湖池屋、味付けなしの揚げただけポテチ販売。「マイナスの発想」による商品開発・アイデアの勝利となるか
こんにちは、さんちゃんです。
湖池屋が、全国のローソンで限定販売した商品がおもしろいです。
それは、これ。「ポテトの素顔」(画像は毎日新聞11/27配信記事より)
ポテトチップスには、定番の味付けから、限定の味付けなどたくさんの味がありました。そこには、期間限定、ご当地限定、コンビニ限定、などの限定商品に加え、新商品として華々しく登場したけれどあまり売れずにひっそりと消えてしまったもの、などなど、その種類はたくさんありますよね。たとえば、カルビーお客様相談室によると、限定商品を含め年間100種類くらいは販売しているようです。
そんななかで、ありそうでなかった「味付けをしていないポテトチップス」が発売されました。数量限定、コンビニ(ローソン)限定ということで、こちらもすぐに消えてしまう商品となってしまうのか、それとも定番商品のラインナップに追加されてベストセラー商品への道を歩むことになるのか、ポテチ好きとしてはワクワクしてしまいます。
実は、過去にも、似たような商品はありました。ポテトチップスというわけではなく、「マイナスの発想」でヒットした商品という意味です。
「マイナスの発想」でヒットした商品は少なくない
近年で最も有名な商品は、皆さんご存知「iPhone」ですよね。
それまでの携帯電話、いわゆるガラケーの時代には、携帯電話にたくさんのボタンがありました。数字のボタンはもちろん、メニューボタンとかシステムボタンとか、各社さまざまな機能を付加価値として追加した商品を販売していました。携帯電話本体を二つ折りにしたりスライド式にしたり、より本体の面積を増やす工夫などもあり、そこに多くの機能、ボタンを付ける競争のような状態が繰り広げられていました。
当時を知っている人は懐かしく感じますよね。そういえば、アンテナはあってもなくても電波の受信に影響しないのに、アンテナありじゃないと売れない、なんて時代もありました(アンテナ用のカバーグッズなんかも売られていました)。いや、ほんと懐かしい。
さて、そんな時代に、携帯電話のごちゃごちゃしたボタンを排除してボタン1つにこだわったのが、故スティーブ・ジョブズです。競合他社がプラスの発想で、もっと追加機能を、追加のボタンを携帯電話の横面やら背面やらにがんがんつけた新商品をラインナップに加えていたときに登場したアップルのiPhoneはスタイリッシュでおしゃれ、めちゃくちゃかっこいい商品でした。携帯電話を製造していた会社、販売していた会社、そして毎日使っていた私たち、そのすべてに衝撃を与えたと大ヒット商品として記憶に残っています。
高機能・高付加価値商品は、オーバースペックすぎて逆効果になることも
よく言われることですけど、高機能、高付加価値がなんとなく当たり前になってしまっていて、ハイスペックだけどその機能をほとんど使わない、なんていう商品がほんとうに多くなっています。モノ余りの時代なんて言われたりもします。ぜひ、マイナスの発想をもちいて、これまでの潮流をいい意味で裏切るような新商品、新アイデアがでてくると楽しい社会になりそうです。なんせ、高機能・高付加価値への追及は、ある程度の規模や資金力のある会社じゃないと開発もできませんし競争しても勝ち目がなさそうです。しかし、マイナスの発想でのアイデア勝負であれば、今あるものやサービスの過剰になっているところをうまく削減することができるかという勝負ですから、資金力の少ない会社や個人であっても開発可能です。まわりがアッと驚くマイナス発想の商品を一緒に考えてみませんか。
最後に、マイナスの発想で製造した商品が、当初のターゲット顧客にはまったく売れなかったけど、別の層のお客さんが購入したことでヒットしたものをひとつ紹介したいと思います。それは、子どもを対象としたラジカセです。再生、停止、早送り、巻き戻し、の4つのボタンで構成されたシンプルなものだったのですが、子どもはちっとも見向きをしなかったらしいです。残念ながら、子どもたちは好奇心旺盛で複雑なメカを好んだようです。
一方で、おじいちゃんおばあちゃんがこのシンプルなラジカセを好んで購入したようです。たくさんのボタンがあったり、録音機能など誤って押してしまうと大変な機能があるハイスペックなラジカセより、シンプルな機能で演歌を聞くという目的を満たしてくれる商品として選ばれたわけです。こちらの懐かしい事例は、開発当初の想定とは異なる顧客層にヒットした結果オーライ的な商品として有名になりました。
まあ、結局のところ、お客さんが何を求めているか、その部分を見極めて、そこに過不足なく提供できる商品やサービスが強いわけですね。シンプルに考える大切さをあらためて感じ入った商品です。「ポテトの素顔」、ネーミングもシンプルで愛らしいですね。