最新ニュース、書籍やマンガなど身近な話題から昭和・平成・令和の生き方・働き方を考える

統計データの読み方を解説します! 「30、40代「貯金ゼロ」が23%」を題材に。

 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは、さんちゃんです。

 

政府の勤労統計不正などで何かとお騒がせの「統計データ」ですが、しっかりと読み込んだうえで活用できるとすごい力を発揮します。

言い方を変えると、読み方を間違えてしまうと誤った認識のもと誤った行動をとってしまうことになりかねません。

 

そこで本日は「統計データの読み方」について解説していきます。

 

「30、40代「貯金ゼロ」が23%」という衝撃の調査結果!

まずは毎日新聞(2019年3月6日配信)のこちらの見出しからみていきましょう。

 

「30、40代「貯金ゼロ」が23% SMBCの金銭感覚調査」

 

「貯金ゼロ」という刺激的な表現、30、40代という働き盛りの年齢層、23%と5人に1人は貯金がないという調査結果、興味津々ですからクリックしないわけにはいきません。

 

SMBCコンシューマーファイナンスは6日、30~40代の金銭感覚に関する調査結果を発表した。「現在の貯蓄額がゼロ」と答えた人が前年比6ポイント増の23.1%になり、平均貯蓄額も同52万円減の195万円に低下。同社は「景気回復が働き盛りの賃金上昇につながっていない」と分析している。

貯蓄額の平均は30代が前年比4万円減の194万円なのに対し、40代は同120万円減の196万円だった。

出所)「30、40代「貯金ゼロ」が23% SMBCの金銭感覚調査」毎日新聞(2019年3月6日配信)

 

そこで、本日はこちらの毎日新聞の記事を例にとって、統計データの読み方を考えていきましょう。

 

新聞記事ですから、さきほどもみたとおり刺激的で特徴的な言葉や数字が並びます。
貯蓄額がゼロの人の割合が増加していること、40代の貯蓄額の平均金額が激減していることなどが気になります。

 

大切なことは、この記事の内容を「盲目的に鵜呑みにせず」自ら調べてみるという姿勢です。

 

このことは必ずしも毎日新聞の記事を否定的にとらえているわけではなく、自分自身で確認することで他者の受け売りではなく、自分自身の解釈でその統計データを活用することができるためです。

 

統計データを読み解くポイントは、大きく5点あります。

1.調査主体:調査を実施しているのは誰か、信用できる機関かどうか
2.調査概要:調査の時期や調査対象の人数や属性など調査方法はどうなっているのか
3.調査内容:何をどのように聞いているか
4.結果の解釈:調査結果の解釈はどのようになっているのか
5.調査の信ぴょう性:そもそもこの調査は信頼できるものなのか

 

調査主体を確認する。

まずは記事に書かれている「SMBCコンシューマーファイナンス」をコピー&ペーストしてgoogleやyahooで検索してみましょう。

 

そうすると、会社のwebサイトがヒットします。

貸金業や保証業を事業内容としている会社であること、三井住友フィナンシャルグループの100%子会社であることなどが記載されています。

webサイトの隅々まで見なくても、かなりの精度で信用のおける会社であると判断できます。

 

たとえば、最近、詐欺などのダイレクトメールで使われる会社名として、

「Anazon」・・・Amazonの「m」が「n」になっている、
「APPLE」・・・正しくはAppleと頭文字以外は小文字のはずが、すべて大文字になっている、

など、なんとなくそれっぽい会社名でそのまま信用してしまった結果、詐欺にあうことになります。

 

ちなみに、某有名自動車会社の関連会社を装った巨額詐欺事件で「●●商事」事件というものもありました。
インターネットなどなかった時代ですが、それっぽい名前に騙された人が多かったようです。

 

現在ではwebサイトのない会社はほとんどありません。念のため確認しておくことは大切となります

 

調査概要を確認する。

SMBCコンシューマーファイナンスのwebサイトにある「ニュースリリース」(3月6日付)に「30・40代の金銭感覚についての意識調査」というものがありました。こちらの名称が調査の正式名称のようです。

 

クリックすると、調査の概要、内容、結果などが詳しく書かれています。

 

調査概要をみると、対象となる人たちがどのように選出されているのか、その人数や、調査の実施時期や方法について知ることができます。

 

また調査協力会社も記載されていますので、気になる場合はそちらの会社もチェックするといいでしょう。

 

《調査概要》
調査タイトル : 30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019
調査対象 : ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする30歳~49歳の男女
調査期間 : 2019年1月7日~9日
調査方法 : インターネット調査
調査地域 : 全国
有効回答数 : 1,000サンプル(有効回答から男女×30代前半・後半、男女×40代前半・後半が均等になるように抽出)
調査協力会社 : ネットエイジア株式会社

 

ちなみに私が少し気になったことを言えば、調査期間が1月7日から9日であることです。

 

