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「バイトテロ」問題の予防・解決策を考える。厳罰か処遇改善か? 撮影禁止が単純かつ即効性のある対応策!

 
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こんにちは、さんちゃんです。

 

2019年に入っても「バイトテロ」問題が発生しています。

 

バイトテロ

アルバイト店員が勤務中に悪ふざけし行為をし、その様子を撮影してSNSなどに投稿することで、店のモラルが問われる事態となり、当の店舗や企業に深刻なイメージダウン等の損害をもたらす行為の通称。

出所)『Weblio辞書』「新語時事用語辞典」

 

以前は「バカッター」(バカ+ツイッターの造語)として問題となりました。
コンビニでアイスクリームのケースに入る、線路内に侵入する、などなど。

すでに下火になったと思っていたのですが・・・。

 

2019年に入ってから増えているようにも感じます。

結果として、バイトテロが発生した店舗およびチェーン店としてのブランド、アルバイト本人はもちろん家族に至るまで多大なダメージを与える社会問題となっています。

 

そこで、このブログではビジネスの視点から「バイトテロ」の予防・解決策を考えていきます。

 

2019年「バイトテロ」事例

2019年に入ってからの代表的な事例として、

くら寿司・・・ゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻す

すき屋・・・お玉を股間に押しつける

ビッグエコー・・・唐揚げを床にこすりつけてからフライヤーに

セブンイレブン・・・おでんのしらたきを口から出し入れしながら歌う

などがあげられます。

 

なかでもくら寿司の事例では、複数のアルバイトと思われる肉声が含まれていたため、まさに「仲間内の悪ふざけ」が「悪質極まりない事例」として拡散された「バイトテロ」の見本のような事例となっています。

 

YouTubeや他の方のブログ等でバイトテロの動画は出回っており、現在でもその内容を容易に確認することができます。

なお本ブログではバイトテロについて炎上拡散させることや当事者を糾弾することが目的ではありません。
そのため動画リンクは設定しないことにしました。

動画のなかにうつる若者たちの悪ふざけを視聴すると、気分が悪くなったり、腹立たしかったりする人もいらっしゃると思いますので、動画視聴は自己責任でお願いします。

 

バイトテロの予防・解決策を考える!!

ビジネスの視点からバイトテロを考えると、バイトテロは「一定の割合で発生する」ものであると想定して「予防・解決策を講じる」ことが重要となります。

 

予防・解決策1.厳罰化~アルバイトに法的責任を負わせる

厳罰化は、2019年のバイトテロに対する企業側の対応策の特徴です。

くら寿司やセブンイレブンなどが法的措置も辞さないという強い姿勢でのぞんでいます。

まだ損害賠償額が確定したわけでもありません。
そして当事者が10代の高校生、大学生が大半でしょうから、本人が高額の支払いに対応できませんので両親や家族が負担することになりそうです。

 

自己責任という文脈でも、見せしめ的制裁の意味でも、今後のバイトテロへの抑止効果という意味でも、おおむね評価を得ている予防・解決策と考えられます。

 

ただし、次の2点を明確にしなければ、あとあと問題になる危険があります。

1.損害賠償の範囲
実際にバイトテロで使用した調理器具等の弁償については容易に計算できます。
また、当該アルバイトが働いていた店舗の売上減少もある程度計算が可能です。
ただし、チェーン展開の場合、他店舗の売上減少についての計算は難しいです。
全店売上15%減などだとわかりやすいですが、売上増と売上減の店舗が混在する場合、バイトテロによる売上減少の影響を計算することは極めて困難です。

仮に、あまりにも高額請求となった場合、本当にそれで良いのか会社側の責任が問われる可能性があります。

 

2.複数の人物が関与している場合の負担割合
バイトテロが単独犯であれば議論の余地はありませんが、通常複数の人物が関わっています。

そもそもバイトテロが成立するためには、一般的に「実行」「撮影」「投稿」の3要素が必要です。

人物ベースであてはめると、
実行者・・・悪ふざけ行為を実行した人物
撮影者・・・カメラを回した人物
投稿者・・・SNSに投稿した人物
となります。

このなかで大きく報道されたりインターネット上で人物が特定されるのは映像にうつる「実行者」です。

実行することはもちろんいけない行為ですが、撮影および投稿がなければそこまで大事にならなかった可能性がありますので、「撮影者」や「投稿者」も共犯としての扱いをうける可能性があります。

 

この場合、損害賠償の負担割合はどのように考えればいいのでしょうか。

次のようなケースを考えてみます。

●アルバイトが暇だったので、アルバイトA(実行者)は遊び感覚で悪ふざけを実行した。
●アルバイトAの友人でもあるアルバイトB(撮影者)も遊び感覚でスマホのカメラを回した。
●撮影された映像が思いのほか面白かったので、アルバイトBは「友人」に動画を送った。
●友人(投稿者)は、やはり面白い映像だったので、SNSに動画投稿した。

 

