最新ニュース、書籍やマンガなど身近な話題から昭和・平成・令和の生き方・働き方を考える

漫画「キングダム」に学ぶ経営学! プロジェクトマネジメントの神髄(1)

2018/12/19
 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは、さんちゃんです。

 

漫画「キングダム」に学ぶシリーズ第3弾は経営学です。

 

本作での人気キャラのひとり、ひと際異彩を放つ「山民族の女王」楊端和(ようたんわ)を取り上げます。

 

「キングダム」とは、秦の始皇帝となる嬴政(えいせい)の若かりし頃のエピソードを描いた原泰久さんの大ヒット漫画です(2018年12月現在、52巻発行、以下続刊)。

 

これまで、キングダムのエピソードを法律学と経済学の視点から取り上げてきました。

過去記事はこちらから。

第1弾「漫画「キングダム」に学ぶ法律学! 権利と義務の考え方」

第2弾「漫画「キングダム」に学ぶ経済学! 貨幣制度と資本主義の本質に迫る」

 

以下、経営学の視点から取り上げます(ネタバレ注意)。

 

キングダムは、チームマネジメントや、部署や組織を越えた”プロジェクトマネジメント”を担当されているビジネスパーソンにとって学ぶところが多いです。

年末年始に一気読みもありだと思います。

 

楊端和とはどのような人物か

キングダムは、後に秦の始皇帝となる嬴政の少年時代から青年時代を取り上げていますので、だいたい紀元前250年~200年あたりのお話です。

 

当時の中華は大きく7国(秦、魏、楚、韓、趙、燕、斉)で覇権を争っていました。7国以外にも独立国家のような小国はたくさんあったようです。

また、これらの「平地の国家」だけではなく、山の上で暮らしている「山民族たちの国家」もたくさんあったようです。広い国土のあちこちには無数の部族や村があるというニュアンスです。

 

楊端和は、山民族たちの部族100以上を従えている女王様(女性です)という人物です。

 

たとえが難しいですが、日本経団連の会長のような存在と言えばなんとなくは伝わるでしょうか。

経団連は経営者の集団ですから、その会員はそれぞれ有名企業の経営者たちです。その経営者たちをまとめているのが会長です。それぞれの企業にはたくさんの従業員がいて、各社ごとの経営理念や行動指針に基づいて活動しています。いわば利害関係の集合体を束ねないといけないわけです。

 

ちなみに、現在の経団連会長は、中西宏明氏(日立製作所会長)です。

その前の会長は榊原定征氏(東レ会長)でした。歴代会長には、トヨタ会長、キヤノン会長など、そうそうたる顔ぶれとなっています。

ちなみに、本日12月14日付けで、フリマアプリ運営の「メルカリ」と通販大手「アマゾンジャパン」の2社が経団連に加盟することになりました。このように伝統的な企業だけではなくIT企業なども加盟しています。

当然、業界の異なる企業経営者をひとつの団体としてまとめ上げるには相当な手腕が必要であることは容易に想像がつきます。同時に、どのくらい大変かについては経験がないため私にはまったく想像がつきませんが。

 

さて、話を元に戻すと、楊端和は、山界をまとめ上げる女王です。

以下では楊端和のエピソードからビジネスシーンで活用できるヒントを探りたいと思います。

 

楊端和と嬴政の絆

嬴政は、少年時代に政権の権力争いに巻き込まれた際、山民族の王様に助けを求めます(3巻)。その際に対面したのが「山界の女王」楊端和でした。

 

山民族は400年前(作中からですので紀元前600年くらい)に秦の危機を救った馬酒兵の一族です。その後、長期に渡り国交は途絶えていたのですが、嬴政と楊端和とで再び交流をするようになります。

以後、楊端和は、嬴政がピンチに陥ると駆けつけてくれる稀有な存在として描かれています。

たとえば、呂不韋の反乱によって秦国が乗っ取られるかもしれないという嬴政最大のピンチの際は、自分たちの戦を中断してまで援軍に駆けつけてくれます(32巻・33巻)。その論功行賞で楊端和は「大上造」(いわゆる将軍)の位を授かっています。

ニュアンスとしては秦という大企業の社長が嬴政、関連企業の社長が楊端和と捉えることができます。

 

楊端和のリーダーシップ、プロジェクトマネジメントに学ぶ

魅力的なシーンがたくさんありすぎて絞り切れないのですが、ここでは現代の経営やプロジェクトマネジメントにおいて応用できそうなものとして、次の3点を取り上げます。

 

