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21世紀の働き方! 「社内副業」による利益&モチベーション向上

 
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こんにちは、さんちゃんです。

政府は副業・兼業を推奨していますが、現実問題として一筋縄ではいきません。
そこで、会社のなかでの副業についての可能性について考えていきます。

 

副業が広がらない背景

現在でも多くの企業の就業規則には「職務専念義務」があります。
伝統的な企業であればあるほど、昔からあるためあまり意識せずに含まれている文言だと思います。

 

意味するところは、一言で言うと「副業禁止」となります。

 

この職務専念義務≒副業禁止の考え方と表裏一体の関係にあるのが、戦後の電機産業を中心に広がった従業員の生活を保障するための給料体系である「電産型賃金」です。

 

電産型賃金は、従業員の生活を支えるための給料体系ですので、年功序列であったり、家族手当などが加算されたりするのが特徴です。いずれも直接には仕事の成果や能力とは関係ありません。
それでも戦後復興から高度経済成長の時期に定着しました。加齢や結婚、家族が増えることに対して支払われるわかりやすい賃金体系であり、一億総中流を下支えしました。

 

そこでは、企業は疑似的な家族としての役割を果たしていたわけです。
生活を支えるための給料を支払う企業と職務に専念する個人が長期にわたって共に成長するという考え方です。

すでに周知の事実ですが、昭和から平成に変わるころからこの関係性は崩れてきます。
企業の側が従業員の生活を支えるだけの給料が払えなくなり、労働者の約40年にわたる職業人生を丸抱えすることができなくなりました。

ここに企業と従業員の「心理的契約」(書面の契約ではなく、互いに期待をあらわしたもの)にずれが生じます。

企業は、従業員の生活を保障しない/できないにも拘わらず職務に専念はしてほしい、
従業員は、一生涯の保障が得られないのであれば別の選択肢も考えなければならない
という感じで、微妙な温度差が生まれました。

 

その別の選択肢のひとつが「副業・兼業」となります。

とはいえ、企業の側は、従業員が副業で体力を消耗したりケガをしたりすることを避けて欲しいと考えています。

また、労働者災害補償保険法(労災保険)の制度改正が遅れていることも課題となっています。

ダブルワークの労働者は増えているが、労災保険が1社だけの賃金を基準に算定されると、休業中の補償金が激減する恐れがあり、制度改正に向けた議論も始まっている。

総務省の調査によると、2017年に複数の職場で雇用されていた人は約128万人で、07年より約26万人増え、全体の2.2%を占めた。副業の希望者は約385万人に達しており、厚生労働省は18年にガイドラインを定め、原則として副業を認めるよう企業に求めている。

一方、副業している人の約7割は本業の所得が300万円未満。非正規労働などの低所得層が収入の増加を求め、仕事を掛け持ちする実態が浮かぶ。

しかし病気やけがで働けなくなれば、原因となった職場の勤務実態だけが労災の認定基準となる。一方の職場での賃金や労働時間が少ない場合、休業補償金が激減したり、労災と認定されなかったりする可能性がある。

こうした課題について、厚労相の諮問機関は昨年6月に部会で議論を始めた。労働者側の委員は「合算した賃金を基に給付すべきで、制度改正が必要」と主張している。

出所)「増えるダブルワーク 労災認定1社では補償金激減の恐れ」毎日新聞2019年1月10日配信

 

社内副業の可能性を探る

法整備が進まないことには副業・兼業が劇的に増えるということはないと考えられます。

 

そこで、ひとつの可能性が「社内副業」です。

 

たとえば有名な事例ですと、3M(ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社)の「15%ルール」があります。
労働時間の15%は自由に使用してもいいというものです。
そこで生まれたのが、接着剤の失敗作を活用した「ポスト・イット」です。

 

日本でも丸紅が2018年4月より15%ルールを採用して全従業員に社内副業の義務化を始めました。
管理からはイノベーションが生まれないとの考え方から導入に踏み切ったようです。
いきなり成果がでるわけではないですが、部署横断的なアイデアがでるなど組織の活性化につながっているようです。

 

