは大学生の息子が手伝ってくれている
●本部に支援要請をしたところ葬儀に近い時期でのスタッフ派遣のみで支援体制は不十分
●オーナーと本部でのロイヤリティの割合をオーナー側として減らしてもいいので、深夜営業をやめたい
と訴えています。

 

一方、本部側としては、
●人員確保は原則オーナーの責任である
●求人が上手くいかないのはオーナーの問題でもある
●24時間は「安全安心・利便性の提供」のため「今日の実情に合わせ」ると必須である
と回答しています。

 

本部がいうところのオーナーの問題とは、過去に客からのクレームが多かったなどの評判が影響しているのではないかとのことですが、オーナーとしては開店以来平均的な売上を計上している店舗でもあるため、それは理由にはならないとして対立しています。

 

様々な論点が考えられますが、最も重要な点は「24時間営業は権利か義務か」ということです。

 

セブンイレブン本部とオーナーとのフランチャイズ契約は次のようになっています。

セブンのFC契約では、これまで基本契約書と付属契約書の2つが交わされていた。「基本」では、営業時間は午前7時~午後11時(セブン-イレブン)だが、「今日の実情に合わせ」て登場した「付属」で24時間営業が規定されている。

出所)「セブンオーナー「過労死寸前」で時短営業…「契約解除」「1700万支払い」迫られる」弁護士ドットコム2019年2月19日配信

 

契約書には「基本」と「付属」があり、今日の実情に合わせて付属が一般的になっているようです。
特別な事情のある店舗(商業施設等に入っている店舗など)を除いて、基本契約である午前7時から午後11時までの営業をしている店舗は皆無となっているようです。

 

さて、先の問いかけの回答ですが「24時間営業は本部にとって権利でありオーナーにとって義務である」ということができます。

 

本部にとっては、営業時間が長ければ売上(正確には粗利益:売上から仕入代金を差し引いた利益)から計算する分配金が多くなるため、1分での長時間営業が望ましいことになります。
本部の言葉を借りると「今日の実情に合わせ」24時間営業を権利として行使している状況といえます。

 

オーナーにとっては、実質的に24時間営業を強制されていますので(契約解除や違約金の存在もあるため)、24時間営業は義務といえます。

 

本件がどのような決着をみるのかわかりませんが、本当に24時間営業が必須であるのか、コンビニの本部やオーナーだけではなく客としていくわれわれすべてに問いかけられている課題でもあります。

 

昨今の外食業界で始まっている元日休業や年中無休店舗の休日設定などが広まってくると、今後、「今日の実情に合わせ」の解釈が、24時間営業が当然とする考えから店舗名の由来でもある午前7時から午後11時までの営業に時間短縮が当然視されるかもしれません。

 

そこで形成される社会的合意によっては、ビジネスのあり方や働き方が大きく変わることも考えられます。

 

コンビニオーナーは経営者か労働者か?

このようにコンビニでは24時間営業が実質的に義務化しています。

 

そこで、コンビニオーナーは経営者か労働者かという問題を考えていきます。

 

コンビニではスタッフを確保しづらい状況が続く。最低賃金は年々上昇しており、この傾向は今後ますます強くなると予想されている。加盟店の多くは家族経営だけに、松本さんのような事例は、ほかでも起こりうる問題だ。

独立した事業者」ではあるが、コンビニオーナーには営業時間を決める自由がない。解約金や違約金が発生しうるためギリギリまで働き、「24時間年中無休」を支えなくてはならない。そんな業界の当たり前に一石が投じられている。

出所)同上

 

前述のようにコンビニは24時間365日営業が義務となっています。

 

ただし、スタッフを雇用してシフトを上手に回すことで「オーナー自身は」1分も店舗に立たないということも可能です。
現実的にはそんなことをするとスタッフの人件費が高額になるため、オーナー自身やオーナーの家族がスタッフとしてシフトに入ることでできる限り経費削減をしているのが一般的なコンビニ店舗の経営といえます(そのためオーナーの16時間労働にもつながっています)。

 

オーナーは「独立した事業者」としてフランチャイズ契約をコンビニ本部と結んでいるということになります。

しかし、店舗の営業時間を自由に決めることができず、自身の労働時間を自由に決められないという実態があります。

 

このことは以前に問題となったフランチャイズのファストフードやファストファッションの店舗における「名ばかり店長」問題とよく似ています。

 

裁判にもなりましたが、名称が「店長」であっても実質的には労働時間を決めることができず、販売する商品や仕入れ先業者も選択できないことから、名ばかり店長の「労働者性」が認められたケースは少なくありませんでした。

 

コンビニのオーナーであっても、その働き方に労働者性が認められる可能性があります。

有名な事例ですが、1年間の働きで翌年報酬が10倍になることもあるプロ野球選手が選手会として「労働者の権利であるストライキ」を実施したことがありました(当時の選手会長は古田敦也氏)。

プロ野球選手は個人事業主的なプロフェッショナルとしての性格と、球団に属している労働者としての性格の両方を併せ持つという解釈にもとづいています。

 

これまでの過去の事例をふり返って考えると、フランチャイズのコンビニオーナーは「経営者としての性格」と「労働者としての性格」の両方を併せ持つ働き方として考えることができます。

 

コンビニ本部としてはビジネスモデルが大きく崩れますので、オーナーの労働者性を容認できないことは当然だと思いますが、この問題がどのような結果を迎えるかによっては街並みの風景が激変するかもしれません。

 

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