ローソン、深夜時間帯の完全無人化実験を発表! セブンがやれば株が上がったのに・・・
こんにちは、さんちゃんです。
セブンイレブンのオーナーによる時短営業の開始をきっかけに、活況な議論を巻き起こしているコンビニの24時間営業ですが、新しい動きが2つありました。
ひとつ目は、政府が本腰を入れてコンビニの人手不足について調査に乗り出しました。
ふたつ目は、コンビニ大手の一角をなすローソンが「完全無人化」に向けた実験を開始すると発表しました。
政府がコンビニ24時間営業問題で本腰を入れて調査に乗り出す!
政府が一業界、一企業を対象に調査を乗り出すことはよほどのことですが、それだけコンビニが国民全体にとって身近な存在として定着していることの証左でもあります。
経済産業省が実施したコンビニエンスストアの調査で、人手不足を問題に挙げた加盟店オーナーが6割を超えたことがわかった。
この調査は、コンビニ8社の加盟店のオーナーを対象としたもので、およそ1万1,300人が回答した。
調査結果によると、「従業員不足」と答えたオーナーが61%と、前回調査の22%から、大きく増えていることがわかった。
理由に、「必要な時間帯に勤務できる人が少ない」、「募集しても来てくれない」などを挙げており、人手不足が深刻化している実態が明らかになった。
この結果を受け、世耕経済産業相は、4月、全国の9割を網羅する大手4社の経営者と面談し、労働力不足の解消と効率化に向けた「行動計画」の策定を求めることにしている。出所)「コンビニ「人手不足」6割超 経済産業省調査で」FNNプライムオンライン(2019年3月26日配信)
ここでのポイントは、
●経済産業省がコンビニオーナー1万1,300人を対象にアンケートを実施したこと
●「従業員不足」と回答したオーナーが66%と3分の2に迫っていたこと
●世耕弘成(せこうひろしげ)経済産業大臣は、コンビニ大手4社の経営者と面談し、行動計画の策定を求めること
にあります。
ちなみに大手4社とは、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップになります。
人手不足の要因は複合的ですが、最も大きな要因といわれているのはコンビニの業務量・種類の増大と最低賃金の上昇による需給のミスマッチだと考えられます。
それこそ平成が始まった30年前と比較して、ATM、公共料金関連、宅配便、コーヒー、ホットスナックの種類増などこれまでになかった業務が大量に増加しました。そのため同じ賃金であるなら別の業種で働くというアルバイトが少なくないわけです(アルバイト曰はく、コンビニのバイトはコスパが悪い)。
結果としてアルバイト人員が確保できずオーナーにしわ寄せがきている状況が続いています。
当初は違和感を持って迎えられることも多かった外国人留学生を中心としたアルバイトも今や貴重な戦力で、その人たちすら集まらない店舗が出てきています。
このような状況のなかで、今回のアンケート調査を踏まえて世耕経産相はコンビニに対して行動計画の策定について強い姿勢で臨むことを明らかとしていますのでコンビニ業界全体対としてのビジネスモデルの転換期にきていると考えることができます。
ローソンが完全無人化店舗の実験を発表!
このような状況にあって、既出のとおりセブンイレブンは直営店舗における営業時間の短縮化実験を開始しました。
一方、同じくコンビニ大手のローソンは、深夜時間帯における完全無人化の実験を発表しました。
ローソンは29日、午前0時から午前5時までの深夜帯の営業を完全無人化する実験を7月ごろから開始すると発表した。人手不足の深刻化でコンビニの24時間営業の見直しを求める声が高まっており、無人営業が可能かどうか検証する。
フランチャイズ加盟店を含む2店舗で行う予定で、具体的な実施地域は検討中としている。期間は数カ月間の予定。来店者はスマートフォンアプリを使って解錠して店に入り、セルフレジやスマホを活用してレジを通らずに決済する「ローソンスマホレジ」を使って商品を購入する。
出所)「ローソンが完全無人化実験へ 7月、人手不足深刻化で」共同通信(2019年3月29日配信)
この2社の動向の違いは注目に値します。
セブンイレブンの時短実験も問題解決の第一歩とはいえ、直営店のみでの実施、オーナーとのトラブルが発覚して慌てて実施を決めたような対症療法的施策に映るのに対し、ローソンは抜本的に人員不足への対策として無人店舗を検討していることがうかがえます。
前者のセブンイレブンの時短実験が問題発覚からの延長線上にある改善施策であることに対して、ローソンのそれは大きなイノベーションの可能性がうかがえます。
7月開始という点や、実験実施予定店舗が2店舗と少ない点などから詳細はこれからといった感じですが、フランチャイズ店舗も含めての実施ということでセブンイレブンの一歩先をいった実験になることは間違いありません。
完全無人化の店舗を実現するにはかなりの時間を要すでしょうし、そこには越えなければならないハードルも数多くあるでしょうが、人員不足への対策、長時間労働や健康問題への対策として大きな一歩となることが期待されます。
本当はオーナーとのトラブルが発覚したセブンイレブンがこのあたりまで踏み込んだ時短実験の計画を発表すべきだったのでしょうが、ローソンに先を越された形になりました。
すでに時短実験を開始しているセブンと計画段階のローソンという差はありますが、そのあたりも考慮した段階的な実験計画をセブンイレブンは発表すべきだったかもしれません。
今回はローソンのニュースリリースが一枚上手だったといえます。
今後、ローソンの店舗無人化実験について、セブンや他のコンビニも追従する可能性は多いにあります。
コンビニ本部、オーナー、従業員、そして日々利用する顧客にとってコンビニが社会のインフラとして最良の場になることが期待されています。