企業としては、自社のなかでの仕事になるため情報漏洩の心配はありませんし、ケガや事故についての配慮も大幅に変更する必要もありません。

従業員としても、複数の会社で異なる勤務体系のもとで働くわけではないため心理的肉体的負担感は軽減されます。
それよりも、自分なりのアイデアを試してみたり、まったく異なる業務にチャレンジできる機会はモチベーションの向上や他部署との人材の交流につながるなどメリットがあります。

その結果、組織の活性化、社内人材の潜在能力の発揮につながります。さらにうまくいけば、思いもよらない新商品・サービスが完成するかもしれません。

 

とはいえ、いきなり「はい、社内副業をやりましょう」「15%を自由に」と言われても企業も従業員も何をしていいのかわかりません。

そこで自社でできそうなことをリスト化して導入しやすいところからはじめてみたらいいのではないでしょうか。
まずはやってみて、うまくいった事例を広げていけばいいのだと思います。

 

副業をおこなう曜日、時間帯を限定する

いきなり一人ひとりの従業員がバラバラに実施することには抵抗があると思います。
その場合には、たとえば水曜日午前中(9-12時)の3時間に限定して社内副業を導入し、その時間帯は本業禁止とします。
単純計算で週40時間のうちの3時間ですから労働時間全体の7.5%に相当します。

いきなり15%ルール(6時間分)を採用しなくても週一日の午前中の3時間などと限定すれば、比較的導入しやすいのではないでしょうか。

 

実施内容のリストを作成する

全従業員がアイデア豊富でイノベーティブな活動を展開するのであれば、ほっておいてもなんの問題もありません。
実際にはそんなことは考えづらいので、企業として実施できそうな内容のリストを作成しておくのもひとつの作戦です。
難しく考えずに、趣味の延長、各部署の仕事の一部を開放、研修的な活用、などが考えられます。

 

たとえば、

【趣味の延長】
●絵を描く、 → 似顔絵、オリジナル・キャラクター、ロゴマークなど
●音楽/楽器を演奏する → オリジナル・ソング、発表会など
●画像/動画編集をおこなう → オリジナル・CM、アルバム、ビデオなど
ほかにも、プラモデルやフィギュアで3D・キャラを作ったり、PC・web関連の技術の活用も考えられます。
大切なことは、従業員個人は趣味でも、その知識や技術が企業や他の人に有益となる場合は少なくないということです。

 

【各部署の仕事の一部を開放】
●営業/販売 → 商材の魅力を共有、新製品の企画など
●総務/管財 → 経費削減方法の検討など
●製造/研究開発 → 工程管理、アイデアだしなど
企業により部署の種類は多様ですが、考え方の基本は受入側部門としては門外漢の意見は意外と参考になるということと、参加する側は他部署の仕事にふれることにあります。人事異動や教育訓練のデモンストレーションにもなります。

 

【研修的な活用】
●語学系 → 英語、中国語など
●会計系 → 財務諸表の読み方・考え方など
●ICT系 → webデザインなど
●技術系 → 各種免許など
基本的な考え方は、従業員の成長が自社の利益につながるというものです。

 

副業と聞くと、実施すること自体にすごく構えてしまいがちですが、少しの時間を本業から離れて好きなことをするくらいの位置づけでよいのではないでしょうか。

社内副業であれば、制度設計にもよりますが給料に変化をつける必要もありません。
社内副業の制度導入とともに、現状の仕事を精査して無駄を省き効率化を図ることができれば現在の労働時間を削減しても生産性は向上するということも十分に考えられます。

 

日々の仕事が忙しくてそれどころではないという声が聞こえてきそうですが、日々の仕事が忙しいからこそ、全体を俯瞰した改善が重要となってくます。
著名なビジネス書『7つの習慣』(スティーブン・コヴィー)にも登場しますが、一生懸命に木を切り倒そうとしている「きこり」ののこぎりの刃がボロボロです。旅人は刃を研いだ方がいいのではないかと進言しますが、そんな暇はない、木を切るだけで精いっぱいときこりは返答します。

刃を研いでから木を切った方が明らかに迅速かつ丁寧に切れるのですが、きこりは目の前の作業に夢中で非効率な行動をとっています。

 

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働き方改革法案が成立し4月から年次有給休暇の取得義務化など新しい施策がはじまります。
せっかくの機会ですから、この機会に企業も個人も「刃を研ぐ」ことを考えてみてはいかがでしょうか。

 

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