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トランプ大統領の日韓仲裁発言にみるメディア・リテラシーの大切さ!

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

関係悪化を増している日本と韓国の貿易をめぐる問題ですがアメリカのトランプ大統領が仲裁に乗り出すと発言したようです。

 

トランプ大統領は仲裁に「積極的」or「消極的」!?

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は19日、第2次世界大戦(World War II)中の徴用工問題をめぐる日韓の対立解決に協力する用意があると表明した。同問題は日韓間の貿易摩擦にも発展している。
…中略…
トランプ大統領はホワイトハウス(White House)で、韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領から「日韓の間には現在、特に貿易をめぐりたくさんの摩擦があると聞いた。日本は韓国が欲するものをいくつか持っている。文大統領から関与を頼まれた」と説明。
「私は両首脳が好きだ。文大統領が好きだし、私が安倍(晋三、Shinzo Abe)首相をどのように思っているかは知っての通りだ。安倍首相はとても特別な人でもある」「彼らが私を必要とするなら、協力する用意がある」と発言した。

出所)「日韓対立で仲裁の用意、トランプ氏が表明」AFP・時事通信社2019年7月20日配信

 

これまでトランプ大統領は、複数の国家による協議に懐疑的で、G20でもアメリカと中国など二国間での交渉に重きを置いていると報道がありました。そのため、日米韓の三国による同盟関係もそこまで重要視しておらず、日米、米韓など二国間での協議・交渉を優先するビジネスパーソンとしての側面が強調されてきました。

ところが今回のAFP・時事通信の記事をみる限り、日韓両国と良好な関係を再構築するために積極的に関与するような積極的な発言と感じられます。

 

一方、ブルームバーグの記事をみると、やや受け止め方に違いがみられます。

 

 トランプ米大統領は韓国の文在寅大統領から、険悪化する日韓の紛争で仲裁に入ってほしいと頼まれたとして、自らの時間が取られることに不満を漏らした。
トランプ氏は19日、「『なんとたくさんの事に私は関わらなくてはならないのか、と私は言った」とホワイトハウスで記者団に話した。「北朝鮮問題に関わっているし、いろいろたくさんの問題に関わっている。韓国とは素晴らしい貿易協定をまとめたばかりだ。だが文氏は、貿易面で多くの摩擦が起きていると私に言ってくる」と語った。
…中略…
トランプ氏は、「彼らが私を必要とするのであれば、力を貸そう」と述べた。「彼らがうまく解決できると期待している。だが緊張があるのは確かだ。疑いの余地はない。貿易を巡る緊張だ」と加えた。

出所)「トランプ氏不満、時間取られたくない-文大統領が日韓への「関与」要請」Bloomberg(2019年7月20日配信)

 

ブルームバーグの記事をみると、韓国の文大統領に依頼されたから無下に断るわけにもいかないが、いやいや仕方なしに関与するというニュアンスに読めます。

 

報道の日付や前後の文脈から同じ発言について記事にしていると思われますが、タイトルだけを比べても大きく印象が異なります。

 

確かなこと・不確かなことを整理してメディア・リテラシーの大切さを再認識

われわれのほとんどはドナルド・トランプ大統領と直接会話ができる立場にはいません。

安倍総理や文大統領に対してもそうですが、ニュース報道を通じて各国首脳がどのように発言しているのか、どのような状態になっているのかを推測することになります。

 

現在では動画もありますが、微妙なニュアンスは母国語をよく理解していないと読み解くことは困難です。
もっというと政治家の発言は、たとえば安倍総理による日本語での会見をみても日本人一人ひとりがその真意を読み解くことが困難なものもあります。

 

トランプ大統領の発言が積極的な関与を示唆したものなのか、消極的あるいは社交辞令的に発言されたものなのか、現段階で読み解くことは困難です。

 

そのようななかで、もう一度両方の記事を読み比べると、仲裁に乗り出すとしたAFP・時事通信の記事は、トランプ大統領の発言は必ずしも積極的なニュアンスではなく中立(ニュートラル)な発言ととらえることができます。

 

ほど同時にふたつのニュースに触れた私は、トランプ発言を積極的にとらえてトランプ氏の介入を期待している立ち位置からの記事と、同氏の介入に否定的な立ち位置からの記事といった送り手側の感情(バイアス)が記事内容に含まれているのではないかと感じました。
それと同じくらい、トランプ大統領が日韓関係に介入することの(内容というより手続きや時間への)不満への言及部分を意図的に取り上げたものと意図的に削除したものとの違いについても考えさせられました。

 

両方の記事を読み比べてみて確かなことは、

1.文大統領から日韓関係の仲裁依頼があったこと
2.必要があれば仲裁をおこなうこと

の2点のようです。

 

そして、トランプ大統領が仲裁することに時間を取られたくないと不満に思っているかどうかは必ずしも確かなことかどうかはわかりません。
トランプ大統領自身、一時の感情として正しくてもすぐに変化する場合もありますし、トランプ大統領の発言を解釈した記者が不満と受け止めただけかもしれませんし。

 

そもそも日本の立場は、安全保障上の問題で手続きの在り方を見直すというもので貿易問題でもなく、したがってWTOに関連する問題ではないという考え方です。

しかし、韓国がWTO理事会に今回の件を議題として訴状したところ日韓の貿易に関する議題が認められたようですし、貿易摩擦という事実に関してはトランプ大統領も認めているわけで、これからどのような判断が国際社会で下されるのかは未知数です。

 

日本に住んでいる日本人としては、日本の報道をみている限り、日本政府の立場に信を置くわけですが、それはそのまま韓国の国民が韓国政府の立場に信を置くことと変わりがありません。

 

G20終了以降、この問題は毎日のように報道が繰り返されており、韓国メディアの日本語版の記事を読むこともできます(韓国国内とではタイトルや内容が異なっているという報道もあります)。

 

参議院選挙が明日に迫っているというにも関わらずそちらはあまり盛り上がっておらず、世間はこの日韓問題とジャニーズや吉本興業などに関連する芸能問題に関心があるようです。

 

本日の宮迫博之さん(雨上がり決死隊)、田村亮さん(ロンドンブーツ1号2号)の会見もそうですが、そこでも報道のあり方とわれわれの受け止め方で印象が大きく変わることも少なくありません。

 

あらためてメディア・リテラシーの大切さを再認識した気がします。

 

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