正月早々の時期で、7日(月)から9日(水)であることを考えると、

「年明けで仕事が忙しい人はアンケートに答えないのではないか」
「もしかして正月休みで海外で過ごしている人もいるのではないか」

ということです。

 

いずれも比較的「富裕層」に多い行動様式であると考えられますので、もしかすると、貯蓄額の減少(特に40代は激減していた)は、富裕層からの回答が少なかったからではないかといった仮説のような考えが生じます。

 

この仮説が正しいか間違っているかはわかりませんが、そういった疑問を持つことが大切になります。

 

ちなみに、昨年との比較があるということは昨年も同様の調査をしているわけですから、昨年のデータをみることで自分自身で比較することが可能です。

 

2018年度の調査時期は、1月10日(水)から15日(月)までの6日間です。
サンプル数1000名は同じですが、6日間と2019年度の3日間とは2倍の期間を取っていること、そのあいだに土日が含まれていること、正月休み明けすぐの時期ではないこと、などの違いがみられます。

この違いが結果にどれだけ影響しているかは判断できませんが、調査時期にこのような違いがあるということを理解しておくことが大切です。

 

調査内容を確認する。

調査では、聞き方によっても結果が大きくことなります。

たとえば芸能人の好感度調査などについて聞いた質問でも、どう思いますかと自由回答の場合と、好き・きらいの2択の場合、どちらともいえないを加えた3択の場合、100点満点で好き度合いを聞いた場合では結果がバラバラになることがあります。

 

また聞く順番によってもポイントが変わることがわかっています(最初の質問への回答が基準となるため、あまり大きな数字や小さな数字は出にくい、など)。

 

今回の回答に該当する設問は、

Q.現在貯蓄できているお金はいくらあるか?(数値入力回答:   万円

と具体的な数値を1万円単位で入力してもらう方式になっています。

 

ちなみに集計方法について注釈があり、上位数%にみられる極端な値(数億円など)の影響を排除するため、上位下位10%のデータを除外するなどの処理が施されています。

 

50万円未満、50万円以上100万円未満、・・・、など範囲を聞く方法もありますが、直接入力ですのでデータの正確性は高いと考えられます。

 

この設問以外にも、一流の金融機関が実施している調査ということもあり、貯蓄や消費についてかなり詳しく設問がありますので気になる人はぜひ全体を一読することをおすすめします。

 

30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019

 

調査結果を独自に解釈してみる。

最初に提示しましたが、毎日新聞の記事にある40代の貯蓄額平均が前年比120万円減の196万円というのに非情に驚きました。

なんせ2018年には平均316万円の貯蓄があったはずが、2019年には196万円になっているわけですから。

その理由が「景気回復が働き盛りの賃金上昇につながっていない」というのも納得しがたいものでした。

 

1億円持っていて100万円減少したのであれば誤差かもしれませんが、貯蓄額で300万円が200万円になった理由が賃金が上がらないというのはなかなか強引な解釈ではないでしょうか。

 

私としては、「調査概要を確認する」のところで書いたように、調査時期の違いから2019年度調査では調査対象となっている層に富裕層が少なかったからではないかという解釈もできるのではと考えています。

 

データに直接アクセスすることができれば、2018年度と2019年度に共通して回答している人のみで再集計すると収入・支出や貯蓄額の増減がはっきりとわかりますが、そのデータはネットエイジア株式会社のモニター会員情報となるため、私を含めて第三者が自由に使うことは難しそうです。

 

調査の信ぴょう性を確認する。

SMBCコンシューマーファイナンスのwebサイトからは、「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」の調査結果とともに、過年度の調査結果(2018年版、2017年版、など)や20代を対象とした同種の調査についても結果が公表されていました。

 

これまでみてきた点を総合すると、調査の信ぴょう性は高いと考えられます。

 

今回の調査は貯蓄額や消費額などある意味では個人情報を赤裸々に回答するタイプの調査です。
実施主体が金融機関であるという信頼性が結果の信頼を高めることにもつながっているのではないでしょうか。

 

調査結果を読み解き統計データを活用する

今回は、毎日新聞の記事から、SMBCコンシューマーファイナンスが実施した「30代・40代の金銭感覚についての意識調査2019」について統計データの読み方を解説しました。

 

最近ではインターネットを活用したアンケート調査が一般的になってきているので、実施方法や結果の解釈にはしっかりしたものといいかげんなものとが混在しているのが現状です。

 

なかには数人にしか聞いていないものや、そもそも調査を実施したのかどうかもよくわからないようなものまで公開されており、見出しで煽るような記事も散見されます。

 

このようなお手軽調査が増える一方で、政府統計の不正などが重なり統計データや調査に対する不信感が高まっていますが、調査結果を盲目的に鵜呑みにするのではなく、データを解釈する側がしっかりとしたリテラシーを身につけて対応することが良質・高いレベルの調査を増やし悪質・低レベルの調査を排除という本質的な問題解決につながるのではと考えています。

 

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 21世紀の生き方・働き方 , 2019 All Rights Reserved.