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君は「先行者利益」を知っているか? 副業ビジネス詐欺に騙されないために!

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

政府が2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表してから、ちょっとした副業・兼業ブームです。

雑誌やインターネット、テレビ番組などでも特集が組まれるようになりました。
なかには、ひと月に●百万円稼ぐ方法とか、スマホひとつで●億円、などかなり誇張された見出しがおどることもあります。

かくいう私も株式投資を実施していますので、あまり大きなことは言えませんが、これから副業・兼業をはじめたいと考えている人を対象とした「副業ビジネス詐欺」が頻発しているようです。

 

そこでこのブログでは、副業ビジネス詐欺のメカニズムを解説するとともに、引っかからないための知識を紹介します。

 

キーワードは「先行者利益」です。

 

先行者利益とは?

先行者利益とは、経済学や経営学でよく使われる概念です。

簡単にいうと、新しい市場に誰よりも先に開拓したり、新しい商品・サービスを誰よりも先に市場に公開することで得られる利益のことです。

 

たとえば、「グーグル」や「マイクロソフト」を思い浮かべてもらうとわかりやすいですが、「ポータルサイト」「PCのソフトウェア」など、これまでになかった新しい市場や商品・サービスを開拓して競合する人がいないうちに独占的なビジネスをおこなうことで莫大な利益を計上しています。

 

このような先行者利益を手にした巨大企業は、市場のルールや商品規格など業界標準を自社が主導して構築できるため、二匹目のどじょうを狙おうと参入してくる人たちに対して圧倒的に優位な立場でビジネスが展開できます。

 

同じ土俵で戦っても勝ち目はないと思わせるだけでも競合他社を少なくする効果もあります(経営学用語で「参入障壁」と呼びます)。

 

つまり、誰よりも先に新しいビジネスを手掛けることは大きな利益につながる可能性があります。

しかし、当然リスクも大きいため、なかなか手を出しづらいのが現実です。失敗もつきものです。

 

だからこそ、先行者利益は莫大な利益をもたらすことになります。

 

先行者利益の事例(1)美容整形・美容外科「高須クリニック」

ひとつ目の事例は、YES高須クリニックのCMでおなじみ、ご存知高須克弥院長が率いる美容整形・美容外科の「高須クリニック」です。

 

新R25のインタビューで、高須院長は独特の表現で先行者利益について語っています。

 

1.市場の開拓~美容整形・美容外科を始めたきっかけ~

渡辺(聞き手:渡辺将基氏・新R25編集長):
先生のように豪快にお金を使えるようになるためには、それ以上に稼がないといけないわけじゃないですか。

まずは先生の「稼ぐ哲学」をお聞きしたいです。

高須先生:
それはカンタン。逆張りしたヤツが大勝ちする。

渡辺:
逆張りですか。やはり先生も逆張りして稼いできたんでしょうか?

高須先生:
うん。昔は美容が逆張りだったから。いまはみんな儲かると思って入ってきてるから、逆にどんどん潰れてるよ。

渡辺:
当時の美容業界って、いまとは状況が違ったんですか?

高須先生:
美容外科医は医者扱いされてなかったね。医者は人命に関わることをするほど身分が高かったんだけど、美容外科医は病気じゃない人に金儲けのためにメスを入れる、一番下等で下品な存在だと言われてた。

だから当然(美容外科医に)なりたい人なんていなかったし、美容業界はドロップアウトしたような人たちとか、仕方なしにやってるような人たちばっかりの世界だったのよ。

渡辺:そんな状況で、なぜ先生は美容外科医になろうと思ったんですか? 当時から逆張りの美学があったんでしょうか?

高須先生:
ううん。高須家って医者一家なんだけど、代々みんな違うことやってるのよ。

新しく医者になる人って昔の医療の間違いを改めた教育を受けるんだけど、たとえば親子で同じ科になると、それが昔の常識と食い違って必ずケンカになる。

だから誰もやってない美容に行っただけ。ライバルもいないから、親や親戚にも口うるさく言われないだろうと思って。

 

2.商品・サービスの開発~美容整形・美容外科をメジャーにした「脂肪吸引」「プチ整形」~

高須先生:
でもね、結局その時代に怪しげだと思われていたものが次の覇者なのよ。常にそう。

渡辺:
怪しげなものが次の覇者。これまた新しい名言が。

高須先生:
怪しげなものって商売敵がいないし、そういうところに博打で突っ込んでるとチャンスがあるわけ。

僕が脂肪吸引をはじめて日本に持ってきたときも散々叩かれたけど、いまはもうすっかりメジャーになってるでしょ?

