送料無料を送料込みと言い換え! 楽天・三木谷社長の言葉遊び!?
こんにちは、さんちゃんです。
2月10日に公正取引委員会から出店者に対して送料無料を強制しているとして独禁法違反(優越的地位の濫用)の疑いで立ち入り検査が入った「楽天市場」ですが、三木谷浩史会長兼社長が送料無料を送料込みと言い換えることを発表しました。
送料無料→送料込み!?
ネット通販サイト「楽天市場」で一定額以上の買い物で送料を無料にする方針について、楽天の三木谷社長は、「送料無料」という表現を「送料込み」に修正する考えを明らかにしました。
「送料込みって言う方が正直だし、みんなに分かりやすいのではないかということで、このように名前を変更するようにさせていただいています」(楽天 三木谷浩史社長)
楽天の三木谷社長は、ネット通販サイトの「楽天市場」で3980円以上の買い物で送料を無料にする方針について、これまで「送料無料」としていた表現を「送料込み」に修正する考えを明らかにしました。修正について三木谷社長は「送料無料の言葉が一人歩きしていて、反省している」と述べました。
楽天市場の“送料無料化”をめぐっては、公正取引委員会が出店者側に送料を負担させるのは独占禁止法違反の疑いがあるとして、調査を行っています。
これについて三木谷社長は、独占禁止法には違反しないとの認識を示した上で、送料込みの価格表示については、予定どおり3月18日から実施する考えを改めて示しました。一方で、退店する店舗に対しては、出店料の払い戻しなど経済的な補填も含めて検討し、2月中に出店者に案内を送るということです。
出所)「「送料無料」を「送料込み」に修正、楽天社長「反省している」」TBS NEWS(2020年2月14日配信)
現代ビジネスの記事「楽天に怒りの鉄拳…公取委員長が「三木谷社長の横暴を許さない」ワケ」(2020年2月13日配信)によると、楽天側は事前に公正取引委員会に送料無料化の実施について確認を取った際に、公取委から違反に当たる可能性があるとの回答を得ていたにも関わらず無料化を推し進めたとして公取委の反感を買い立ち入り検査につながった経緯があるようです。
とはいえ、今回の三木谷社長の発言は苦し紛れ感は否めません。
送料無料だと、たとえば3,980円の商品ですと、商品価格3,980円+送料0円と受け止めますが、送料込みだと少なくとも商品価格は3,980円よりも安いと感じてしまいます。
単純な言い換えの問題ではないように感じるのですが。
送料は誰が負担する? 運送会社の視点はどうなる?
このように「送料無料」と「送料込み」では与える印象が異なりますが、さらに考えなければいけないのは販売価格等に基づいて出店手数料を算定しているのであれば楽天市場側と出店者側で送料分の費用負担(手数料を含む)をどちらが負担するのか明らかにする必要があります。
楽天市場、出店者、そして運送会社のいずれも売上・利益を計上しなければ会社として成り立ちません。
さらにいうと利用者(消費者・顧客)も最終的には送料を負担することになります(送料込みであれば文字どおり当然に。そして送料無料であっても実際に運搬してくれる運送会社が介在している以上なんらかの形で送料分の費用負担はしていると考えるのが自然)。
今回はネット通販大手の楽天市場をめぐる問題であったこともあり大きく報道で取り上げられていますが、この機会に「送料無料」あるいは「送料込み」の言葉の問題ではなく運送、流通の意義や課題についてしっかりと議論すべきではないでしょうか。
その先に、プラットフォーム会社、出店する会社、運送会社、利用客の「三方良し」ならぬ「四方良し」の令和の時代のビジネスモデルの構築がみえてくるのかもしれません。