リゲインとチオビタドリンクから考える平成の働き方
こんにちは、さんちゃんです。
平成の30年をふり返り、栄養ドリンクのCMからみた働き方を考えていきます。
代表的な栄養ドリンクのCMとして、「リゲイン」(第一三共ヘルスケア)と「チオビタドリンク」(大鵬薬品)をとりあげます。
24時間、戦えますか。リゲインの世界観
昭和から平成にかわる時期に強烈なインパクトをもってTVCMを席巻したのがリゲインでした。
40代以上の人であれば「黄色と黒は勇気のしるし、24時間戦えますか~♪」を口ずさめる人も少なくないと思います。
特にインパクトがあったのが、時任三郎さんが、飛行機でハワイに降り立ち豪遊するシーンです。
バブル経済の絶頂期、働けば働いただけ儲かる時代でした。
昨日より今日、今日より明日と右肩上がりの経済のなかでサラリーマンではなくビジネスマンとして世界をまたにかけて羽ばたいていくイメージです。
海外旅行、高級な車、きれいな女性、おいしい食べ物、など当時でいうところの成功の証がCMを通じて伝わってきます。
そこでの代表的なフレーズが、「24時間、戦えますか。」でした。
会社側が労働者に要求すればそれこそブラック企業と言われかねませんが、当時は、働くビジネスマンが進んで働いていた時代です。理由は、さきほども書いたとおり働けば働いただけ儲かって自分自身の給料に反映されるからです。
当時のビジネスマンは夢や希望に満ち溢れており長時間労働をいとわない雰囲気が醸成されていました。
そこで、自らを奮い立たせるために「24時間、戦えますか。」を心の中で歌いながらリゲインを飲んでもう一仕事というスタイルです。
そこに表現されていたのは、強い男性・かっこいい男性へのあこがれ、圧倒的な上昇志向の表れでした。
愛情一本。チオビタドリンクの世界観
一方で、現在もつづくロングセラー商品であるチオビタドリンクのCMでは、全体を通じて優しさが伝わってきます。
夫婦や家族(娘が父親に、など)、なかには猫などペットが登場するバージョンも登場しました。
一時のインパクトだけであればリゲインに遠く及ばないですが、ロングセラー商品ならではの安心感があります。
現在のキャッチコピーは「疲れたカラダに 愛情一本」となっています。
CMの構成をみると、自分自身のためにというよりは身近な人に対してそっと差し伸べるというストーリー仕立てになっています。
リゲインに見られたようなガツガツとした成功体験へのあこがれや上昇志向を表現したものではなく、仕事や家事で疲れた父親や母親に対してさりげなく感謝を伝えるスタイルです。
リゲインとチオビタドリンクのCMから考える働き方の過去・現在・未来
いずれのCMも「ペルソナ」(仮想顧客のこと。顔や性格が判断できるくらいまでターゲット顧客を絞り込むこと)が構成されています。リゲインはビジネスマン本人に、チオビタドリンクはその家族に、ターゲット顧客と定めて販売しています。残念ながらリゲインのCMを見る機会はほとんどなくなりましたが。
現在は、平成の最初の頃にみられた上昇志向でバリバリ働くスタイルよりも、ワークライフバランスなど生活の充実も同時にはかり健康第一でほどほどに働くスタイルの人が増えています。
その理由は単純です。
別に昔の人たちの方が努力した、根性があった、というわけではありません。
働いたら働いただけ目に見える形で成功や成長が実感できる時代であれば長時間労働も辞せずという人でも、低成長経済でそもそも上昇するという希望が見いだせません。
結果として閉塞感が漂い、仕事の意義や関心を気にするようになっています。どうしても内向き志向になります。そんなことを考えずにとにかくひたむきに頑張れ、では通用しない時代です。
この間、ビジネスを取り巻く状況は大きく変わりましたが、バブル崩壊以降、失われた10年が、失われた20年と呼ばれるようになり、もしかすると失われた30年と呼ばれるようになってしまうかもしれません。
そういえば「5時から男のグロンサン」(2004年まで中外製薬、以降ライオンで取り扱い)というCMもありました。ONとOFFをはっきり切り替える高田純次さんのCMですごく面白かった記憶があります。
もしかすると現代に必要とされているのは、疲れたカラダを癒すだけではなく、とはいえ停滞ムードを無理やり吹き飛ばそうとカラ元気を発揮するのではなく、ONとOFFとをメリハリをつけること、そしてONもOFFも一生懸命に活動することなのかもしれません。