日本的雇用の終焉! 終身雇用・年功序列の崩壊をトヨタ社長や経団連会長が言及!
こんにちは、さんちゃんです。
日本的雇用の三種の神器が終焉を迎える・・・
日本的雇用の三種の神器として「終身雇用」「年功序列賃金」「企業別労働組合」が経営学者のJ・アベグレンに紹介されて半世紀以上が経過しました。
☆参考図書☆
アベグレンの書籍のなかで最も読みやすいもの(電子書籍)
著書『日本の経営』で終身雇用という言葉を世の中に広めた伝説的な経営学者による集大成といっていい一冊
昭和の戦後復興期から高度経済成長にかけて大手製造業を中心に慣行として定着してきた終身雇用、年功序列賃金、企業別労働組合を総称して三種の神器と呼んでいます。
すでに労働組合についてはこのブログでも組織率や影響力の低下について書いています。
平成の30年間で変化したこと(1)労働組合の影響力・組織率の低下
本日は残るふたつ、終身雇用と年功序列がいよいよ崩壊するかもという記事を紹介します。
令和の時代、終身雇用は困難・・・ 経団連会長、トヨタ会長など相次いで表明!
日本自動車工業会・豊田章男会長:「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」
トヨタの豊田社長は業界団体のトップとして、終身雇用について「雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」などと述べ、今のままでは継続は難しいとの認識を示しました。一方、中途や派遣の社員が増えているとして、「やりがいのある仕事に就けるチャンスは広がっている」と述べました。終身雇用を巡っては、経団連の中西宏明会長も「終身雇用なんてもう守れないと思っている」と発言しています。出所)「「終身雇用守るの難しい」トヨタ社長が“限界”発言」テレ朝ニュース2019年5月13日配信
さらに経済同友会の桜田謙悟代表幹事も同様の趣旨の発言をしています。
終身雇用の維持は難しい。
経済界から、発言が相次いでいる。
戦後、雇用システムの柱の1つとして、日本の経済成長の原動力ともされてきた終身雇用。
多くの日本企業が採用してきたこの制度をめぐり、経済界トップから、根幹を揺るがす発言が相次いでいる。
経済同友会・桜田謙悟代表幹事「昭和の時代は、大変よく機能したと思う。ただ、経済そのものが大きく変革してしまった中で、終身雇用という制度をとらえるとすれば、やはり『制度疲労』を起こしている可能性があるので、(今後)もたないと、わたしは思っている」
経済同友会の桜田代表幹事は、新卒一括採用や年功序列とともに、終身雇用を重視した雇用制度を考え直すべきとした。出所)「「終身雇用難しい」発言相次ぐ 経済団体やトヨタ社長」FNNプライム2019年5月15日配信
ちなみに経団連中西会長は5月7日に、トヨタ豊田社長は5月13日に、同友会桜田代表幹事は5月14日の発言となります。
この短期間のあいだに経済界の重鎮による発言が相次いでいることから、いよいよ終身雇用は終焉を迎えるのではないかと考えられます。
なお、ここで経済界のトップが発言している終身雇用の意味合いは、文字どおりの新卒から定年退職まで約40年間を一社で務めるという状況ではなく、企業の側が必要に応じて解雇をおこなうことができる、という意味合いが強いといえます。
つまり企業側として、
終身雇用のインセンティブがない ≒ ベテラン(高齢)社員を雇い続けるメリットが小さい
と言及しているわけです。
さっそくメディアやインターネットでは賛否両論の議論が巻き起こっています。
これまで終身雇用制度は変わりつつあるという実態は誰もが知るところでしたが、経済界のトップたちによる発言は大きく制度変更へと舵を切るきっかけとなりそうです。
保守的業界の代表格・大手銀行は年功序列を見直しへ・・・
製造業とならび、あるいあそれ以上に保守的な日本的雇用慣行が根付いてきた大手銀行が年功序列を見直す人事改革に取り組み始めました。
年功序列に代表される日本的雇用の“本丸”だった大手銀行の人事制度が変わろうとしている。三井住友銀行が入行後最短8年で管理職就任を可能にするなど各行は雇用慣行にメスを入れた。利ざやの縮小など年々厳しくなる経営環境に対応するため、新たな稼ぎ口を求めて社員の潜在能力を発揮させ、優秀な人材の獲得にもつなげたい考えだ。
…中略…
三菱UFJ銀は今年度から、給与体系を従業員の勤続年数よりも役職や能力を重視した形態に変更。みずほFGも社内公募制度を整備し、若手を中心に意欲ある従業員を新規事業など希望職種に配置する取り組みを行っている。
背景には銀行をめぐる経営環境の変化がある。低金利で本業の国内貸し出し業務ではもうけが出ない上、ITと金融が融合したフィンテックが登場し、異業種が決済や送金など従来の銀行の食い扶持(ぶち)を狙う。稼げる人材を確保することが生き残りには急務だ。
…中略…
■大手銀行5グループの人事制度改革
・三菱UFJ
給与体系を勤続年数重視から役職や能力重視にシフト
・三井住友
最短入行8年で管理職登用を可能にして若手の積極評価を検討
・みずほ
社内公募制度を整備し若手などを新規事業に配置
・三井住友トラスト
定年の年齢を60歳から65歳に引き上げる方向で調整
・りそな
定年後の再雇用の年齢上限を65歳から70歳に引き上げ出所)「大手銀、人事慣行にメス 三井住友は入行8年で管理職登用も」Sankei Biz(2019年5月16日配信)
年功序列から実力主義へというのはよく聞かれるキャッチフレーズですが、「実力」あるいは「能力」の定義がはっきりしないとこれまで以上に恣意的な評価が横行し、結果的に上司に取り入り媚を売るような人材のみが出世するという事態に陥る危険もあります。
記事にもあるようにフィンテック(ITと金融の融合)の登場は、AI(人工知能)やアルゴリズムなどの進化とともに急速に銀行員の働き方を変えてきましたし、これからも激変させる可能性を秘めています。
令和に入り、日本を代表する経営者たちが日本的雇用慣行についていよいよ本気で変革しようと発言しています。
ある意味では弱肉強食の世界となり、多くの敗者を生み出す危険も考えられます。
以前、某総理大臣が「痛みを伴う改革」というキャッチフレーズを多用していましたが、今からさらなる痛みが押し寄せてくるのではないかという不安が頭をよぎります。
最近、あまりいい話題がありませんが失われた30年が、40年、50年などと言われないようにしていく必要があります。
私自身そのための最善の努力をし続けていこうと自らを奮い立たせていまるところです。