藤井聡太七段の強さの本質に迫る!
こんにちは、さんちゃんです。
本日7月9日の棋聖戦第三局、渡辺明棋聖と挑戦者・藤井聡太七段の一局は午前中から駒がぶつかり合う激しい展開に。
棋聖戦第三局、結果は如何に!?
タイトル戦登場以来、一度も勝ち星を取ることなくストレート負けの経験がない渡辺明棋聖に、圧倒的な強さでここまで2連勝と今日勝てばストレート勝利でのタイトル奪取となる藤井聡太七段の一局は将棋ファンならずとも注目の一戦としてテレビやインターネットのYahooニュースなどで大々的に紹介されました。
結果は、
渡辺明棋聖の勝利。
タイトル三冠の貫録を見せたといったところでしょうか。
とはいえ、師匠である杉本昌隆八段がインタビューに答えていたように、藤井七段にとっては、今日の結果に関わらず近い将来タイトルを獲得することが確実視されています。
それでは藤井聡太七段の強さはどこにあるのでしょうか。
素人ながら考察していきます。
藤井聡太七段の強さに迫る!!
藤井聡太七段は史上4人目の中学生棋士としてデビュー以来タイトル戦に挑戦している現在に至るまで常に注目の的となっています。
これまでも小学生時代から5連覇を達成した詰将棋選手権のエピソードなど終盤の強さに定評がありますが、素人目線で藤井七段の強さを考察すると次のようになります。
デビュー以来、8割を超える勝率を維持していること
14歳でデビューして現在17歳の藤井七段ですが、棋戦優勝やタイトル戦挑戦など華やかな戦績があります。
また、現在進行形で最年少記録を次々と塗り替えている最中です。
現在挑戦している棋聖戦(対・渡辺明棋聖)、王位戦(対・木村一基王位)でタイトルを奪取すると最年少タイトル獲得の記録を更新します。
とはいえ、藤井七段の強さを表現するのに最適と考えられる指標は、デビュー以来、8割超の勝率を維持していることだと思います。
デビュー直後の若手が台風の目となって勝利を重ねることは難しくありません。
しかし、直後に留まらず、高勝率をコンスタントに毎年積み重ねているわけで、そのことこそ藤井七段の強さの本質だといえます。
そこでのポイントは、
1.有利になった局面でしっかり勝利をおさめる
2.不利になった局面で粘り強く逆転へと導く
3.相手に負けを認識させる
という3点に集約できると思います。
1.有利な局面で勝ち切る強さ
当たり前のことですが、有利と勝利では意味が全く異なります。
どのようなスポーツ、ゲーム、競技でも圧倒的有利の局面から逆転して敗北するといったシーン、圧倒的不利の局面を逆転して勝利するシーンはドラマを生みます。
将棋は逆転のゲームと呼ばれるように終盤に一手間違うとたちまち逆転して勝者が入れ替わるといったことは日常茶飯事です。
そのようななかで、しっかりと勝利をおさめるということは持ち前の棋力に加えてプレッシャーをはねのけるメンタルなど精神面でもすでに第一人者といえるのではないでしょうか。
当たり前ですが、この「勝つ強さ」が最も体現されているのだと思います。
2.不利になった局面でも負けない粘り強さ
そのことは、自分が不利になった局面においても簡単にはあきらめず粘り強く差し回すことで相手の緩手をひきだす強さを併せ持っているといえます。
簡単に土俵を割らない差し回しは若手の特権かもしれませんが(ある程度ベテランになると勝負を諦める気持ちがでてくる)、それでも最善守を刺し続けるからこそ逆転の目がでてくるわけで、そこに藤井七段の強さが表現されるのかもしれません。
つまり、「勝つ強さ」とともに「負けない強さ」もあるといえます。
両者は非常に似ていますがおそらく将棋のようなプロの世界ではこの違いは大きく、両方の強さを併せ持つことは一流の証となるのではないでしょうか。
3.相手に負けを認識させる強さ
勝ちきる強さ、簡単に負けない粘り強さとともに、相手が負けたと認識させる強さをすでに持ち合わせているように感じます。
これは強者が持つ独特のオーラのようなもので表現しづらいのですが、たとえば少し不利な局面において相手が普通の棋士(あるいはアマチュア有段者などそこそこの人)だと諦めずに最後まで指そうと緊張感を持ってのぞむ棋士でも、相手がタイトルホルダーや羽生善治九段のような強者だと「挽回は難しい」とあきらめてしまうような状況です。
丁寧に差し回せば勝ちの目があるにもかかわらず、対戦する人のオーラや雰囲気、実績や格式に蹴落とされているわけです。
本来は格上の棋士に抱く感情ですので、デビューから数年、年齢的には10代で最年少棋士である藤井七段がそのようなオーラを纏うのはもうしばらく先になりそうです。
それでもなお、相手が藤井七段だと戦う前からそのオーラに蹴落とされているような将棋を指す棋士が少なくありません(大変失礼な言い方かもしれませんが、対戦した棋士のなかにそのように感じる人がいるわけです)。
もし、タイトルを獲得するようなことになれば、藤井七段のオーラはさらに強まり、一部の最上位でタイトルを争う棋士以外から負けることはさらに少なくなるのではないでしょうか。
この「負けさせる強さ」は、自分自身がただ強くなるということを超えて、相手があって初めて成立する、人間と人間が対局することで発揮される強さといえます。
すでに完成されたと思われるような強さを発揮している藤井七段ですが、順調にタイトル獲得、防衛回数などで超一流棋士の仲間入りを果たすのか、ライバルとなるような棋士が現れるのか、今後の展開が楽しみです。