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大谷翔平と栗山英樹から読み解く最高の師弟関係! 上司と部下、師匠と弟子のあり方とは?

2019/02/06
 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

本日は大リーグロサンゼルス・エンゼルスで投手と野手の二刀流で大活躍している大谷翔平選手に対する、日本ハムファイターズ時代の恩師である栗山英樹監督のコメントから、上司と部下、師匠と弟子のあり方について考えます。

 

「世界を動かす日本人50」『日経ビジネス』2019年2月4日号より

『日経ビジネス』2019年2月4日号では、「世界を動かす日本人50」として50名の日本人が特集されています。

 

経営者、起業家、学者、芸術家、スポーツ選手など各領域で第一線で活躍する人たちです。

 

そのなかで「CHALLENGE 挑戦する」というカテゴリーで紹介されているひとりが、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手です。

 

大谷選手は、193cm、90.7kgの恵まれた体格で、投手と野手の両方をこなす「二刀流」の野球選手として2013年に北海道日本ハムファイターズでプロデビューしました。

 

プロ入団当初は、二刀流に懐疑的な声が数多くありました。

 

その理由として、過去に二刀流として成功した前例が皆無に等しかったこと(アメリカで二刀流として活躍した際、引き合いに出されたのが伝説のベーブ・ルースだったことからもその成功例のなさがわかります)、そして、そもそもアマチュアである高校生まではいわゆる「エースで4番」という二刀流選手は決して珍しくないこと、がありました。

 

要するに、プロ野球に入るのであれば、打者か投手かどちらかを選択して専念するのが「プロの常識」という考え方です。

 

そのような周りの声に対して、明確に二刀流を支持し、大谷選手の潜在能力を開花させたのが日本ハムファイターズの監督であった栗山英樹氏です。

 

その信念、人柄は、監督と選手という枠組みの内外で大谷選手のとの絆をうかがわせます。

日経ビジネスの大谷選手へのコメント寄稿をそのまま引用します。

 

恐らく僕以上に翔平の力の上限を高く見ている人間はいないと思う。だからアメリカンリーグ新人王を獲得したメジャー1年目の活躍には、ほっとしたというのが正直なところだ。シーズンの早い段階で結果を残せたのはよかった。活躍が少し遅れれば、米国が二刀流を素直に受け入れたかは分からない。やはり翔平は野球の神様に愛されていると感じると同時に、彼自身が二刀流というものを突き詰めて考え、努力した成果だと思う。
観客を身震いさせるような瞬間のすばらしさを知り、そのためにならどんな努力もできる。このような価値観を持っている点が他の選手とは決定的に異なり、一切ぶれることがない。翔平は最初からこの価値観をある程度持っていたし、僕も彼に言い続けてきた。
2018年はシーズン途中で右腕のけがが判明し、シーズン後に手術を受けた。19年は打者一本でやっていくことになる。二刀流の翔平にとってある種の気分転換になっていた部分もあるので、苦しむこともあるかもしれない。だが、苦しめば必ず驚異的な成長を遂げるのが彼だ。これも野球の神様が設定した試練なのだろう。この試練を乗り越えて、翔平がどのような選択をするのかは分からない。ただ100年先の未来から見て、彼の存在が野球の大きな転換点となっていることは間違いない。やはり翔平は野球の神が遣わした存在なのだろう。

出所)「世界を動かす日本人50」『日経ビジネス』2019年2月4日号

 

栗山監督は大谷選手にとって、監督であり、理解者であり、ファンである

栗山監督は、大谷選手にとって、監督であると同時に、一番の理解者であり、最も熱狂的なファンでもあります。

 

寄稿の1行目に「恐らく僕以上に翔平の力の上限を高く見ている人間はいないと思う。」とはっきりと言っています。
文章なので、恐らくや思うという表現になっていますが、気持ちのなかでは断言していることが感じ取れます。

 

実際に高卒18歳で入団してきたばかりの少年・大谷翔平に対して投手と野手の二刀流を認めて、キャンプ(シーズン開始前の調整期間・練習期間。新人はここで結果を出さないとシーズン前に一軍から二軍に降格させられる)での好奇の目や批判的な意見に対しての防波堤となり、二刀流・大谷翔平への信頼感を全面に押し出す発言を繰り返してきた。

 

そのため、監督としての威厳がないとか選手になめられるなどと揶揄されることもありました。

 

しかし、その後、シーズンが始まり、大谷選手が二刀流として結果がでたあとはマスコミや識者らが手のひらを反すなか、それまでとまったく変わらない姿勢で大谷選手に対応していました。

 

そういう意味では、栗山監督が大谷選手を評している「観客を身震いさせるような瞬間のすばらしさを知り、そのためにならどんな努力もできる。」は、そのまま栗山監督にも当てはめることができます。

 

そこには、ファン目線で喜ぶおちゃめな栗山監督と、同時に引き締めるところはきっちり引き締めるという野球人としての栗山監督、何より選手のポテンシャルを最大限に発揮できるようにのびのびとプレーさせる栗山監督の手腕が隠されています。

 

「すべては観客を身震いさせるための努力である。」

 

監督として何が一番観客を身震いさせるのか、
二刀流・大谷翔平のポテンシャルを信じぬき、その成長を止めなかったところにあります。

 

実際のところ、選手(部下)の才能を信じることは難しい、ましてや信じぬくことはほとんど困難です。
「●●はわたしが育てた」という表現からもわかるように、それなりの才能に出会うと自分のカラーで育てたいと考えるのが人情といえます。

そしてつぶれていった選手は枚挙にいとまがないでしょう。

 

栗山監督は、選手が好成績をあげているときは自分自身の功績として決して語らず、選手が批判されているときには矢面にたって全力で守ります。

 

そういった栗山監督の姿勢が、選手たちからの信頼につながり勝利に結びついているのだと思います。
これまでダルビッシュ有選手や大谷翔平選手など中心選手が退団して大リーグへと流出した後も、栗山監督のもとチーム一丸となって常に優勝争いを演じるチームづくりをしているところからもその功績は明らかだといえます。

 

このような栗山監督の言動や行動は新しい世代を対象とするリーダーシップのひとつの理想形と考えることができます。

 

追記。
同じような師弟関係として、将棋の藤井聡太七段(弟子)と杉本昌隆七段(師匠)の関係があります。
2019年2月5日現在、C級1組ででともに8戦全勝、史上2人目師の弟同時昇級の可能性もあります。

※2019年2月5日23時28分、藤井聡太七段が投了(負けを認める)により、本日程での同時昇級はなくなりました。
(師匠の杉本昌隆七段も負けました・・・、残念。)

 

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