 

このように、なり手が少なく敬遠されていた美容整形・美容外科の市場で新しい商品として「脂肪吸引」を日本に広めることに成功します。

さらにインタビューでは「プチ整形」を流行させたのも高須クリニックであることを紹介しており、脂肪吸引にしてもプチ整形にしても、高須院長自ら試してみて導入を決めるなどビジネスにおける「現場の重要性」、「目利きの重要性」について語っています。

あわせて、現在100億円を下らないという資産で、災害の被災地、難民、スポーツ選手などへの寄付や投資をしていらっしゃいます。

また「次の覇者」の可能性のある若者たちに対して、お金を貯め込むのではなく自分自身に積極的に投資することが大切であると語っています。

 

先行者利益の事例(2)セントラル・パシフィック鉄道からスタンフォード大学へ

ふたつ目の事例は、先行者利益ではよく事例としてあげられるントラル・パシフィック鉄道です。

 

 

場所はアメリカ、時代はエイブラハム・リンカーン大統領の時代です。

南北戦争に疲弊しゴールドラッシュに歓喜した時代です。

誰もが億万長者を目指して金脈の採掘に向かうなかで、その人員や物資を運ぶことになる大陸横断鉄道のひとつセントラル・パシフィック鉄道を設立したのが、リーランド・スタンフォードです。

 

ゴールドラッシュで先行者利益として巨万の富を形成した人たちは、おおむね2種類にわけることができます。

ひとつは、「最初に金脈を採掘した人たち」であり、もうひとつは「金脈を採掘する人たちを対象に商品・サービスを開拓した人たち」です。

 

最初に金脈を採掘した人たちと、その後に金脈を採掘する人たちが続々と現れることを想定して新しいビジネスを始めた人たちです。スタンフォードは後者のパターンで、鉄道事業以外にも雑貨の販売などで利益をあげていました。

 

先行者利益として莫大な資産を形成したスタンフォードは、のちにスタンフォード大学を開学することになります。

 

先行者利益とその活用の仕方~悪徳詐欺業者に注意!~

これまでみてきた高須クリニックの高須克弥院長、セントラル・パシフィック鉄道創業者のリーランド・スタンフォード氏はその先行者利益を、寄付や投資、学校設立といった社会貢献や後継者育成など社会事業に活用しています。

 

スタンフォード大学は世界有数の大学ですし、高須院長が支援した女子アイスホッケーチームはオリンピックに出場しています。

 

他にも、マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏は慈善事業家として世界を飛び回っていますし、日本でも本田技研工業創業者の本田宗一郎社長・藤沢武夫副社長の両氏は引退後に苦学生の研究助成・奨学金の財団をつくっています。
(ちなみに、宇宙飛行士の毛利衛さんはこの財団から助成金を受けて研究に取り組んでいました)

 

このような素晴らしい人たちがいる一方で、その先行者利益を悪用する人たちがいます。

 

これまでも資格ブームのときに、たとえば「●●士」などの資格保有者が、これから資格を取りたい人たちに向けて情報商材の販売や勉強会を実施したり、通称「ひよこ食い」と呼ばれる資格を取ったばかりの人を対象にセミナーを実施したりするものが有名です。

そのほか、就職活動セミナー、株式投資・資産運用セミナーなどでも同じような詐欺まがいのセミナーがあります。

御多分に漏れず、インターネットを活用した情報商材を販売する副業セミナーの広告を見聞きする機会が多くなりました。

【参考】
“すぐ稼げる”は危険ワード! ネットビジネスでいま注意すべき「情報商材詐欺」週刊女性プレミアム(2019年2月24日配信)

 

これらの詐欺業者は「●●がブーム」となるとその流行に目をつけて雨後の竹の子のように湧いてくるのが特徴です。

現状や将来の不安をあおり、自分の教えるやり方だと「簡単に・楽に」解消することができて「夢の生活」が待っています、今なら特別料金です、ぜひメンバー会員登録をして成功者の輪に入りましょう・・・的なやつです。

 

もちろん、すべての情報商材やセミナーなどが詐欺まがいだといいたいのではなく、きっちりとした情報を提供し適正価格で情報商材を販売したりセミナーを開催している人や団体もたくさんあります。

 

高須院長のインタビューにもありましたが、大切なことは「目利きの力」す。
おいしい話にいきなり飛びつくのではなく、その情報源は正しいのか、実績の裏付けはあるのか、あまりにも誇大な表現が使われていないか、など精査したうえで参加や購入を考える必要があります。

 

同時に、先行者利益でも紹介しましたが、美容整形では、当時は儲かった(先行者利益が得られた)が今は競合他社が多くて儲からない状況にあるようです。

またゴールドラッシュで金脈を求めて採掘して利益を得たのは最初の人だけです。
後に続いた人はほとんど利益がありませんでした。だからこそスタンフォードはスコップを持って金脈を掘り当てるのではなく、鉄道を通して人を運ぶという新しいビジネスをおこなうことで先行者利益を得たわけです。

 

現在、巷にあふれている様々な「儲かるネタ」のほとんどは、すでに先行者が莫大な利益を出した後であり、今から何番目かのどじょうを狙っても大きな利益を得られることは極めて小さいということだけは理解しておく必要があります。

 

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