独メルケル首相から米トランプ大統領へのメッセージが秀逸! ハーバード大学の卒業式にて!
こんにちは、さんちゃんです。
本日の株式市場も日経平均大幅続落とさんざんな一日でした。
理由は、早朝に飛び込んできたアメリカのトランプ大統領のツイッターです。
またか・・・、という気持ちになります。
内容は「メキシコからの不法移民の対策が十分でないため、メキシコに関税を強化する」というものです。
メキシコの工場で自動車を作っているトヨタをはじめ多くの会社で目も当てられないほどの株安になりました。
中国との貿易問題が解消しないまま、今度はメキシコにも矛先を向けています。
そんななか、ドイツのメルケル首相のスピーチが話題となっています。
ハーバード大卒業式におけるメルケル首相のスピーチ
ドイツのメルケル首相は30日、米東部ボストン郊外のハーバード大卒業式で講演し、「ベルリンの壁」の向こう側にある「自由」に憧れていた自身の経験を紹介しつつ、自由を阻害する保護主義や単独主義などの「壁」を壊して国際的な協力を進めるよう呼び掛けた。トランプ米大統領を間接的に批判した形で、卒業生らは熱狂的に拍手した。
旧東ドイツで育ったメルケル氏は、第2次大戦後の欧州復興の原動力となった米「マーシャル計画」が1947年にハーバード大で発表されたことに触れ、「心の中の壁を壊せば敵が友に変わる」と主張した。出所)「独メルケル首相がトランプ氏批判 「壁」崩し国際協力を」共同通信2019年5月31日配信
旧東ドイツで育ったメルケル首相は、ベルリンの壁の向こう側への憧れを素直に紹介しています。
ベルリンの壁崩壊以後、自由を手に入れたメルケル氏は現在はドイツの首相として活躍しているわけです。
旧東ドイツでは国家の施策によって経済的困窮にありましたが、そこで生まれ育った国民であるメルケル首相は自由への憧れを持っていたわけです。
つまり、国家の思想と、そこで生活している国民一人ひとりの思想は必ずしも一致しません。
移民の問題なども大きくは国家間の対立になってしまいますが、そこで生活している人間個々人の問題として広く手を差し伸べることで解決することができるとのメッセージです。
そして「心の中の壁を壊せば敵が友に変わる」と結んでいます。
メキシコとの国境に物理的な「壁」をつくるような政策をちらつかせているトランプ大統領に対して、現在問題となっている中国との「心の中の壁」についてもメッセージを発信しているといえるわけです。
トランプ大統領のメラニア夫人も移民、多様性をどう担保するのか
先日、日本に来日していたトランプ大統領夫妻ですが、メラニア婦人は旧ユーゴスラビア(現スロバニア)に生まれ、ユーゴスラビア内戦の影響でアメリカにわたり、そこで永住権を取得した移民となります。
そして、夫であるトランプ大統領の移民政策(移民に対する強硬的立場)に反対する立場をとっています。
トランプ大統領は、明確に移民に反対の立場をとっています。
メラニア夫人のことを思うと難しい立場なのではとうがった見方もできますが、大統領自身の信念に基づく発言でありブレることはないと考えられます。
夫婦で政治的思想が異なることを自由に発言できるのはアメリカのいいところでもあります。
(日本だと夫婦は一蓮托生をなかば強要され、異なる立場の発言はバッシングの対象になることがほとんどです)
トランプ大統領の政治的手法をみているとアメリカの優位性を取り戻し、アメリカン・スタンダードで世界を席巻しようとする姿勢が強固です。
この間の、日本、中国、韓国、北朝鮮など東アジアの各国との交渉事が強気一辺倒であることもそれを証明しています。
「自分たちが正しい」「自分たちのやり方に従え」「従わなければペナルティ」といった感じで、ある意味では傲慢に受け取られかねない政策をたぐいまれなる剛腕とビジネスセンスで突き進めています。
いい意味で、猪突猛進でありスローガンを掲げたら全力で達成に向かう熱い人物です。
一方で、なかば手の意向を無視して多様性に配慮を示さない野蛮な考えの持ち主いう側面も持ち合わせています。
様々な人種が集まるアメリカで多様性という八方美人的な万人受けする政策ではなく、一点突破の過激な発言に基づく政策を提示する方が支持が拡がりやすいという意味でポピュリズムを象徴する大統領といえるかもしれません。
そういう意味では、他者の意見を聞き入れ、多様性に配慮したバランスある政策を求めること自体が難しいのかもしれません。
強すぎるリーダーシップの行く末は・・・
トランプ大統領は、典型的な「強いリーダーシップ」を発揮しているリーダーであり、その過激な発言や政策に対して支持が集まっていることも事実です。
現在アメリカが世界一の国家であることも事実です。
とはいえ、これだけ世界各国に強気の交渉を迫っていて大丈夫なのかという不安もでてきます(直近でも、中国、北朝鮮、イラン、メキシコなどは分かりやすい事例ですし、おそらく日本に対しても首脳会談で日本側の譲歩を迫る話があったと思われます。もちろんヨーロッパ各国に対しても強気一辺倒です)。
「トランプ・リスク」という言葉も出てきており、トランプ大統領のツイッターで右往左往する世界が形づくられています。
私自身、彼のツイッター発言がメディアに取り上げられ、たびたび株価が乱高下(ほとんどの場合、大幅下落)していることに正直なところ辟易とします。
表立って発言はしなくても政界や財界でも同じように感じている人は少なくないのではないでしょうか。
しかし、アメリカの大統領は任期制ですので、未来永劫トランプ氏が大統領を務めるわけではありません。
トランプ氏が大統領であるあいだはこの状態が継続するのかもしれませんが、任期を終えたのち、アメリカはどのような国家観を形成していくのか一抹の不安が頭をよぎります。
あまりにも強すぎるリーダーシップを発揮し続けていますので、他国からの反発も想定できます。
すでに、北朝鮮とは交渉が物別れに終わり、中国とは互いに関税を強化しあうといった貿易戦争に発展しています。
そして経済界でもナイキなどの靴メーカーやトヨタなどの自動車メーカーがトランプ大統領の政策について批判的なコメントを発表しています。
今回の件でもおそらくメキシコ政府も反発を強めることは間違いありません。
大混乱の世界経済を、その中心でひっかきまわしているといった感じのトランプ大統領ですが、どのような着地点を見据えているのか、そしてトランプ大統領の次の大統領になったとき、世界のなかでアメリカはどのような立ち位置になっているのか、新しい時代の幕開けという意味では楽しみではありますが、どうしても不安の方が勝ってしまいます。