全国初、入札でマイナス795万円! 埼玉県深谷市がお金を払って小学校を売却!?
こんにちは、さんちゃんです。
少子高齢化の影響もあり、廃校になったり統合されたりする小学校や中学校が後を絶ちません。
もし自分が通っていた学校がなくなるとなるとさみしいものですが、これも時代の流れなのかもしれません。
一方で、最近では廃校となった小学校を活用したイベントなどに貸し出しをしたり(たとえばバーベキューや鬼ごっこができる体験)、学校給食をモチーフにした飲食店などが話題になったりと、活用されています。
とはいえ、多くの廃校は閑散としたまま放置されているように思われます。
全国初、マイナス入札! 市がお金を払って引き取ってもらうことに
そんななかで、埼玉県深谷市で全国初の試みがおこなわれました。
廃校となった小学校の敷地と体育館について入札をしましたが、その予定価格がなんとマイナス1,340万6000円でした。
つまり、もし予定価格で落札すれば、1,300万円以上のお金をもらって小学校が購入できるわけです。ヤフオクやメルカリなどのオークションサイトを利用されている人だと、商品+お金がもらえる夢のようなお話です。
もちろん解体費や土地建物の維持費がかかりますので目先のお金目当てで落札できるわけではありません。
深谷市としては、使う予定のない土地建物の維持費だけがかさみ続けることになりますから、一時的にお金を支払っても(それでも1,300万円は大金ですが)購入者から固定資産税が入りますし、有効活用されると市が潤いますし当然その宣伝効果も大きいといえます。
すでに新聞やインターネットで記事になっていますので、それだけでも大きな宣伝効果といえます。
そして、より本質的なポイントは、
●放っておいても収益の見込みはなく維持費だけがかさむことが明確である
●全国初、市がお金を払って土地建物を引き取ってもらう = マイナス入札
●短期的にはマイナスであっても、長期的にはプラスになる可能性がある
ということです。
今回、深谷市のマイナス入札が「全国初」ということですが、同市の小島進市長は「活用していない市有地を抱える地方自治体は全国にもたくさんある。マイナス入札は一つの解決策になるのではないか」(毎日新聞2018年12月26日配信)と話しています。
深谷市につづく地方自治体がでてくるのか、注目されるところです。
しかし深谷市は思い切ったことをしたものです。
株式投資をしている人ならわかると思いますが、いわゆる「損切り」(株価が下がったので、これ以上下がる前に売ること。損失を確定するため心理的な抵抗があるが、保有し続けるとさらなる株価の下落で売るに売れなくなるため戦略として損切りは重要である)と同じ概念です。
それがメリットが大きいと言葉ではわかっていても、いざ損切りをしようとすると勇気がいります。
全国初のマイナス入札に踏み切った深谷市の小島市長は極めてビジネス感覚の優れた市長だと思われます。
保有しないことの意義 価値観の転換
昭和から平成初期にかけての価値観は、保有することが富の象徴であったと感じます。
マイホーム、マイカーなど手にすることで一人前とみなされる風潮もありました。
しかし、近年そのような価値観は大きく揺らぎ始めており、これからは保有しないことが富の象徴になるかもしれません。今回の深谷市の事例は地方自治体が実施したということで、そのエポックメイキングとなる可能性を秘めています。
いわゆる「シェアリング」の価値観です。
これを働き方でおこなうと、ワークシェアリング、タイムシェアリング、オフィスなどプレイスシェアリングといったものが考えられますし、ビジネスであれば、カーシェア、洋服シェア、ホテルなど高級なルームシェア、ペットシェアなどが考えられます。また技術的な話をすればインターネット・クラウドでサーバ、データベースなどをシェアリングすることで現物保有のリスクを回避することもできます。
シェアリングの価値観は、「保有しないことが富の象徴」となる可能性を秘めており、2020年代の中心的ビジネスモデルかもしれません。