キングダムに学ぶリーダーシップ、ピンチの時こそ視野を広く疾風に勁草を知る！！

2019/04/20

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さんちゃん

こんにちは、さんちゃんです。

「キングダム」54巻、発売されました。

秦と趙の全面戦争、いよいよ佳境に突入しました、ここからはネタバレ注意です。

秦軍の若きリーダー飛信隊・信と玉鳳隊・王賁が迎えた大ピンチにおいて、信の言葉と行動が秦軍右翼全体を巻き込んだ大きな流れを生み出します。

1 若き●●が倒れ、総悲観の陣中にとどろく言葉とは！
2 ピンチに陥ったときに大切なリーダーシップ3か条

若き●●が倒れ、総悲観の陣中にとどろく言葉とは！

前巻では秦軍右翼の大将「亜光」不在のなか、隊の覚醒を遂げた信率いる「飛信隊」と王賁率いる「玉鳳隊」の活躍で秦軍が盛り返してきたところで終わりました。

そして、この第54巻では覚醒した玉鳳隊に悲劇が訪れます。

信と対峙していたはずの趙国・尭雲（ぎょううん）が信の前から突如として姿を消します。

尭雲の向かった先は、なんと玉鳳隊・王賁のもとです。

残念ながら王賁は尭雲の一刀のもと瀕死の重傷をおってしまいます。

その夜、悲しみに暮れる玉鳳隊本陣を訪れる信の姿がありました。

第54巻はこのシーンに尽きると言っても過言ではありません。

気持ちを落ち着かせる励ましの言葉

信「ここか玉鳳の本陣は」
松琢（玉鳳隊の重臣）「待て　今手当て中で　皆静かに見守っているところだ　せっかく来てくれたがあんたもここで待て」
信「あぶねーのか　あいつ（※王賁のこと）」
松琢「……　見た通りだ　あとはもう…　覚悟を決めて祈るだけだ…」
信「ちょっとどけ」（※肩に手をおきながら）「大丈夫だ」

信「番陽じじィ」
番陽（玉鳳隊の副長）「！？」
信「しっかりしろ　あいつは大丈夫だ」
番陽「バ…バカ者　なぜそんなことが…　もう何度もさっきから賁様の心の臓は止まりかけて…いるのだぞ」
信「それでも大丈夫だ　あいつは死なねェ　死んでたまるか」
（※番陽以下、玉鳳隊は嗚咽）

出所）『キングダム』第54巻

隊長である王賁がやられて悲しみに暮れる玉鳳隊のなかで、「大丈夫」と励ましの声をかけ続けることの重要性を端的に表しています。

それでなくても右翼は、大将の亜光が瀕死で戦線離脱を余儀なくされていましたから、そこにきての王賁の負傷は敗戦ムードに包まれた総悲観状態といっても過言ではありません。

そのようななかで、直接見ていたわけでもなく自身の隊でもない信による玉鳳隊への励ましの言葉は気持ちを落ち着かせることに重要な役割を果たしています。

「大丈夫」の根拠を示す信の行動

信はさらに続けます。

信「羌瘣を連れてきた」
番陽「へ？」
信「すげェ効く秘薬を持っているし　普通の軍医ができねェ不思議な治し方もできる　羌瘣だけ中に入れてくれ　絶対助けてくれる」

出所）同上

飛信隊副長の羌瘣（きょうかい）は特殊な訓練を受けた民族の出身であり呼吸法や薬に長けています。
実際に信が重傷を負ったときにはその秘薬で驚異的な回復へと導きました。

信にしてみれば、その秘薬を使えば王賁も回復するのではないかと考えての行動です。

ただ無責任に励ましの言葉を発しているだけではなく、ある意味では戦場の名医を連れてきたことになります。

勝利のために

そして最後に信は周りを奮い立たせる発言をします。

（※羌瘣ひとり治療のために王賁の天幕に入り、信自身は入らないことを問われて）
信「それに俺は　あいつを見舞いにここに来たんじゃねェ　俺は」
番陽「！？」
信「明日どうやって趙左翼に勝つか玉鳳と話し合いに来たんだ」
番陽「！！」
松琢「……」
番陽「……お前という奴は　この状況下で…　まだ……」
信「当たり前だ　俺達は勝つために戦ってんだ！！」

出所）同上

あきらめ、総悲観、敗戦ムードが漂う玉鳳隊本陣において、明確に「勝利のために戦う策を話し合いに来た」と檄を飛ばします。

ピンチのときはとかく後ろ向きの発想に陥りがちで視野も狭くなります。

無意識のうちに考えることから逃げてしまっている状況にあった玉鳳隊を前に、単純明快な言葉で戦うことの意義を説きます。

「勝つために」

感傷に浸っている場合ではないことを理解していても、なかなか行動に移せなかった玉鳳隊の気持ちをつかむに十分な発言と行動だといえます。

「疾風に勁草を知る」（You can tell a person’s ability when he is facing a difficulty.）ということわざがありますが、信が飛信隊ひとつにとどまらずに隊を超えたリーダーとして頭角をあらわす契機となるにふさわしいシーンといえます。

キングダム 54 (ヤングジャンプコミックス)