最新ニュース、書籍やマンガなど身近な話題から昭和・平成・令和の生き方・働き方を考える

信越化学が化学大手で初の試み、65歳定年引き上げに昇給昇格も実施! 株価への影響は!?

 
この記事を書いている人 - WRITER -

こんにちは、さんちゃんです。

 

信越化学工業株式会社(以下、信越化学)は、現行の60歳から65歳への定年引き上げをすることが発表されました(「信越化学、65歳に定年延長 給与8割維持、熟練者確保」共同通信2019年1月29日配信)。

同社によると、化学大手では初めての試みだといいます。

 

高年齢者の雇用に関する取り組み~従来型「継続雇用制度」~

現在は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)によって、65歳までの安定した雇用を確保するための措置として以下の①から③の措置のいずれかを講じなければならないとされています。
(参考:「70歳就業義務化を検討。生涯現役社会は本当に幸せか」)

 

1.定年の引き上げ
2.継続雇用制度の導入
3.定年の定めの廃止

 

多くの企業において「2.継続雇用制度」が導入されています。
信越化学もこれまでは継続雇用制度で対応してきました。

 

記事から読み取れる信越化学がこれまで実施してきた「継続雇用制度」の特徴は次のふたつです。

●60歳以降の給与は、59歳時点の約55%程度とする
●人事評価による昇進、昇格は実施しない

 

大企業においては広く活用されている一般的な継続雇用制度の運用だといえます。

給与水準はおおむね50~60%程度になる場合が多く、これまでの貯蓄を勘案した水準となっています。
また、仕事上の役割は、技術技能などのノウハウ、技術伝承など指導役(メンターなどと呼ばれたりする)、人脈を活かした調整役といった役割での活躍が期待されます。

 

 

そのため、一般的に定年後の再雇用では「働くこと≒趣味」のような働き方になります。

給与水準が半分程度になるわけですから、高齢者本人(といっても59歳から60歳になっただけ、まだ若いと自他ともに認める人がほとんど)にとって、定年前と同一水準でバリバリ働く気持ちにはなりません。
役職からも外れているので、基本的には一人で完結する仕事か若手の指導役・相談役といった役割となります。

あまり口うるさく言うと「現役」の若手社員、中堅社員から煙たがられること間違いなしですので、そのあたりも心得た働き方とならざるを得ません。

 

一方で、再雇用の高齢者を迎える側の中堅、若手社員(当該高齢者の元部下であることも多い)にとっては、本音の部分では扱いにくい存在ともいえます。

再雇用制度における給与水準が信越化学と同様に59歳時点の55%であったとしても、20~30代の若手社員からすれば、その働きぶりと給与水準のバランスは自身のそれとを比較するとおもしろいものではないかもしれません。

 

結局、再雇用の高齢社員にしても、若手、中堅の社員にしても、どことなくモヤモヤした気持ちで仕事を進めていくことになります。

 

ここでの大きな課題は、再雇用の高齢者が一生懸命に働く職場が形成できないということに尽きます。

 

今回の信越化学の取り組みは、高齢者が一生懸命に働く職場を形成するための取り組みということができます。

 

高齢者の雇用に関する新しい取り組み~人事評価をともなう「定年引き上げ」~

2019年4月から信越化学が導入を予定している「定年引き上げ」の特徴は、

●60歳以降の給与は、59歳時点の約80%程度とする
●人事評価による昇進、昇格を実施する

のふたつとなります。

 

さきほども書きましたが、多くの企業で採用されている再雇用制度では、60歳以降の給与水準はそれまでの60%程度かそれ以下の水準に抑えられてきました。

働くことが趣味に近いと考える人にとっては、働く場所を提供してくれる会社に対して給与などの条件を細かく交渉することもなかったと考えられます。
それまでの貯蓄もありますので経済的な目的が第一にならない環境にあります。
また、再雇用のあり方をめぐって会社ともめることは得策ではありませんし、そうするのであれば再雇用を望まず他の働き方を検討すればいいだけのことです。

 

この再雇用制度を活用した高齢者の働き方は職場全体をしっかりマネジメントできないと、高齢者、中堅、若手すべてにとって往々にしてモヤモヤした感覚を醸成してしまう可能性があります。

 

ところが信越化学の定年引上げの新制度では、「80%程度」の給与水準となります。
役職がなくなること、残業など労働時間が配慮されることなどを考慮すれば、80%の給与水準は大幅減少とはいえないでしょう。

むしろ、仕事で手を抜いているように周りに映ると、冷たい視線でみられるくらいの高水準といえます。
しかも、人事評価がともない、昇給、昇格もあるとなると一生懸命に働く環境が整備されていると考えられます。

 

そこには第一線でバリバリとはいかないかもしれませんが、少なくとも「現役」として働く気持ちが芽生えることになります。

 

このように、すごろくの上がりを経験したのち2巡目をまわるイメージの「再雇用制度」より、一定水準の環境を整備した「定年引き上げ」の方が、会社全体が活性化される可能性を秘めているといえます。

 

今後どのような運用になるのか、信越化学の事例は人生100年社会の新しい働き方のひとつのモデルケースとなるかもしれません。

 

株価への影響は?

本日、1月29日は信越化学の「2019年度3月期第3四半期決算」の発表日となっています。

15時に発表された内容によると、連結経常利益が前年同期比31.6%増の3294億円に拡大しました。
通期計画に対する進捗率も良好で過去5年間の水準を上回っています。

 

業績好調の決算発表とあわせた本日の「定年引き上げ」の発表は明日以降の株価にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

私のブログでは、昨日もラーメンチェーン幸楽苑ホールディングスを取り上げたところ、同社の株価が本日大幅上昇していましたし、先日YouTuberのマネジメント会社UUUMを取り上げた際も翌日ストップ高になりました。
たまたまなんですが、自分でもこの結果に驚いています。

 

もちろん、本当にたまたまですので、株式市場がどうなるかについては「神のみぞ知る」といったところですが明日の信越化学の株価を楽しみにしたいと思います。

 

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© 21世紀の生き方・働き方 , 2019 All Rights Reserved.