セブン営業時間問題、時短実験開始で一歩前進! 鍵を握る2人の人物とは!?
こんにちは、さんちゃんです。
先日ブログでも紹介しましたが、コンビニオーナーとコンビニ本部の対立が世論を巻き込み大きく動き出しました。
24時間営業が当然視されてきたコンビニ「セブンイレブン」で時間短縮営業の実験をおこなうという新たな試みが始まっています。
この間の動きをふり返りながら、鍵を握る2人の人物について紹介します。
24時間営業を取りやめたコンビニオーナーの行動に大きな反響が!
2月1日より、24時間営業から19時間営業(午前1-6時を閉店)の時間短縮営業に踏み切った「セブンイレブン南上小阪店」(東大阪市)のオーナー松本実敏さんの行動がメディアに取り上げられ瞬く間に大きな反響を呼ぶことになりました。
☆参考☆
コンビニオーナーは経営者か労働者か!? 24時間営業は権利か義務か!? オーナーの労働者性について考える!
現在は大企業から個人店舗まであらゆるところで「働き方改革」で労働時間の短縮が叫ばれている時代です。
しかも今年に入り、ラーメンチェーン「幸楽苑」の元日休業、回転ずしチェーン「スシロー」の2日間連続休業など、スタッフを休養させることが継続したモチベーションの向上につながるという経営姿勢に注目が集まっていた矢先の出来事であったことや、オーナーの松本さんが語る内容があまりにも壮絶であったため松本さんへの同情や(コンビニ本部への)怒りにも似たような感情が世論で共有されたことが問題を大きくしたようです。
時間短縮営業が開始されておよそ1か月が経過しましたが、ここ数日で大きな動きがありました。
この間の動向のなかで重要と考えられるポイントを3点みていきます。
ポイント1.「コンビニ加盟店ユニオン」との交渉→拒否(2/27)
東大阪市のコンビニエンスストア「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」が、24時間営業の短縮を巡り、本部と対立している問題で、全国のフランチャイズ(FC)コンビニオーナーらで組織する「コンビニ加盟店ユニオン」は27日、セブン-イレブン・ジャパンに対し、短縮の条件を協議する団体交渉の申し入れを行った。
…中略…
これに対しセブンは「加盟店オーナーは独立事業主であり、本部との労使関係はない」(広報)として団体交渉には応じない姿勢を示した。
出所)「24時間営業の短縮 セブン、加盟店オーナーとの団体交渉に応じず 「労使関係ない」」毎日新聞(2019年2月27日配信)
ユニオンとは労働組合のことです。
先日のブログでも「コンビニオーナーは労働者性を有するか」という論点を提示しました。
やはり、その点がひとつのポイントとなっています。
オーナーは「個人事業主の性質とともに労働者性を有している、その限りにおいて労働者としての権利と義務が発生する」というのが私の解釈ですが、このあたりは今後、法解釈をも含めた大きな議論になっていくといえます。
ポイント2.経済界がセブイレブン本部の対応を批判(2/28)
2月28日に関西経済同友会の幹部が会見をおこない、代表幹事であるコクヨ会長・黒田章裕氏、りそな銀行副会長・池田博之氏がそろってセブンイレブン本部の対応を批判しました。
りそな銀行副会長の池田博之代表幹事は、「少子高齢化などのしわ寄せが現場に出ている。いまの日本を象徴している問題だ」と指摘。本部が店主に契約解除と違約金1700万円を求めた点をあげ「自分なら、こんなことで(違約金を)求めるのかと言ったと思う」と話した。
コクヨ会長の黒田章裕代表幹事も「人手がなくて店を開けていられなければ、閉めざるを得ない。それを邪魔するのが契約かと思う。(契約という)技術的に正しいかもしれないが、一拍置くべきではないかと判断を下せないのはさみしい」と語った。
出所)「関西経済界からセブン本部批判「自分ならこんなことで」」朝日新聞DIGITAL(2019年2月28日配信)
2万店を超えるフランチャイズ店舗があるセブンイレブン本部に対して、たった1店舗のオーナーの発言について経済界の重鎮が批判の会見をおこなうのは極めて異例のことです。
とはいえ、会見内容からもわかるように、少子高齢化、人手不足への対応といった「今日の実情」に基づいた発言であること、そして契約解除、違約金1,700万円といった制裁のもつインパクトの大きさについて、セブンイレブン本部の対応こそが「今日の実情」に合致していないのではないかという疑問が表現されています。
ポイント3.時間短縮営業の実験を開始(3/1)
こういった経済界の発言や世論の風向きを考えてか、セブンイレブン本部は3月1日に「1都7県10店舗」において時短営業の実験をおこなうと発表しました。
24時間営業を原則とするセブン-イレブン・ジャパンが、夜通しの営業はしない実験を3月中旬から一部の店で始める。人手不足を理由に終夜営業をやめた大阪府東大阪市の店主との対立が表面化し、注目を集めていた。コンビニ国内最大手の動きをきっかけに、外食産業で先行する24時間営業の見直しが広がる可能性がある。
セブンはこれまでオフィスビルや駅構内などの店を除き、24時間営業を徹底してきた。実験では、東北から九州にかけての1都7県の10店で営業時間を午前7時から午後11時に絞り、売り上げや商品の搬入などへの影響を調べる。いずれも直営店で、全国約2万店の大半を占めるフランチャイズ(FC)店は対象としない。
一歩前進といったところでしょうか。
とはいえ、セブンイレブン本部による直営運営の店舗はセブンイレブン全店舗数の2%程度でしかなく、約98%を占めるフランチャイズ契約の店舗では実施されないため、フランチャイズ店のオーナーからは実験そのものや結果の公表などについて疑問の声も上がっています(「セブンFC店、時短実験に懸念「ノルマ課されないか…」」朝日新聞DIGITAL(2019年3月2日配信))。
おそらく、今回の時短営業の実験はこの間の世論の動向を気にしてかなり慌てて導入を決めたように感じられますので、そこでの結果をどのように公表するのか、改善にいかしていくのか、フランチャイズ店のオーナーたちの懸念を払しょくできるような内容であればセブンイレブン本部にとっても「災い転じて福となす」チャンスとなるかもしれません。
セブンイレブン営業時間短縮問題で鍵を握る2人の人物
今後の展開を予想することは困難ですが、この問題について鍵を握ると思われる2人の人物について紹介します。
1人目は、現在はセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問となった鈴木敏文元会長です。
2016年の取締役会で会長職を退くことになりましたが、実質的なコンビニエンスストアの生みの親でもある鈴木元会長です。
現状の本部とオーナーとの対立についてどのように考えているのかにとどまらず、これからのコンビニのあり方について発言されるとすれば、それは大きな影響力を持つことになります。
そして、2人目は、イトーヨーカ堂の創業者である伊藤雅俊セブン&アイ・ホールディングス名誉会長です。
伊藤氏は1924年生まれの御年95歳、イトーヨーカ堂の創業をはじめ、セブンイレブン・ジャパン(設立当時ヨーク・ジャパン)、デニーズジャパンを創業した生きる伝説というにふさわしい人物です。
先の鈴木敏文氏の代表取締役解任の中心人物でもあります。
当時91歳の伊藤名誉会長と83歳の鈴木会長兼CEOとの争いはメディアを賑わしたことは記憶に新しいところです(「「91歳vs83歳」内紛で激震セブン&アイの暗雲」毎日新聞2016年4月9日配信)。
今回の件について、鈴木氏や伊藤氏が発言をするかはわかりませんが、もし発言するとなればこれからのコンビニエンスストアのあり方に大きな一石を投じることになります。