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入管法改正案成立。外国人労働者受入増大について個人が考えておくこと

2018/12/19
 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

12月8日未明、外国人労働者の就労拡大に向けて在留資格を増やす入国管理法改正案が、参院法務委員会で与党などの賛成多数で可決されました。

これを踏まえて、政府は、2019年4月からの受け入れ拡大に向けて本格的な準備に入ることになります。

 

これまでの流れについては、過去のブログにもありますので、そちらもあわせて参考にしてください。

外国人労働者の受入増大へ入管法改正案。対象14業種、5年で約35万人増。外国人労働者に何を求めるのか

 

それでは、対象となる14業務、新しい在留資格について再確認するとともに、今後の働き方について考えていきましょう。

 

外国人労働者の受入増大の対象となる14業務(初年度受入予定人数の多い順。カッコ内は予定人数)

  1. 農業(3,600~7,300人)
  2. ビルクリーニング(2,000~7,000人)
  3. 飲食料品製造(5,200~6,800人)
  4. 建設(5,000~6,000人)
  5. 介護(5,000人)
  6. 外食(4,000~5,000人)
  7. 素形材産業(3,400~4,300人)
  8. 造船・船用工業(1,300~1,700人)
  9. 宿泊(950~1,050人)
  10. 産業機械製造(850~1,050人)
  11. 漁業(600~800人)
  12. 自動車整備(300~800人)
  13. 電気・電子情報関連産業(500~650人)
  14. 航空(100人)

すべてを合計すると、最小で32,800人、最大で47,550人の外国人労働者が新たに就労することが想定されています。

特に、農業、建設、介護、外食は、最小でも4,000~5,000人程度の増加が見込まれており、これらの産業では、今後、外国人が働き手の一角として欠かせない労働力となる可能性を秘めていると考えられます。

 

新しい在留資格となる「特定技能1号」「特定技能2号」

これまで、外国人の就労というと、非常に高い知識や技能を有する高度人材を除けば、技能実習生や留学生アルバイトといった低賃金で単純な作業が中心でした。

留学生アルバイトはビザの関係でフルタイムでの働き手にはなれません。また、技能実習生は理念的には労働者ではありません。発展途上の国や地域の人材に対して知識、技術、技能を教えることでその国や地域の発展に貢献しようとする国際協力の推進が目的です。

しかし、実態として低賃金の労働者として扱われているため、制度と実態のあいだにひずみが生じているわけです。そのことは、この1か月のニュースなどをみても繰り返し報道されています。

 

技能実習生についての過去ブログはこちらも参考にしてください。

外国人技能実習生の問題は根が深い、だからこそ、技能を体得して日本と母国の架け橋となった人たちの成功事例集をつくって紹介したらどうか

 

 

政府としては、労働者なのか実習生なのかというようなある意味グレーな状況では少子高齢化がつづく日本において人材不足は解消できないと考え、現状を打破すべく、外国人を対象に労働者としての在留資格を新しく創設しようというのが今回の法改正の一番の目的だと思われます。

 

新たな外国人材受入れの趣旨・目的

深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れる

出所)法務省入国管理局「新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について

 

そのなかで、新しい在留資格は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類です。

 

特定技能1号の特徴は、最長5年(更新なし)で就労ができるというものです。学歴や実務経験の基準はなく日常会話程度の日本語ができればおおむね認められるようです。ちなみに家族の帯同は認められていません。

想定されている特定技能1号の取得イメージは、現在の技能実習生(2016年の法改正でこちらも最長5年の在留が可能)がその技能実習を修了したのち、この特定技能1号の在留資格を取得するというものです。2019年から2024年までの創設5年間において特定技能1号の約半数が技能実習修了者から移行する想定がなされています。

 

特定技能2号の特徴は、在留期間の更新があり条件を満たせば永住も可能となるようです。また、家族の帯同も可能となっています。とはいえ、現在のところ特定技能2号については制度開始から数年間は受け入れないとしていますので、特定技能1号の状況を見ながら今後詳細がつくられていくのだと思います。

 

外国人労働者受入増大のメリット・デメリットを整理するよりも大切なこと

このように法改正にともない、2019年4月から外国人がこれまで以上に労働者として日本社会に参入してくることが確実となりました。

 

すでに外国人労働者が増大することに対しては、歓迎の声もあれば懸念の声もあるのが実情です。

当然、これまでになかった制度をつくり、新しいことを始めようとするわけですから賛否両論あっても不思議ではありません。受入にともなうメリットやデメリットの整理もされているようです。しかしながら、現段階では、どこまでいっても答えは「わからない」としか言いようがありません。

始まってみないと何もわかならないです。

だからこそ、あーだこーだと言い争いが起こるわけです。そこでの議論がより制度の精度を高めるために重要なプロセスとなっているのだと思います。ひきつづき政府の動向には注視しておかなければなりません。

 

また、政府の動向とは別に、個人として何ができるのかを考えておくことも重要になってきます。

 

今や繁華街を歩けば多くの外国人に出会います。東京や大阪だと外国人に一人も会わない日はむしろ珍しいのではないでしょうか。そのくらい日常生活に溶け込んでいるわけです。

とはいえ、一緒に働くということになると日常生活とは異なる利害関係が生じますので、そのあたりは認識しておくことが大切です。もちろん、すでに同僚に外国人がいるという職場も少なくないと思いますが、まったく接点がないという人もたくさんいると思います。

私自身、外国人の友人と会話をしているときに、文化や宗教が異なるために、意見の主張の仕方、時間の考え方、食生活などの違いで驚いたことがあります。たとえば、普段は温厚な人が仕事の話になると(攻撃的というと語弊がありますが)積極果敢に発言をする姿をみたときはびっくりしました。後で聞いたら会議はそういうものでしょう、とあっけらかんと答えてくれました。

 

自分のものさしだけでは測れない状況も想定しておかないといけないかもしれませんし、そのときに、自分とは異なる価値観や意見を言う外国人を安直に排除するのではなく、いかに協力体制を築くことができるかが大切になると考えられます。

また、外国人労働者が増大すると、「〇〇人はこういう性格」といったようなステレオタイプな一般論はまったく通用しなくなります。日本人でもその性格や行動は千差万別ですから当然といえば当然のことです。

 

実際のところ、外国人、外国人とあまり肩ひじ張って構えるのではなく、一つひとつ丁寧に接していくことが大切になってくると思います。むしろ、新しい国に来て就労することになる外国人の方が、もっともっと不安を抱えているわけです。彼らの不安を解消してあげる視点を持つことそれ自体が外国人労働者拡大に対する個人の行動としての最初の一歩といえるかもしれません。

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