この場合、アルバイトA(実行者)に動画投稿の意図はありません。
(行為が良いといっているわけではないですが)ただの暇つぶしくらいの感覚です。

アルバイトB(撮影者)も、スマホで撮影など当たり前の世代ですから撮影することに罪悪感はありません。

そして映像を受け取った友人(投稿者)も、面白い映像だからSNSに投稿したという程度の気持ちです。
さらにアルバイトBから映像を受け取った友人が別の友人に映像を送り、その友人がSNSに投稿する可能性もあります。

 

このように考えると、単独犯で、実行・撮影・投稿を一人で完結している場合は「バイトテロ」にふさわしい悪質さが認められます。
しかし、関わる人数が増えて、それぞれあまりよく考えずに結果として大事になってしまったというケースも想定できます。

このような場合の損害賠償の負担割合をどう考えるのか、難しい論点だといえます。

 

予防・解決策2.処遇改善~賃金相場以上の賃金を支払う

ITmedhiaの記事に興味深いものがありました。

 

タイトルは、ずばり「「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由」です。

記事によると、厳罰化をすることは次のような問題が発生するため逆効果になると指摘します。

(1)有能な人材から敬遠され、「問題バイト」がさらに増える
アルバイトに多額の損害賠償請求をする店で働きたくない ≒ 有能な若者から敬遠される
(2)「厳罰」への反発・反抗心
アルバイトは安い時給、使い捨てのような扱いにも拘わらず厳罰では不満がたまる
(3)元バイト・従業員からのリークが激化
厳罰化は企業への憎悪を生み、マイナスの情報がリークされる

 

そこで記事ではひとつの予防・解決策として「賃金アップ」を提案しています。

 

学生がバイトを選択する際に重視するのが、「勤務日数・時間・シフト変更・休みの融通がきくこと」とともに「給与が高いこと」というのは、「anレポート」の調査でも明らかになっている。つまり、給与を上げれば、それだけ人が集まるので、企業の採用活動と同様に優秀な若者に働いてもらえるということなのだ。

逆に言えば、給与が低いと、優秀な学生バイトは集まらないということでもある。さりとて、店は人手不足なので誰かを雇わないといけない。選り好みはしてられないので、面接時に言動がおかしな者、素行の悪そうな者でもサクサクと採用をしなくてはいけないのだ。

出所)「「バイトテロ」は訴えても抑止できない、3つの理由」ITmedhia、2019年2月11日配信

 

極めて単純な考え方であるが、賃金を上げることで優秀な若者が集まるためバイトテロのようなリスクを軽減できるというものです。

これは、経済学でいうところの「効率性賃金仮説」(シャピロ=スティグリッツモデルが有名)の考え方です。

 

簡単な例を示すと、

時給が最低賃金であれば、理論上どこで働いても同じ賃金をもらうことができるため、一生懸命働く意味合いは小さい(≒別に辞めてもかまわない)。

しかし、相場以上の時給が得られるのであれば、そしてそのアルバイト先を辞めることで次のアルバイト先では時給が下がると予測できるのであれば、一生懸命働く意味合いが大きくなる(≒辞めると損、継続した方が得)

という考え方です。

 

とはいえ、具体的にどこまで賃金を上げると有能な若者が集まり定着するのかについては難しい問題があります。
またアルバイトの労働市場の変動(賃金相場の変動)により一度築き上げたとしてもその優位性が失われる危険があります。

 

予防・解決策3.教育訓練~写真撮影・動画撮影を禁止する

このように「バイトテロ」への予防・解決策として、厳罰化と処遇向上というふたつの考え方について検討してきました。

いずれもメリット・デメリットが混在することがわかりました。

 

また、いずれの予防・解決策もかなりの時間と費用を要するため、企業としてすぐに実行できる対策ではありません。

 

そこで、

単純かつ即効性のある予防・解決策として、

アルバイト中の店舗、商品、その他備品に対して写真撮影・動画撮影を禁止する

という教育訓練をおこなうことを提案します。

 

実は、店舗、商品などはすべて「肖像権」などの権利が発生しています。

そのため、よくみられる光景ですが、お客さんとしてレストランやカフェに入って、無断で店舗や商品を撮影したものをSNSなどに投稿するという行為も、そもそも違法の可能性が高いです。

実際にお店側から訴えられることはほとんどありませんが、写真撮影や動画撮影についてのモラルやルール整備がおいついていないというのが現状です。

 

現代の若者は物心ついたときからスマホがありますので写真や動画を撮影することに抵抗がありません。
このことは社会全体で中期的な課題として受け止める必要がありそうです。

理想をいえば、写真撮影・動画撮影については、小中学校から教育をしたり、デジタルカメラ・ビデオや携帯電話などを販売する会社などが啓蒙活動をすることがのぞましいです。

 

このような状況で、目の前のリスクであるバイトテロについて即効性のある予防・解決策としては「写真撮影・動画撮影を禁止」するというのが一番単純で費用対効果が高いといえます。

 

あくまでも、SNS投稿を禁止するのではなく、撮影それ自体を禁止することが大切です。
(いったん撮影されてしまうと、いつ、どこで、だれがSNSに投稿するかわからないため)

 

そのうえで問題が発生したら、是々非々で対応していくという態度が企業の対応として現実的であると考えます。

 

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