1.「列尾」城攻略~楊端和による城攻めの極意(47巻)

2.「遼陽」攻防戦その1~兵糧庫焼討におけるピンチの際の会議運営(51巻)

3.「遼陽」攻防戦その2~絶体絶命のピンチの際の指揮と士気(52巻)

 

1.「列尾」城攻略~楊端和による城攻めの極意(47巻)

 

最初に取り上げるエピソードは、総大将・王翦(おうせん)から、列尾城の攻略を楊端和の軍勢と飛信隊(もう一人の主人公「信」が率いる隊)に任されたところです。

飛信隊隊長の信と軍師・河了貂(かりょうてん)が巨大な列尾城を前に戸惑い、綿密な作戦を立てる必要があると考えているところでの楊端和の言動が秀逸です。

 

楊端和「半日で落とす」

河了貂「えっ ……ってことは…な 何かいい策があると…?」

楊端和「城攻めは単純だ 城壁を登って裏に回って内から門を開け部隊を突入させて中を制圧する それ以外に何か手があるのか?

河了貂「いや そっ そうなんだけど それが難しいわけで」

信「楊端和…」

 

信と河了貂は、楊端和の単純な話に呆れています。

個々人の体力勝負となる白兵戦での山民族の強さは理解しつつも、城攻めはしっかり戦略を立てることが大切だと考えています。しかも、列尾城を守っている兵士の士気は極めて高いといった状況です。

 

そんななかで、楊端和は「山の民には山の民の戦い方がある」と平然と言ってのけます。そして楊端和の部下「バジオウ」がその真意を解説します(なお、バジオウの発言は漢字+カタカナとなっていますが読みやすいように漢字+ひらがなに変換しています)。

 

河了貂「…前略… でも一番厄介なのはやっぱりあの士気の高さだ 敵の指揮官は城守戦で何が一番大事かきちんと分かっている だからこっちも考えて戦わないとあの白は絶対に落ちない…」

楊端和「心配無用だ 山の民には山の民の戦い方がある」

河了貂「ちょっと 楊端和!」

信「山の民の戦い方!?」

バジオウ「……山の民のと言うより端和様の戦い方だ」

信「え!?」

バジオウ「今この地には百を超える山の族が集結している 何百年と争ってきた大族までも参戦している」

信「百っ…」

バジオウ「どの族の長老も皆同じことを言う こんなことは決して起こりえなかったと 全ては楊端和という人の女王の存在だ 山界の”死王”と畏れられ愛される女王一人の存在で山界の統一が為された 見ていろ 端和様はいつも敵を真正面からねじ伏せる

信「真正面から… ねじ伏せる!?」

 

このあと楊端和は、一騎で敵前に出たうえで山民族に対して檄を飛ばします。

檄に呼応してボルテージを上げる山民族の兵士たち。地面が震えています。それを見た列尾城の守備兵は恐れおののくことになります。

これを間近でみていた蒙恬(もうてん。後に秦国の将軍となる)は、「楊端和は敵の最大の武器である”士気”を正面から叩きつぶそうとしている」と驚愕します。

 

そして楊端和の突撃命令から1日と立たずに列尾城は陥落することになります。

 

このエピソードでのポイントは2つです。

 

一見すると複雑そうに思える「城攻め」を単純だと語っていること、

そして、①城壁を登る、②裏に回る、③内から門を開ける、④部隊を突入させる、⑤制圧する、という5つのステップに分けて説明していること、です。

 

これを応用すると、私たちが大規模なプロジェクトに直面したときには、

(1)プロジェクトの全体像を冷静に捉えること、

(2)実施内容や項目をできる限り単純化して整理すること、

(3)整理した項目等を手順として示すこと、

が重要であることがわかります。

 

さらに、(やや過激な表現でしたので)檄そのものは記述しませんでしたが、味方の士気の高め方、同時に相手の士気の削ぎ方は、あくまでも正攻法です。

何事も”シンプルイズベスト”な思考と行動をリーダーとして率先垂範しているところがポイントといえます。

 

 

さて、楊端和のエピソードは、一つひとつが非常に面白く深いものがあります。結果的に、まだ一つしかエピソードを取り上げていないにもかかわらず、かなりの長文になってしまいました・・・。

そのため、2つ目、3つ目のエピソードとその解説は明日以降にしていきたいと思います。。

 

それでは、また明日。

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 21世紀の生き方・働き方 , 2018 All Rights Reserved.