最新ニュース、書籍やマンガなど身近な話題から昭和・平成・令和の生き方・働き方を考える

若者と高齢者の世代間対立となるのか!? 最適な高齢者雇用のあり方を探る

 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは、さんちゃんです。

2019年、明日から仕事始めという人も少なくないでしょう。

本日は、若者と高齢者の世代間対立について考えていきます。

 

高齢者雇用の増加と若者の負担の増加

いつの時代もそうですが、若者はいずれ高齢者になりますし、高齢者は昔は若者でした。

 

互いに歩み寄り、協力しあうことがベストなのですが、なかなか両者の思惑がかみ合わないことがあります。

ロゼッタストーンに、「最近の若者は…」と彫られていたという逸話もあるくらいですから古今東西を問わず発生する問題かもしれません。

 

それでも、少子高齢化の進展による超高齢社会に突入した日本では、高齢者がいきいきと働くことに注目が集まっています。社会保険料の財源に乏しいこともあり、国としても高齢者が働くことを奨励しています。

 

しかし、残念なことに、高齢者雇用の推進が、結果的に若者との世代間対立を生じさせる一因となっています。

 

「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」という、厚労省が定めた助成金制度が存在する。平たく言えば、65歳以上の高齢者を雇う事業主に、年換算で50~70万円の助成金が支払われる(条件付き)というもので、人手不足をより安価に補える、事業者にとってはまさに渡りに船といった助成金制度だ。しかし、この制度により高齢者が増えた事で、現場が疲弊、若い労働力の流出や職場環境の悪化が進んでいるというのだ。

出所)「奨励される高齢者雇用 管理体制不備で若者にしわ寄せ」NEWSポストセブン2019年1月3日配信

 

高齢者雇用を推進することは、企業にとって「働く人にやさしい企業」としてのイメージ戦略にもなり得ます。それでいて助成金がもらえるとなれば嬉しい限りといえます。

以前から高齢者の働く場所としては、シルバー人材センター経由での自転車駐輪場の警備員などがよくいわれてきました。そこに最近ではコンビニ、ファミレス、物流の現場など多様な職場において高齢者雇用が進んでいます。そのため、若者と高齢者が混在する職場が増えています。

 

ところが、どうしても高齢者ではできない作業が発生します。

 

高齢者が担当しづらい作業(一部抜粋)

●体力系統・・・ゴミ出しを含めた重たい荷物を運ぶ作業

●ICT系統・・・スマホ対応など多様なアプリ・サービスへの理解度がともなう作業

●時間系統・・・忙しい時間帯、深夜時間帯、休日祝日におけるシフト

 

そのため、体力を使う作業は若者に集中します。

スマホ・アプリに関する接客や質問対応はほとんど若者が実施することになります。

また、テキパキ動く必要のある忙しい時間帯のシフトは若者に集中し、深夜、休日や祝日も若者が中心のシフトになることが多い傾向があります。

 

結果的に、暇な時間帯で現状の体力や知識でできそうな作業のみに従事する高齢者を雇うことになり、若者の作業負担は以前に増して多くなるといった現象がおこっています。

しかも、高齢者は若者から比べると親以上の年長者ですので、スマホの操作がわからないといわれた場合、高齢者に対してスマホを購入してアプリを勉強してほしいとは到底言えないです。

 

そして、高齢者が優遇されていて自分たちは冷遇されているとの不満を持った若者から仕事を辞めるという状況になってしまいます。その穴埋めに新しく高齢者を雇用するものならますます若者が離職していく悪循環から抜け出せない事態となってしまいます。

 

NEWSポストセブンの記事では、若者、高齢者、さらに外国人を加えた三者の三方良しを実現する困難さについて指摘しています。

ほぼ同じ給与で働いているにもかかわらず「高齢者の仕事は楽なのではないか」、そうした不満を持つ若者が出てくるのも当然だろう。ここでも「高齢者に働いてもらうために若者が我慢を強いられる」という事態に陥っているのだ。現役世代も、現場復帰を望む高齢者も、そして外国人労働者も全員が満足できるという、三方が皆笑顔になるような職場環境づくりは確かに難しいのかもしれないが、この国をこの先長く担って行くはずの現役世代の取り分が減ったり、就労意欲を削ぐような仕組みでは、本末転倒というほかない。

出所)同上

 

若者と高齢者における仕事の価値観、目的の違いを理解して次なる一手を

なぜこのような事態が生じるのでしょうか。

 

そこには仕事の価値観、目的が異なっているということ、つまり働く前提条件が違うということを理解する必要があります。

 

若者が働く理由を考えると、

●生活費を稼ぐため

●技術や技能を獲得するため ≒ スキルアップ

●より良い雇用条件を目指す ≒ 昇進、さらには転職も

というのが一般的です。

 

一方、高齢者が働く理由を考えると、

●生活費を稼ぐため ≒ 年金の足しとする

●生涯現役でいたいという希望を叶えるため ≒ 働くことに対する生きがい

●社会とのつながりをもちたい

●健康の維持

というのが一般的です。

 

ここで両者の違いが鮮明になるのは、若者はより将来志向で、より成長できる仕事や環境を求めているということです。一方の高齢者にとっては将来の成長はほぼ必要がありませんので元気な状態での現状維持志向であり、もしくは趣味や興味関のような位置づけでの居場所づくりに近いものを求めているということです。

 

つまり、働くことへの目的や価値観においては、「これから」をみている若者と「終わり」を考えている高齢者とのあいだで大きく異なることがわかります。

 

いずれが正しいというわけではありませんが、価値観の異なる両者を同じような業務に従事させることに無理があります。

つまり、企業の雇用に対する考え方が、若者と高齢者を労働の代替関係として捉えてしまっているところに無理が生じているといえます。そのため業務内容が異なる仕事に従事させるのであれば、両者ともに納得感は高まるのではないでしょうか。

 

このあたりは、男性だから/女性だからといった男女間格差や、日本人だから/外国人だからといった外国人労働の課題と似たところがあります。

 

現状の最善策として、企業の雇用管理におけるひとつの解決策は「同じ仕事をさせない」に尽きるのではないでしょうか。あるいは、同じ仕事をするのであれば、同一労働の負担・同一賃金を徹底するかのいずれかになると思われます。

働く人々の価値観や目的の違いを理解したうえで、それぞれの労働者に対して「相対的な納得度」を高める工夫が必要となっているといえるでしょう。

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 21世紀の生き方・働き方 , 2019 All Rights Reserved.